初勝利の舞台で能力全開!

 

 2018年2月12日(月)1回東京6日目11R第53回クイーンカップ(GⅢ)は単勝3番人気に支持されたテトラドラクマ(父ルーラーシップ×母リビングプルーフ)が優勝。東京芝1600mは昨秋、初勝利を挙げた舞台でした。ルーラーシップ産駒は今年に入ってから早くも重賞2勝目(1月にダンビュライトがAJCC制覇)と絶好調。管理する小西一男調教師は98年GⅢガーネットS以来となるJRA重賞勝利。田辺騎手はこの日が34歳の誕生日。それに加え、小西厩舎はデビュー時に所属していた厩舎でしたから、いつもとはひと味もふた味も違う嬉しい勝利になったはずです。

 

クイーンCのゴール前。テトラドラクマが迫る後続を完封し、危なげなく押し切った!

 

それではレースを振り返りましょう。

 

勝ち時計 1分33秒7(晴れ・良)

前半4F → 後半4F 34秒6 → 35秒9

12.6 – 11.0 – 11.0 – 11.4 – 11.8 – 12.0 – 11.5 – 12.4

メジャーエンブレムが勝った16年、そしてアドマイヤミヤビの差し切りが記憶に新しい17年は同じ週の古馬1000万より1秒以上も速い優秀な勝ちタイムでした。今年は前日の古馬1000万より0秒4速い決着。前述した2年には及ばないもの、レースレベルは例年並みと判断しました。

【展開・ペース】

 テトラドラクマがハナを主張しますが、外からアルーシャが掛かり気味に前へ。道中は2頭が並んで引っ張る形。更に直後をマウレアツヅミモンら有力馬が追いかけたことも影響して締まった流れに。前半3ハロン34秒6は過去10年でも2番目に速いペースでした。

パドックのテトラドラクマ。うるさい仕草を見せるも気配は良好。Photo byゆうくん

 

【レース分析】

 以前のレース回顧でも触れましたが、フェアリーSのテトラドラクマはレース序盤に接触。それに道中でマクられた際に過敏に反応し、行きたがってリズムを崩していました。田辺騎手はテン乗りでしたが、そういったリスクを回避し、リズムを守ることを優先して逃げの手に出ました。またこの週の東京芝は内を通った馬や先行タイプが活躍する傾向が強く、アルーシャに並ばれて多少、オーバーペースの逃げになりましたが、最後まで渋太く踏ん張りました。

「力みやすいタイプなので、リズム良く走らせようと考えていました。スタートが良かったのでハナを切る形に。凄くセンスがあってどんな相手でも一所懸命に走ってくれます。これからも楽しみです。(誕生日を迎えたのと)ダブルで嬉しいです」とコメント。道中で競られるストレスの多いレースで勝ち切った点からもかなりのポテンシャルを秘めています。まだ精神面の若さはありますが、成長し、レース運びの引き出しが増やせればGⅠ戦線でも活躍を見込んでいいと思います。

 

テトラドラクマの4代血統表

 

 ②着フィフニティは新馬戦を勝って以来、3カ月ぶりの実戦。しかも、東京への長距離輸送を克服して好走した点も収穫でした。3~4コーナーでは少しズブい面を見せましたが、直線に入ると馬場の真ん中からしっかり伸びてきました。全兄は天皇賞・秋、大阪杯で②着に好走したステファノス。レースセンスが良く、更に距離が延びても克服できるでしょう。

 アルーシャは序盤、積極的に運んだ分、残り1ハロン付近から甘くなって③着。それでも、前2走とは異なる速い流れに対応し、渋太く踏ん張って見せました。まだ繊細さ、若さも残っており、今回はマイナス8キロでの出走。まだまだ素質だけで走っている印象が強く、こちらも②着馬と同様に成長の余地は大きいですね。

 1番人気に支持されたマウレアは⑤着。Hペースを3番手で追いかけていましたが、直線に入ると伸びあぐねてしまいました。今までとは違う積極的なレース運びが合わなかったのか、前半から速いラップが刻まれるスピード勝負が合わなかったんでしょうか。物足りない内容でしたが、これだけで見限るのは危険。ジックリ構える戦法なら次走以降、巻き返しがあって驚けません。

text by 藤原 有貴

 

  

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