12月1日に中山競馬場で行われた第53回GⅡステイヤーズS(芝3600m・3歳以上・別定)はモンドインテロ(単勝6番人気)が優勝。好位を進み、2周目の向正面付近からスパート。直線に向いて坂を駆け上がって先行勢を捉えると、鋭く迫ったアルバートに3/4馬身差をつけてゴール。当レースには16、18年に続く3度目の出走。また自身にとっては15度目の重賞挑戦で初めてタイトル獲得に成功した。鞍上はW.ビュイック騎手。管理するのは美浦・手塚貴久調教師。モンドインテロは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 レース全体を1200m毎に3分割してみると、75秒8→78秒1→72秒2。スタート後、ハナを切ったのは横山典弘騎手が騎乗するレイホーロマンス。1周目の3角付近で上手にペースを落とし、そこから13秒台のラップが続きます。ホームストレッチに戻り、ターフビジョンで後続の隊列をチェックする横山典弘騎手。しかし、ここでネイチャーレット、更には後方にいたエイシンクリックが果敢に前へ。1800~2000m通過地点は13秒7→12秒3と急激にペースUP。序盤から先行していたオジュウチョウサンにとっては目まぐるしく流れが変わり、Sペースという表記以上にストレスが多く、辛かったように感じます。

 

【レース分析】 展開・ペースの項で述べたようにレースを3分割した時、モンドインテロの位置取りは3→5→4番手。ペースUPした際に少し位置を下げる格好にはなりましたが、ビュイック騎手が早め、早めに仕掛け、相棒を鼓舞。この行動の伏線は昨年のステイヤーズSにあります。「トップスピードになるのに時間がかかりますね」モンドインテロに初騎乗後(昨年③着)にビュイック騎手が語っています。同じ轍を踏まず、今年はスパートのタイミングを早めたことで見事、戴冠に導きました。

 

 

 「昨年のこのレースで③着でしたが、当時はあまり上手に乗れませんでした。それでも、ステイヤーとしての高い資質があると感じていたので、そのことを念頭においていたし、ある程度、前めにつけたいと考えていました。その通りのレースができたし、勝つことができて良かったです」W.ビュイック騎手。OP特別を3勝していながら重賞レースには縁がなかったモンドインテロ。前年の敗戦を糧に騎乗をひと工夫した鞍上のアシストを受けて、ついについに7歳冬にして重賞タイトルを掴み取りました。

 

パドックを周回するモンドインテロ(撮影:yu~kun)

 

 15~17年に当レースを3連覇したアルバート。4連覇を期待された昨年は無念の出走取消に。橋口慎介厩舎に転厩してむかえる4度目のステイヤーズSは実績を買われて1番人気に支持されました。序盤から後方を追走。他の馬の動きに惑わされることなく、折り合いに専念した走りは泰然自若という言葉がしっくりくる感じ。馬群の外を回ってポジションを上げると、直線では一頭だけ違う脚いろで前へ迫り、②着に浮上。復調を示すと同時に、改めて長距離適性の高さをアピールしました。次走も結果を残せれば完全復活したと見ていいでしょう。

 

 

 ③着はエイシンクリック。2周目のホームストレッチでハナを奪取。オジュウチョウサンのチャレンジを退けたところを勝ち馬に交わされてしまいましたが、2勝クラスの身ながら別定GⅡでこれだけやれれば上々でしょう。ペースが緩んだ際に掛かるぐらいならと積極的に動いた津村騎手の判断も奏功した形。極端に速い脚を使えない分、上がりがかかったのも良かったですね。

 坂を上がって一杯になったもののオジュウチョウサンの健闘も見逃せません。道中でペースがアップダウンする中、前、前で立ち回りました。更に先頭を走るエイシンクリックを捉えに動く損な役回り。その分、最後の最後に脚が鈍ってしまいましたが、直線半ばまで首位争いを演じたのは立派の一語。初コンビだった鞍上も存分にこの馬のスタミナを生かせたのでは。個人的には昨年の有馬記念当時の状態にはまだなく、ここまでやれるとは考えてもいませんでした。まだ良化余地を残しているように思え、次走がどのレースとなるのか、どんな走りを見せるのかまた注目を集めることになりそうです。

 

 

                                 text by 藤原 有貴

 

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