牝馬限定のハンデ戦。第4回GⅢターコイズSは単勝5番人気に支持されたミスパンテールが内から差し切り、昨年に続く連覇を達成。今年のGⅡ阪神牝馬S以来となる通算重賞4勝目を挙げた。騎乗したのは昨年も手綱を取った横山典弘騎手。管理するのは栗東の昆貢調教師。ミスパンテールは北海道・日高の三城牧場の生産馬。馬主は寺田千代乃さん。
それではレースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】
ハーレムラインが内から飛び出したが、外からカワキタエンカがこれを制すようにハナを奪い、それにつれるようにポジションを上げたフロンテアクイーンが2番手を確保。逃げるカワキタエンカは向正面に入ってからもペースを緩めず、600m通過が34秒2、1000m通過は57秒0のハイペースに。
【レース分析】
ミスパンテールは府中牝馬Sから始動し、これがこの秋3戦目。エリザベス女王杯は⑫着と敗れたが、それから2週後にコースで時計を出し始め、ターコイズSの1週前、当該週と馬なりながら速いタイムをマーク。連戦の疲れは微塵も感じられなかった。またこれまで同様、追い日には西谷騎手が必ず騎乗。いつも通りの調整ができる=体調面に不安がない証だったとも考えられる。
レースは3番枠を生かして好位のインをロスなく追走。直線に向くと勢い良く伸びていたリバティハイツがグッと前に出ると、その後ろにできたスペースに瞬時に馬体を滑り込ませる。そこから追い上げ態勢に入ると十分に脚が溜まっていたこともあってスパッと弾けた。昨年は針の穴を通すような進路取りでミスパンテールを勝利に導いた横山典弘騎手。今年もさすがと唸らされる直線の動き。そんな鞍上の意を汲み、瞬時に動けるミスパンテールもまた立派。しかも、昨年より3キロも重いトップハンデを背負って勝利だけに価値は高い。
「最近はゲート内でソワソワしていましたが、今日は落ち着いていました。馬のリズム、気に任せて自然体で走らせました。昨年は混戦でしたが、今年は早目にいいスペースを確保できたので楽でした。長いところ(エリザベス女王杯)を使って大変でしたが、マイルでいい競馬ができて良かったですし、来年も頑張りたいですね」と横山典弘騎手はレース後にパートナーの走りを称えていた。
②着のリバティハイツはスタート後に仕掛けて前へ。4、5番手を手応え良く追走し、直線に向くと残り1ハロン標識を過ぎたあたりで先頭に立った。最後はワンテンポ追い出しを待ったミスパンテールに交わされたが、先行勢に厳しいペースであったことを考慮すれば負けて強し。GⅡフィリーズレビュー以来の勝利はもう目の前だ。
デンコウアンジュが内目から鋭く伸びて③着。直線に向くと柴田善臣騎手は内へ進路を取る。冷静に目の前に横たわる馬群の中に進路を見い出し、上手に捌いて脚を使わせた。デンコウアンジュには初騎乗ながら力を存分に引き出したあたりはジョッキーの腕だろう。
④着フロンテアクイーンは今回も馬券圏外に敗れたわけだが、ハイペースを2番手追走から0秒2差に踏ん張っており、この一戦でそれほど評価を落とす必要はない。1番人気プリモシーンは⑧着。4コーナーから直線にかけて何度か接触するシーンがあったのが痛かった。
text by 藤原
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。