平成最後に、夢叶う
2回東京12日目10R第86回GⅠ日本ダービーは単勝5番人気のワグネリアンが優勝。鞍上の福永祐一騎手はキングヘイローに騎乗した1998年から20年。通算19度目の挑戦で見事にダービー制覇を成し遂げた。管理する栗東・友道康夫調教師は16年マカヒキ以来2度目の優勝。ワグネリアンは父ディープインパクト、母ミスアンコールという血統。生産は安平のノーザンファーム。馬主は金子真人ホールディングス㈱。
それでは京増TMにレースを振り返ってもらいましょう。
【展開・ペース】
皐月賞馬エポカドーロが先導役を務めて、前半1000m通過が60秒8のスローペース。道中で動いてくる馬もおらず、先行タイプに有利な流れに。
【レース分析】
ワグネリアンはパドックでいくらかうるさい面を見せていたが、もともとテンションの上がりやすいタイプ。この程度は許容範囲内。むしろ、皐月賞当時より攻めを強化していた中で、この雰囲気なら厩舎の仕上げがうまくいったという感触を持った。ゲートが開くと、これまでのレースぶりとは一転し、先行策。掛かることを恐れず、前が残る馬場と展開を考えて積極的に乗った福永騎手。このファインプレーが勝利を引き寄せた。前を射程圏に入れて直線へ。鞍上の叱咤に応えて懸命に脚を伸ばし、エポカドーロを捉え、交わし切ってゴール。福永騎手にとっては悲願のダービー制覇。これまでの経験を糧に執念で掴み取ったダービーと言える。
「ジッとしているとポジションが悪くなるので、掛かる恐れはありましたが、あの位置を取りに行きました。うまく他馬の後ろに入れることができて、そこでいけるんじゃないかと。直線は先行勢が渋太かったですが、最後はただただ気合だけで、夢中で追っていました。①着でゴールしたのは分かりましたが、何が何だか分からない感じ。これまでとは違う初めての気持ちになりました」と福永騎手。昨年7月のデビューからワグネリアンの背中には常に福永騎手の姿があった。大一番での大胆な騎乗を可能にしたのは、これまで十二分にコンタクトを取り、パートナーを理解し、その力を信じていたからこそ。
エポカドーロは、誘導馬(シュガーヒル)に連れられ、他馬より遅れてパドックへ登場。中間のかなりソフトな攻め過程を含め、気難しい面を残すのだろうが、状態を落とさずにダービーを迎えられたのは厩舎力だろう。果敢に逃げを打ち、スローペースに落として理想的なレース展開に持ち込めたが、最後は勝ち馬の瞬発力に屈して惜しい②着。ただ、2馬身差をつけて皐月賞を勝利した力は伊達ではなかった。
コズミックフォースは、すみれS⑤着から状態を戻してプリンシパルSを勝ち、今回は更に気配が上向いている印象を受けた。石橋脩騎手が積極的に運んで見せ場たっぷりの③着。もともとポテンシャルの高い馬で展開が味方すれば、これぐらいは走って不思議ないのだろう。④着のエタリオウは不向きな展開の中、後方待機組では唯一、掲示板に載る上々の内容。今後の活躍にも期待したい。
ブラストワンピースはプラス10キロという数字が示す通り、いくらか体は立派でも、パーツはガッチリとして迫力があったし、仕上がりは悪くなかった。直線入り口でジェネラーレウーノが後退してきたのは誤算だった。この影響で少し追い出しが遅れ、外へ進路を切り替えるロスもあったが、初めて一線級と対戦して0秒2差⑤着。今後につながるレースはできた。先々まで目が離せない存在。ダノンプレミアムは、いつも通り、パドックでうるさい仕草は見せていた。しかし、弥生賞以来でも馬体はキッチリできており、9分以上の仕上げに映った。1番枠から先行集団のインを進み、上手に運べたが、直線に向いたところで少し窮屈に。その後、ジェネラーレウーノが後退し、進路が開いた際、いつもの弾けるような脚を使えていれば抜けて来られたはずだが・・・。このあたりは3カ月の休み明け、そして2400mという距離が微妙に影響したか。
text by 京増真臣/構成 藤原
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