2月25日(土曜)に中山競馬場で行われた第97回GⅡ中山記念(芝1800m・4歳以上・別定・晴れ・良馬場)は5番人気のヒシイグアスが優勝。21年にも勝っており、隔年制覇となった。管理する美浦・堀宣行調教師はこれが中山記念4勝目。騎乗した松山弘平騎手は当レース2勝目。ヒシイグアスは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は阿部雅英さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 先手を主張すると思われたショウナンマグマが行く気を見せず、休み明けのトーラスジェミニも出脚が今ひとつでしたので、内めからドーブネが労せずハナへ。前半は落ち着いた流れでしたが、中盤以降のラップに緩みはなく、先行タイプも決して楽とはいえない展開。最後の1ハロンは12秒4を要しましたし、好メンバーの揃ったGⅡらしく、地力と決め手を問われるレースになりました。

 

 

【レース分析】 勝ったヒシイグアス(単勝5番人気)は14キロ増の馬体でも太い印象はなく、スタートが若干、出負け気味でも自然体で中団に位置し、道中も上々の行きっぷり。3コーナーあたりから馬群の中で追い上げ態勢に入り、直線を向くと先行勢の後ろから、その外に持ち出すシーンはありましたが、そこからも力強く伸びて、鮮やかに抜け出しました

 

ヒシイグアスを勝利に導いた松山騎手

 

 「ポジションを意識せず、とにかく馬のリズムを大事にすること、それに風が非常に強かったので、できれば馬群の中でしっかりと収めてレースがしたいと考えていました。前走後は熱中症で馬も大変だったと思いますが、厩舎がうまく仕上げてくれたおかげで、返し馬で凄く良さを感じることができましたからね。メンバーが揃っていた中で勝ち切ってくれて、強いレースだったと思います。まだまだこれからもやれる馬です」とレース後に松山弘平騎手はコメント。鉄砲が利くタイプとはいえ、昨年の宝塚記念以来の実戦で、直線も進路を切り替えるシーンがありながら力を発揮できた点には、馬の精神力の強さが感じられましたし、7歳でもレース消化数が多くありませんから、更なる伸びしろも見込めそう。順調なら中距離路線の主役候補の1頭になることは間違いないでしょう。

 

ヒシイグアスの4代血統表

 

 ②着のラーグルフ(8番人気)は枠なりに馬群の外につけて、道中は勝ち馬の直後に位置。手応えも抜群で、そのまま外を回っても最後まで脚いろは鈍らず、鋭く伸び切って連対を確保しました。内を突いた馬がゴチャついたこともありますが、勝った前走の中山金杯と違うコース取り、相手関係を考えれば高く評価できる内容ですし、むしろ距離は1800mがベストなのかも、と思わせました。③着ドーブネ(7番人気)は単騎で逃げられましたが、ペースを考えると楽とはいえない展開でも最後まで渋太く、こちらも前走から1ハロン短縮はプラスだったといえます。まだ控える競馬になった際の折り合いなどに課題はありそうですが、それだけ良くなる余地があるともいえますし、潜在能力も高いですね。

 

 

 ④着シュネルマイスター(4番人気)と⑧着イルーシヴパンサー(6番人気)はともに直線で内を突きましたが、③着馬が少しフラついたりしたので進路がなくなり、挟まって接触する場面もあって消化不良に。それでも、前者は最後まで伸びていましたし、後者も流れに乗って直線を向いた時には突き抜けそうな手応え。地力の片鱗や脚質面の進境は窺えましたから、次走が広いコースであれば勿論、小回りでも展開ひとつで巻き返しが可能でしょう。そして自分が紙面で◎にしたスターリングローズは3番人気で⑤着。好スタートを切り、直線を向いた時の手応えも悪くなかったですが、そこから伸びあぐねたのは久々よりも、好位の外でためが利かなかったからでは、と感じました。それでも、小差で掲示板には載りましたから、年上の牡馬相手でも力的に遜色ないことは確認できました。一方、1番人気に支持されたソーヴァリアントは本来の伸び脚が見られず⑨着。こちらの敗因は正直、掴めない感じで、何もなければいいのだけれど、というのが第一の感想です。また、2番人気で⑪着のダノンザキッドは、昨年のこのレースも1番人気で⑦着に敗れていて、2歳時にホープフルSを勝ってはいますが、中山コースだとアテにできない面もある、と戦前から考えていたので、おそらく舞台が替わる次走が真価を問う場になると見ています

 

   

text by 五十嵐 友二

 

 

 

 

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