旅うまチャレンジスタンプラリー門別(前編)

 

 晴れました。でも夜は寒いです。今回はこの旅初めての北海道上陸で10月16日エーデルワイス賞当日の門別競馬場を訪れました。

ついに北の大地へ

 

 ご存知の通り、9月の北海道胆振東部地震により門別競馬場も断水などの被害を受けました。今回の遠征では体に感じる地震はなかったものの、日高方面へ向かう日高道も地震の影響と思われる隆起を補修した箇所が至る所に見られ、さながらジャンプ台のようになっており、一部区間は50㌔規制されているなど、まだまだ地震の影響を感じさせました。

 門別競馬場は北海道沙流郡日高町に位置し、開場してまだ20年ほどの日本で一番新しい競馬場です。コースは外回りと内回り(2015年より使用)を備え、外回りは1周1600mと、地方競馬では最大級の広いコースとなっており、330mある外回りの直線では激しい追い比べが展開されます。砂厚は12cmと他場より深めの設定で、しばしば「タフな馬場」と称されます。2009年からは全日程を「グランシャリオナイター」としてナイター開催で行っており、澄んだ空気のもと、照明に照らされながら駆け抜ける馬たちの姿はとても映えますし、夕暮れのレース風景も綺麗です。

 門別競馬を開催するホッカイドウ競馬は、昨年29年度実績で場外の売上が98.4%、電話投票(ネット投票)が80.9%と、立地的なこともあり、ほとんどを競馬場以外の投票が占めています。よって競馬場を訪れる人はそこまで多くなく、「ポラリス☆スタンド」「Aスタンド」の2つを合わせても収容人数は1300人で、スタンドの端から端までもすぐに行けます。

 立地の話をしましたが、競馬場方面へ向かうJR日高本線は災害により2015年から鵡川以降が不通となっており、アクセスは現実的には車かバスになります。新千歳空港からは車で日高道経由で1時間弱、札幌駅からは路線バスで約1時間50分です。札幌駅からであれば、予約制ですが送迎バス(約1時間30分)も出ています(無料です!)。

とねっこゲート

ポラリス☆スタンド

 

 

 門別競馬場のグルメで有名なものは入ってすぐの「とねっこ広場」でバケツに乗せた鍋で楽しむ「とねっこジンギスカン」、ポラリス☆スタンド内「いずみ食堂」のいずみそば、「小径Café」のドライカレーなどです。

 いずみ食堂のそばは、うどんかと思うほどの太く乱切りにされた独特な麺で寒い時季にはとても温まります。出汁も是非味わってみてください。日高町にも店舗があります。小径Caféのドライカレーはジックリ煮込まれたたまねぎと肉のジューシーな旨味、そしてジワジワくる辛さがこちらも寒い時季にはありがたいです。 

いずみ食堂 山菜きのこそば(850円)

小径Café ドライカレー(600円)

 

 

 メインレースのエーデルワイス賞は地元門別のアークヴィグラス(石川倭騎手・小野望厩舎)が好位追走から直線で抜け出し、1番人気のデンバーテソーロ(JRA)をクビ差抑え、重賞3連勝でのダートグレード制覇を果たしました。

 門別競馬は馬産地競馬とも呼ばれ、2歳戦の割合が非常に多く、日本で最初に2歳馬が走り始める競馬場で、ダートグレードのエーデルワイス賞、北海道2歳優駿をはじめ、2歳重賞も数多く行われています。

エーデルワイス賞のゴール

石川倭騎手

 

 

 2歳戦が多いということは不確定要素や知らない馬が多いわけですから、門別ビギナーの方にはやや手を出しづらいところがあるかもしれません。そこで、今回は特別企画として、同期入社で現在ホッカイドウ競馬で取材などを担当する板垣祐介記者に「2歳戦の楽しみ方・見方」ということでエーデルワイス賞前日に話を伺ってきました。

 「やっぱり新馬(フレッシュチャレンジ)の場合は能検(能力検査)の映像・内容を見るべきですね。能検の映像はHPで公開されているので、どなたでも見ることができます。一杯に追っているのか流しているのか、まっすぐ走っているのかなど、馬場状態もありますし、時計にとらわれず判断することが必要だと思います。逃げ切っていても、気性的に行ってしまうタイプなのか、抑えが利いているのかというのもあります。栄冠賞(国内で一番最初に行われる2歳重賞)が最初の目標となることもあって、有力馬の多くは3月の最初の方の能検を受けることが多いですね。

2歳戦について語る板垣祐介記者

 坂路の時計も基準にはなります。田中淳厩舎、角川厩舎は時計を出してくる厩舎ですし、2歳の最初の頃に35秒台などで上がってくる馬は重賞級の素質があると見て、あながち間違いではないと思います。脚力があるということなので」 

 

 

 門別は地方競馬のなかでは充実した屋内調教用坂路コースがあることでも知られ、調教師リーディングでは田中淳厩舎と角川厩舎の2厩舎が他を圧倒する勝ち鞍を挙げています。

 「田中淳厩舎と角川厩舎に2歳の素質馬が多いのは確かだと思います。新馬戦ではまずその2厩舎に注目した方がいいですね。逆に小野厩舎は時計は出さない厩舎で、2歳で結果を出す馬もいますが、レースにはもちろん仕上げますけど、そこまで2歳で仕上げることがあまりないので先々の伸びしろが大きい場合があります」

 「2歳は急に成長したりするので、坂路の時計が一杯に追って38秒だったのが37秒になるだけでも狙い目となると思います。負荷をかけられるようになってそれに応えられるようになったということなので。パドックで甘えていた馬がまっすぐ歩けるようになったり、しっかり踏み込めるようになったり。いつそうなるかは分かりませんが、気性の成長ですね。まず新馬戦を見て、オープンや重賞は見たほうがいいですね。しっかり仕上げるとパドックでどういう歩きになるのか。幼さが抜けてきたなというのも見ていれば分かるようになると思います」

 「あと、高倉さんのパドック解説は聞いた方がいいです。馬の見立てを間違うことはほぼありません。パドック解説で『芝向きの歩様』などの話を覚えておいて、函館や札幌の芝に使いに行く時に覚えておくと、好配当にありつけるかもしれません。ただ、札幌と違って函館は遠いので輸送がありますし、気性的に函館の芝で結果が出なくても、札幌の芝で変わり身を見せることがないとは言い切れないですね。もちろん馬の状態にもよりますけど」

 

 

 門別ではちょっとした距離の違いや、コースの違いでもレースの質がガラッと変わってくるようです。

 「門別はタフな馬場と言われますが、時計がかかるというだけではなく、特に今年の場合は1200mだけ時計がかかるんです。1000mでは極端に言えば行きっぱなしでも勝てますが、1200mでは器用さが必要になってくるので、馬の気性を見て、コメントを見ての判断が必要です」

 「また、主に先行したい馬にとっては、1000mの内枠は多少有利でも1200mの特に最内枠は不利になります。なぜかと言うとポケットからのスタートで、スタートしてすぐ周回コースと合流するので、最内枠は砂の境目の影響を受けやすく、かつ、その合流地点で視界を狭めるように内側から現れてくるラチを馬が気にして、ダッシュがワンテンポ遅れてしまうことがよくあるからなんですね」

 「内回りということで言えば、距離というよりもラップの構成がスプリント戦に似た形になりやすくて、イーブンラップで流れて向正面でタメを作れないんですよね。距離が長いんじゃないかなという馬でも内回りならこなせるという場合もあります。逆にスピードがなくて血統的にも距離が延びたほうがいいんじゃないかという馬が外回り1200mから内回り1600mなどに替わると苦しくなる場合もあると思います」

 

 

 門別の2歳馬は、他地区へ遠征や移籍しての活躍が目立ちます。その要因は何なのでしょうか?

 「完成度が違うというのはあります。坂路ができて、調教の数を楽に積めるので、効率が上がるんですよね。ただ、坂路ばかりだと気性的に成長しなかったり、後ろばかり強くなったりするので、当然コースの調教も必要なのは確かです」

 「門別は一番早く新馬戦がありますし、いかに早く仕上げるかという点では門別の厩舎はよく心得ているんじゃないかと思います。オフシーズンのある競馬ということで他と比べて2歳戦が短期決戦になるので、当然仕上げも早くなり、その分他と比べて気性・心肺機能の成長が早くなるということもあります。レースで教えることもありますし、他と比べて涼しい気候ゆえにレース数をこなせるので、その分レースの走り方を馬が覚えられるということも大きいと思いますね」

 「門別では、有力馬はシーズン終了後も門別に残り続けるといったことはほとんどありません。全体のレベルが高いですからトップクラスでなくても他の地域で活躍できますし、すべての2歳を覚えていて損はないと思います。いいなという馬がいれば、他の競馬場に移籍しても追いかける楽しみがあるんじゃないでしょうか。その競馬場に適応できるかどうかというのも走りを見ていれば分かってくると思いますし、他の競馬場のことも分かってきます。地方競馬を知らないという人でも門別の2歳を追いかけていれば地方中央問わず競馬全体につながってきますし、地方競馬を始めるなら門別の2歳から始めるのも面白いですよ」

 

 

美しい夕暮れのレース

 いかがでしたでしょう。今年の門別競馬はもうすぐシーズン終了(11月15日が最終日)を迎えますが、今年も門別でデビューしたダブルシャープ(若葉S 2着)、ハッピーグリン(巴賞 3着)、ナイママ(札幌2歳S 2着)など、JRAで活躍する馬が現れています。まだ門別競馬をよく知らないという方も来シーズンの門別の2歳馬たちに注目してみてはどうでしょうか。もちろん、是非門別競馬場にもご来場下さい!

 また、門別競馬メインレースのネット新聞無料提供も行っています(アプリのインストールが必要です)ので、是非こちらもご利用いただき、残り少ない今シーズンの門別競馬もお楽しみいただければと思います。

 次回後編では門別競馬場とセットでオススメしたいスポットをご紹介します。次回も特別企画を用意していますので是非ご覧下さい。

 

前回の浦和編はこちら

 

競馬ブック M.M

 競馬があるところにはどこへでも足を運び、JRA、地方競馬場を踏破。2016年には香港にも遠征。JRAは勿論だが、地方競馬が大好物。ただ、馬券はド下手という致命的な弱点を持つ。どうしても競馬に関わる仕事がしたいと一念発起して、2017年競馬ブックに転職。業務で校正など、日々「日本語」と格闘中。