雨を切り裂き、大舞台で躍動




 2回東京8日目11R第13回GⅠヴィクトリアマイルは8番人気ジュールポレールが優勝。写真判定となった接戦をモノにした。鞍上の幸英明騎手はセイウンコウセイで制した昨年の高松宮記念以来となるJRA GⅠ7勝目。幸騎手、そして管理する栗東・西園正都調教師ともGⅠヴィクトリアマイルはこれが初勝利。ジュールポレールは父ディープインパクト、母サマーナイトシティという血統。生産は白老の社台コーポレーション白老ファーム。馬主は㈱G1レーシング。

ここからは、本紙予想を担当した京増TMによるレース回顧です。

 

勝ち時計 1.32.3(雨・稍重)

前半4F → 後半4F 46.8 → 45.5 (Sペース)

12.4 – 11.3 – 11.5 – 11.6 – 11.5 – 11.1 – 11.2 – 11.7

 

 

【展開・ペース】

 この日は7Rの前ぐらいから雨が降り出し、10Rの頃には馬場の発表は稍重に。ゲートが開くと大方通り、カワキタエンカが馬群を引っ張ったが、ゆったりしたラップが続き、半マイル通過46秒8のスローペースになった

 

【レース分析】

 勝ったジュールポレールは、道中は無理に動くことなく、リズムを守って中団の8番手を追走。4コーナーでは馬群の切れ目からスムーズに外へ出すことができた。前走のGⅡ阪神牝馬Sでは、直線で挟まれる不利を受けたが、勝つ時というのは、すべてがうまくいくもの。レッドアヴァンセの外から懸命に脚を伸ばし、最後はリスグラシューの追い上げをハナ差凌いで待望のGⅠ制覇。当日のパドックでは馬体が引き締まっており、柔らかな身のこなし。昨年、③着に好走したように能力は高いが、状態の良さも勝因として挙げられる

「ここまで勝たせてあげられなかったのでGⅠの舞台で勝てたことは本当に嬉しいです。終いに脚を使ってくれるのは分かっていたので、すぐに(外へ)出られる位置にいました。必死に前を追って最後は豊さんと追い比べになり、どちらが勝ったか分かりませんでしたが、大きなハナ差でしたね。これをキッカケにして、今後ももっと走ってくれると思います」と幸騎手。デビュー5戦目以降、騎乗し続けきた分だけ喜びも大きく、格別の勝利だったはず。

 

ジュールポレールの4代血統表

 

 リスグラシューは落ち着いた流れでは、とても届かないと思える位置から、メンバー最速の上がりをマークし、ハナ差の②着。デビュー当初と比較して20キロ近く馬体が増えたのは成長の証明。また3歳時にあった線の細さがなくなり、堂々としてきた。今の充実ぶりなら、仮にGⅠ安田記念に出走してきても勝ち負けになるのでは。レッドアヴァンセは先行勢に有利な展開に恵まれた部分はあったが、アエロリットに競り勝って③着と見せ場十分。3歳時は牝馬クラシックに駒を進めた好素材だが、5歳を迎えて更に力をつけている。

 本命にしたアエロリットは、ジワっと3番手に取り付いて絶好のポジションに収まった。後続は水分を含んだ馬場で切れ味を削がれると考えていたので、内心、「やった」と思ったが・・・。直線に向いてレッドアヴァンセに競り落とされると、更にジュールポレールリスグラシューの瞬発力に屈して④着。落鉄する不運もあったが、結果的には、スピードの持続力勝負に強いアエロリットだけにもう少しペースが速くなった方が持ち味が生きたのではないだろうか。

 

 

 

text by 京増真臣/構成・藤原

 

  ※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

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