11月2日(日曜)に東京競馬場で行われた第172回GⅠ天皇賞(秋)(芝2000m・3歳以上・定量・曇り・良馬場)はマスカレードボール(1番人気)が優勝した。管理する美浦・手塚貴久調教師は天皇賞(秋)は初勝利。騎乗したC.ルメール騎手は通算6勝目となった。マスカレードボールは北海道千歳市社台ファームの生産馬。馬主は(有)社台レースホース

 

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

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【展開・ペース】 大方の予想通り外からメイショウタバルがハナを奪いましたが、後続を引きつけて逃げる形。前半1000m通過は62秒0と超スローペースになるのは想定外でした。結果的に瞬発力の優劣が問われるレースの質に。上がり勝負となった分、3歳馬は年長馬よりも軽い斤量が有利に働いた印象を持ちました。

 

 

【レース分析】 マスカレードボール(1番人気)はホライゾネットを着用してからパドックではテンションが上がらなくなりました。日本ダービー以来の実戦でしたが、無駄のない体の造り。脚捌きはシャープでした。上々のスタートを切りましたが、折り合いを重視して中団を追走。C.ルメール騎手は何度か軽く促して、タスティエーラの直後の位置をキープ。ライバルに騎乗するD.レーン騎手の性格やタスティエーラの特性を踏まえれば早めにスパートするのが濃厚。その後ろなら進路が開くという読み通りの形に。直線できっちりと抜け出しました。超の付くスローペースの中で3/4馬身差は完勝と言えるでしょう。

 

 

「天皇賞は別格です。中距離で強い馬だけでなく、長距離戦やマイルで好成績を挙げている馬たちも挑戦してきますからね。勝つととても嬉しくなるんです。レースのプランは特になかったのですが、ジリ脚でスタートの速くないこの馬がいいスタートを切ってくれましたし、好位置を取ることができていました。でも、向正面でペースが落ちた時には、心配になっていました。というのも、長くいい脚を使うことは分かっていたものの、切れ味を発揮できるかどうかが分からなかったからです。春にはダービーで②着と好走して、3歳で天皇賞を獲れるのですから、レベルが高いですね」C.ルメール騎手はレース後にコメント。後半の1000mは56秒6。ドウデュースが勝った昨年の同57秒4を凌ぐ究極の瞬発力勝負となりました。瞬発力の優劣に加え、直線でいかにブレーキを踏まずに走れるかという点も問われた一戦。上手に脚をためつつ、終始、スムーズに運んだ鞍上のうまさが光った一番とも言えます。

 

マスカレードボールの4代血統表

 

ミュージアムマイル(3番人気)は本馬場入場後、うるさい仕草を見せていましたが、パドックではテンションが上がることはありませんでした。春当時より馬体のバランスが良くなっており、いい成長曲線を描いていますね。マスカレードボールとは同等の脚を使っていますが、ライバルは馬群の中で折り合ってジワッとポジションを上げており、位置、コース取りの差が出たように映りました。ジャスティンパレス(8番人気)はディープインパクト産駒らしく均整の取れた体つき。脚運びもスムーズでした。3年続けての参戦で6歳を迎えましたが、気力の衰えはありません。スタートを決めたことが好走要因のひとつで、いつもより前のポジションが取れました。瞬発力勝負でしたから直線で外に進路を切り替えるロスは痛かったですが、改めて地力の高さを示しました。

 

 

シランケド(6番人気)は新潟記念当時より馬体をスカッと見せて軽快なフットワーク。ここ目標に万全の仕上がり。スタートで後手を踏みましたが、スローペースで流れたことで、リカバーしやすかったですね。末脚勝負に賭け、直線に入ってからは大外へ。マークした上がり3ハロンは何と31秒7。極限の上がりを使っていますが、スローペースに泣きました。アーバンシック(11番人気)は歩様に勢いがあって、完調時の雰囲気がだいぶ戻ってきました。2000mだと前に行けませんが、直線勝負に徹して懸命に差を詰めてきました。復調を示し、次につながるレースができました。

 

 

 

text by 京増 真臣

 

 

  

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

 

 

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