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第157回 天皇賞(春) 回顧

 2018年4月29日(日) 3回京都4日、当日は天皇賞日和と言いましょうか、気持ちのいい陽気でした。勝ったのは2番人気のレインボーライン。これまでも惜しいレースはありましたが、10度目の挑戦でG1初勝利を挙げました。管理する浅見秀一調教師は1998年のメジロブライトに次いで、このレース2勝目。岩田康誠騎手は2015年桜花賞レッツゴードンキ以来となるG1勝ちとなりました。レース後に岩田騎手が下馬し、馬運車で運ばれていった時には心配されましたが、その後の発表で命に別状がなさそうなのは何より。それではレースラップへ。

3:16.2(13.0 – 11.2 – 11.4 – 12.0 – 12.5 – 12.3 – 12.0 – 13.2 – 12.6 – 12.6 – 12.8 – 12.6 – 12.1 – 12.1 – 11.4 – 12.4)

 大方の予想通りヤマカツライデンがハナを叩こうとするところに、外からトミケンスラーヴァが競りかけていき、テン3ハロン35秒6。これはレコード決着だった昨年と同じで、過去10年で最も速くなりました。序盤は縦長の隊列で推移。何とかヤマカツライデンがハナを死守し、ポジションが定まるとその後は平均よりユッタリとした流れ。スタンド前を通り過ぎ、1コーナーから2コーナーにかけて13秒2と全体で最も遅い区間で、先頭のヤマカツライデンと2番手のトミケンスラーヴァの差は広がっていきます。2番手以降はかなり遅い流れとなり、向正面では痺れを切らしたのかサトノクロニクルが外から押し上げていき、それに呼応してアルバート、トーセンバジル、チェスナットコートといった面々も進出を開始。2番手以下の馬群が一気に凝縮します。ただ、ここで中団にいたレインボーラインは動かず、その点をインタビューで問われた岩田騎手は「直線は絶対にいい脚を使ってくれるので、我慢できるだけ我慢しようと思いました」とコメント。ここが勝負を分ける1つのポイントとなった感じ。直線は外に出そうとしますが、チェスナットコートが邪魔になると見るやすぐさま内へ。最終的には勝ち馬の内から脚を伸ばして先頭に立つとゴールへ。馬を信じて乗った岩田騎手、最後まで落ち着いていました。

レインボーライン血統表

 残り1000m手前、外からサトノクロニクルが来たこともあり、2番手以降はペースアップ。ここで集団を引っ張っていたトミケンスラーヴァが脱落。代わって、ガンコ、シュヴァルグランが集団を引っ張っていきます。シュヴァルグランは自ら逃げるヤマカツライデンを捕まえにいき、直線でガンコを振り切って先頭へ。ラスト2ハロン11秒4 – 12秒4はほぼほぼ同馬がマークしたラップ。レース全体が早めに動いて最後は疲れたこともあるでしょうが、思ったよりも先頭に立つのが早く、一頭になってしまったことが悔やまれます。展開的に一番強い競馬をしたのはこの馬でしょう。3番人気のガンコは14着。パドックではこの馬が良く見えましたが、これがG1初挑戦。レースでは現役最強馬ともいえるシュヴァルグランに付き合って勝ちにいく競馬だっただけに、さすがに厳しく、最後は力尽きました。

 クリンチャーはテン乗りでしたが、三浦皇成騎手は出していって、中団のポジションをキープ。向正面で前のソールインパクトをかわしてシュヴァルグランをマークする形。3~4コーナーではロスなく内を立ち回って、直線で外へ。渋太く脚を伸ばして3着入線。全体的に非常にうまく乗れたと思います。1枠の2頭が4、5着。ミッキーロケットは途中まで好枠を生かしてロスのない競馬ができましたが、向正面でレースが動いた時にバテた馬が下がってきたために一旦外へ出さざるを得ませんでした。ただ、結果的にここで動けなかったことで余力が残った感じ。直線は一瞬内から抜け出しそうな勢い。チェスナットコートは押して押して中団。レースが動いたところからずっと手が動いていましたし、勝負どころでは外々を回っており、かなり長く脚を使っています。G1初挑戦を考えると大健闘でしょう。

text by 小林  

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。