三冠達成へ視界良好



 2回東京10日目11R第79回GⅠオークスは1番人気に応えてアーモンドアイが優勝。12年ジェンティルドンナ以来、6年ぶりとなる牝馬2冠を達成した。鞍上のC.ルメール騎手は昨年、ソウルスターリングで勝っており史上6人目となるオークス連覇を達成。39歳のバースデーを自ら祝った。管理する美浦・国枝栄調教師は10年アパパネ以来となるオークス制覇。アーモンドアイは父ロードカナロア、母フサイチパンドラという血統。生産は安平のノーザンファーム。馬主は(有)シルクレーシング。

それではレースを振り返りましょう。

 

勝ち時計 2.23.8(晴・良)

前半4F → 中盤4F → 後半4F 47.6 → 48.9 → 47.3 (Mペース)

12.6 – 11.1 – 12.0 – 11.9 – 12.0 – 12.2 – 12.4 – 12.3 – 12.4 – 12.2 – 11.1 – 11.6

参考 12年(勝ち馬ジェンティルドンナ)

勝ち時計 2.23.6(晴・良)

前半4F → 中盤4F → 後半4F 47.1 → 48.6 → 47.9 (Mペース)

12.6 – 10.9 – 11.6 – 12.0 – 12.0 – 11.9 – 12.4 – 12.3 – 12.2 – 12.1 – 11.8 – 11.8

 

 

【展開・ペース】

 スタート後、サヤカチャンが押して押してハナを奪い、ランドネリリーノーブルが続く形。サヤカチャンは1、2コーナーを回ってもペースを落とさず、後続とのリードを広げていく。参考として挙げた2012年は1000m通過59秒1というタイトなペースながら約20馬身の間に逃げ馬から後方馬群までが収まっていた。これと比較すると今年は逃げ馬だけが速く、2番手以降はスローペース。結果的に先行した面々でも33秒台の上がり3ハロンでまとめており、差しタイプにとっては辛い展開だった

 

【レース分析】

 アーモンドアイは、大きく出遅れた桜花賞と違い、今回は五分のスタート。桜花賞では鮮やかな直線一気を決めており、距離が延びる点と、前走の再現を狙い、後方でジックリ運ぶのかと思いきや、ルメール騎手は5,6番手へ誘導。大一番でこれまで戦果を挙げてきたスタイルとは違う戦法を選択できるのはパートナーに絶大な信頼を寄せているからこそ。更に圧巻だったのは直線に向いて12秒2→11秒1と急激にラップが上がった残り3→2ハロン標識地点。この急加速にも楽な手応えで対応し、あっという間に粘るリリーノーブルを交わして先頭。そして最後まで脚いろは鈍ることなく、自身の脚力で勝ち時計をレースレコードにコンマ2秒差まで押し上げて見せた。

 

 

「少しテンションが高かったですが、スタートが速くていい位置で運べました。直線で仕掛けてからの加速は凄かったですね。桜花賞はまだ余力がありましたが、今日は精一杯走りました。トリプルクラウン(牝馬3冠)いけると思います」とルメール騎手。楽勝ではあったが、今回は目一杯走り切った様子。勝ち時計も速く、今は激戦の疲れを癒してもらいたい。史上5頭目の牝馬三冠達成、そして更なる高みへ。秋以降は歴史に名を刻む戦いが続いていく。

 

パドックでのアーモンドアイ。キビキビとリズム良く周回。馬上のルメール騎手はリラックスした表情。Photo by yu~kun

 

 リリーノーブルは最内枠を生かし、内の3番手の追走。2番手以降はゆったりしたペースだった点を考慮すると絶好の位置取り。直線に向くと川田騎手は状態のいい馬場の真ん中へエスコート。追われてからの反応も非常に良かったが、今日のところは勝ち馬を褒めるべき。ただ、4度目の対戦で初めてラッキーライラックに先着した点は高く評価できる。レース後に骨折が判明したのは残念だが、軽度だったのは幸い。ローズSで復帰できる見込み。

 ラッキーライラックは、リリーノーブルの後ろを追走。直線では馬場のいい外目を持ち出し、外のアーモンドアイに馬体を寄せていくが、上がり勝負となった分、追われて内へヨレて勢いが鈍ったのは誤算。それでも、石橋脩騎手が左ムチを入れて修正すると前2頭に食らいついて③着を確保。サトノワルキューレはフローラSに続く東上でも馬体はプラス6キロ。落ち着きもあり、いい仕上がりに映った。しかし、前述した3→2ハロン地点で急加速した際、追っつけながら前を追う形に。今日のところは瞬発力比べで見劣ったが、流れが違っていれば、もっと上の着順を狙えたはず。秋の逆襲に期待したい。

text by 藤原

 

 

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