2回札幌5日目11Rに行われた第53回GⅢ札幌2歳Sは6番人気の伏兵ニシノデイジーがゴール前の叩き合いを制して未勝利→重賞を連勝。騎乗した勝浦正樹騎手は昨年3月のGⅢマーチS以来となる重賞勝利、管理する高木登調教師もサウンドトゥルーによる2016年のGⅠチャンピオンズC以来となるJRAでの重賞勝利となりました。ニシノデイジーは北海道浦河町・谷川牧場の生産馬で、馬主は西山茂行氏。通算成績は3戦2勝。尚、当日版の紙面上では美浦で高木登厩舎の取材を担当している早坂TMが◎→△で高配当を的中。こちらの詳細は◎のワケに記載してあります。

それではレースを振り返ってみましょう。

 

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【展開・ペース】

 稍重でスタートした(8レースから発表は良馬場に変更)この日の馬場状態を考えると前半3ハロン36秒0、1000m通過60秒4は早目の流れ。その後もラップは緩まず、レース上がりが37秒6でしたから、新馬戦を好タイムで勝ってきた馬がスピード、瞬発力を生かし切れないのも仕方のない結果。パワー優先の馬場状態、緩みない流れからの消耗戦に耐えられる持久力を備えているタイプが浮上した印象を受けました。

 

【レース分析】

 勝ったニシノデイジーは前半、中団の後ろあたりに位置して勝負どころから進出を開始。②着馬を追うように仕掛け、巧みなレース運びが光りましたが、最後の追い比べを制した勝負強さもなかなかのもの。今後はスローペースからの切れ味勝負への対応が課題になりそうですが、上手に立ち回れる機動力は見逃せず、大きく崩れるケースも考えにくいタイプに映りました。

「勝負どころでの手応えが良くて、馬が上手にレースをしてくれました。それにしても強かったですし、まだ幼さが残る中で、この勝ちっぷりは凄いですね。まだまだ良くなってきそうです」勝浦正樹騎手も将来を意識したコメント。次は広いコース、良馬場でのレースぶりを見てみたいものです。

 

ニシノデイジー4代血統表

 

 惜しかったのは②着に健闘したホッカイドウ競馬所属のナイママ(4番人気)。2番人気の⑦着馬を意識したレース運びからのスパートが結果的に早仕掛けとなり、勝ち馬に格好の目標にされた形ですが、それでも、驚異的な粘りを見せてクビ差の惜敗。鞍上も「結果的に動くのが早過ぎました。もう少し我慢するべきでした」とレース後にコメント。南関東の川崎に移籍して次走に向かうようですが、こちらはホッカイドウ競馬在籍時のレースぶりを見ると、典型的なパワータイプとも思えませんから、軽い芝で鋭さを増す可能性も考えておきたいですね。

 ③着のクラージュゲリエは1番人気の期待に応え切れない結果となりましたが、初戦でスローペースを外から突き抜けた瞬発力が身上ですから、この日の馬場状態、消耗戦の流れは不向き。コーナーリングが少しギコチないなど、若さも覗かせていましたから、むしろ将来性の高さを再認識させる内容といえます

 ④着エメラルファイト(8番人気)は出遅れて、早目の位置獲りから抜け出して後続を振り切った初戦とは違う形のレースでも、大外を回って上々の伸び脚。新たな面が見られたのは収穫で、あとは時計勝負への対応が今後に向けてのポイントになるでしょう。⑤着アフランシール(3番人気)は行きたがる面が見られて伸び切れませんでしたが、やはり理想は良馬場のタイプ。初戦の勝ちっぷりを考えると、折り合って決め手を生かせれば距離は問題ないはずです。

 2番人気で⑦着だったウィクトーリアも同様に馬場状態や流れが向かず。しかもスタートで後手を踏み、向正面から勝負どころでは馬群の外に出せずに、馬場の荒れた内側を通らされていましたから、力負けとは思えませんね。良馬場でスムーズなレースができれば巻き返しは必至でしょう。

text by 五十嵐

 

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