2019年 1月6日(日) 1回京都2日

 83年のメジロモンスニーは春の二冠でミスターシービーに屈し、86年のフレッシュボイスも皐月賞は②着まで。なかなかクラシックに結びつかないレースでしたが、2002年にタニノギムレットがダービー制覇。そのあともジェンティルドンナ、アーモンドアイが牝馬三冠を達成と大物を輩出するレースに様変わりしています。

 今年は朝日杯FS②着のクリノガウディーが回避し、少し小粒な印象の12頭立て。1番人気は3戦2勝のロードカナロア産駒、アントリューズで2.8倍。未勝利を勝ったばかりのミッキーブリランテが5.4倍で続き、ハッピーアワー、ヴァルディゼール、パッシングスルー、ドナウデルタまでが10倍以下と人気は割れていました。

 レースはコパノマーティンが大外枠からハナを奪い、ゴータイミング、ニホンピロヘンソンが続く。上位人気馬は好位から中団に密集。4角で横にズラッと広がり直線の追い比べ。アントリューズは伸びを欠き、外からミッキーブリランテが抜け出そうとした時、ラチ沿いから2頭目の狭いスペースをついてヴァルディゼールがこれを交わすと、大外から強襲したマイネルフラップをクビ差抑えてゴール。

 鞍上の北村友一騎手は昨年がキャリアハイの90勝と躍進の年でしたが、今年もいきなり重賞勝ちと幸先のいいスタートとなりました。管理する渡辺薫彦調教師にとっては開業3年目で嬉しい初重賞勝ちです。

 前半47.3-後半48.4とレース全体は若干の前傾ラップですが、後半だけを見れば12.5-12.1-12.1-11.7とゴールに向かって加速しているので、平凡な勝ち時計でも低レベルと決めつけるのは早い気がします。

 勝ったヴァルディゼールは立ち回りの巧さと反応の速さはキャリア1戦とは思えないものでしたが、最後は左からステッキを入れてもずっと左に張ってしまう若さを見せてしまい、平地調教注意を受けています。そのあたりが解消すれば、相手強化される今後も期待できます。ロードカナロア産駒でも、母系には中長距離をこなす血が入っているので、2000mまでは問題ないでしょう。

 千両賞の単勝万馬券に続き、高配当の立役者となったマイネルフラップは1月の京都にしては時計のかかる馬場になったのが幸い。千両賞よりコンマ1秒速く走ったら②着でしたという印象ですが、この馬も平地調教注意を受けているように、直線では内へも外へもヨレています。4角では外に振られるロスもあったように、まだ伸びしろはありそうです。展開や馬場に注文はつきますが、噛み合った時はいつ飛んできてもおかしくありません。

 ミッキーブリランテは中団で折り合いをつけて末脚を伸ばす好内容でした。今回のような馬場もこなしましたが、速い時計が出て瞬発力の生きる馬場の方が持ち味が生きそうです。

 ④着パッシングスルーは勝ち馬と同じくキャリア1戦。反応の鈍さを見せている間にミッキーブリランテに交わされましたが、そのあとは渋太く食い下がっています。この馬に関してはキャリアの差が出た印象。前で運んだ馬では最先着でしたので悲観するような内容ではなく、自己条件に戻れば勝ち負けでしょう。

 ⑤着ハッピーアワーはデイリー杯2歳Sと同様に、後方で折り合い重視。洋芝の札幌でも勝っているので今回のような馬場も合っていると思いましたが、ひと伸び足りず。安定感はありますが、マイルは若干長いのかもしれません。

 1番人気で⑧着だったアントリューズは川田騎手が「トビが軽いので、重目の馬場にバランスを崩しながらでした」とコメントしているように敗因は明白。ベゴニア賞で上がり33.2秒の脚を使っている馬なので、軽い良馬場なら注意が必要です。

 ⑨着ドナウデルタはデイリー杯2歳Sよりも前に詰まっている時間が長く、今回は参考外です。

text by 石井大

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