パッと見でわかりやすい競走馬の血統解説
初めまして、サラブレッド血統センターの平出貴昭と申します。今回、9月28日にTwitterにアップした『種牡馬適性分布図』が予想を上回る反響をいただいたことから研究ニュースさんの関係者からお声がけをいただき、少しでも多くの皆様に『種牡馬適性分布図』をご覧いただきたく、今回、この場を与えていただきました。
私は、普段から種牡馬に関する業務に携わっています。種牡馬広告本『スタリオンレヴュー』の作成や、共有クラブカタログの種牡馬解説、その他名前は出していませんが、様々な媒体で種牡馬解説などをしています。
そういう仕事をしていくうちに、自ずと種牡馬の特徴などは頭に入ってきます。脳内の記憶力には限界があるので、独自のデータにまとめて蓄積したりしているのですが、その課程で思いついたのが今回の『種牡馬適性分布図』でした。
そこで、思いついた種牡馬でササッと作成したのが以下(図1)のものです。それほどキッチリと調べもせず作ったもので、今見ると完成度が低くて恥ずかしいものですが、「こんなの作ってみました。どうですか?」という軽い気持ちで公開したところ、100以上のリツイート、400以上のいいねを集めました。
この数字はtwitterフォロワー数2000に届いたばかりの私にとっては驚きの数字。普段はマニアックな血統のことばかりをツイートしているので、いいねが2桁いかないことも多く、多い時でも50くらい。今回も同じだろうと思っていたところにこの反響で、「わかりやすい」「参考になります」といったコメントもたくさんいただきました。
いわば思いつきで中途半端に作ったものにこれほどの反響をいただいてしまい、「これが完成形だと思われては困る」と思って作り直したのが以下の画像(図2)です。今度は距離の目安も入れ、種牡馬名もTurn-toやNorthern Dancerといった系統ごとに色分けしました。だいぶ見やすく、わかりやすく改善されたと思います。
これをアップロードしたのが9月28日木曜日の25時過ぎ。夜中にもかかわらず、Twitterのリツイートやいいねがどんどん増え、ついにはいいねが1100を超える数字となりました。フォロワーも100人くらい増えたようです。
前述したように、普段は「わかる人にだけわかればいい」という気持ちで、マニアックな血統や配合などに関するツイートばかりしている私にとってはこれは画期的な出来事でした。このようにパッと見でわかりやすいものなら、“血統は難しい”と思ってしまうような人でも興味を持ってもらえるのだと感じました。
マニアックな内容でわかる人にだけわかってもらうのも楽しいのですが、このように、多くの人に支持されるものを作って、“血統ファン”の裾野を少しでも広げることができたら素晴らしいなと、改めて思いました。
その後、分布図のことを考えていたら新たなもの『現役馬勢力分布図・芝編』を思いついたのでこれも作って公開しました(図3)。今後も、これら分布図だけでなく、“多くの人にわかりやすいもの”を意識していこうと思います。
『種牡馬適性分布図』の解説と注意点
さて、ここからはこの『種牡馬適性分布図』の解説と注意点を書かせていただきます。ご覧になるとおわかりかと思いますが、左側がダート向き、右側が芝向き、上に行くほど長距離適性あり、下に行くほど短距離適性あり、という意味です。
各種牡馬の位置は、芝、ダートごとの勝利数、代表産駒の傾向などのファクターから総合的に判断しています。ダートの勝利数が多くても、ダートで上級馬を出していない馬は芝寄りになっている場合もあります。
例えばキングカメハメハは芝の1200mでも3400mでも重賞勝ち馬を出し、芝でドゥラメンテやロードカナロア、ダートでホッコータルマエといったGIホースを出しており、どんな条件でも活躍馬を出すということで限りなく真ん中に近い位置に、JRA246勝中ダートはわずか18勝(2017年10月1日現在)のハービンジャーのような馬は右端になります。
難しいのが距離適性。「1400mや1800mでは走るけど、1600mはダメ」という馬も存在しますが、その場合は中間の1600mのあたりに位置しています。このあたり、言いたいことが伝えられないジレンマはあるのですが、ご理解いただければと思います。
全ての皆様が納得いくものにするのは難しいことだと思いますし、現時点でも修正が必要な部分はあると思っています。もちろん、今後の競馬次第で傾向は変わっていくので、今後も更新の必要があるでしょう。1回作って終わりでなく、今後もブラッシュアップしていこうと思っております。皆様もご意見、ご感想などいただければと思います。