力を信じて追った525.9m

 2017年6月4日(日)3回東京2日11R 第67回安田記念(GⅠ)は、単勝7番人気のサトノアラジン(父ディープインパクト×母マジックストーム)が優勝。1分31秒5という勝ち時計はコースレコードとコンマ2秒差という優秀な数字。サトノアラジンは2011年のセレクトセールで1億3,650万円で落札され、デビュー戦の勝ちっぷりからも将来有望と期待された好素材。しかし、なかなか結果を出せず、昨年ようやく重賞初制覇。そして6歳を迎え、海外も含め7度目の挑戦で待望のGⅠタイトル獲得となりました。

それでは、レースラップです。

勝ち時計 1分31秒5 前・後半4F 45秒546秒0

12.2 – 10.6 – 11.1 – 11.6 – 11.6 – 11.0 – 11.3 – 12.1

16年安田記念

勝ち時計 1分33秒0 前・後半4F 47秒046秒0

12.3 – 11.0 – 11.7 – 12.0 – 12.1 – 11.3 – 10.9 – 11.7

 

 Cコースに替わって2週目を迎えた東京芝コース。土曜は3、4コーナー、直線で内を避けて通るシーンが見受けられましたが、日曜日はそのような進路取りはほとんどなく内・外イーブンの状態に。馬場傾向の推移は日本ダービーが行われた前週によく似ていました。含水率は低く(乾いて)、時計の出やすい馬場コンディション。それではレースを振り返ります。ロゴタイプが先導役を買って出たのは昨年と同じでしたが、前・後半の4Fは45秒5→46秒0。47秒0→46秒0だった昨年とは違い、馬場差を考慮しても速い流れ。ロゴタイプは直線に入るとリードを広げて一旦は後続を引き離し、ゴール寸前まで先頭を死守。その他の先行勢が二桁着順に沈んだことを考えても負けて強しの2着。追い切りでも柔軟性に富んだ動きを見せていましたし、7歳ながら、まだ力をつけている、そんな印象を受けました。

 優勝したサトノアラジンは4コーナーを15番手で通過。そこから大外に持ち出し、豪快に突き抜けて念願のGⅠ制覇。昨年のマイルチャンピオンシップは内から伸びかけたところで進路を塞がれて不完全燃焼。そんな敗戦、苦い経験を糧に馬の力を信じてスムーズな競馬を心掛けた川田騎手の判断が奏功。勿論、ペースも向きましたが、持ち味である瞬発力を最大限に引き出しました。

 レッドファルクスは直線半ばまで前が開かず、サトノアラジンの外に持ち出してから鋭く伸びて3着。スムーズに捌けていれば、もっと際どい勝負になったでしょうね。それでも、マイルをこなしたことで今後の選択肢が広がりましたし、こちらも勝ち馬と同じ6歳ですが、今後のさらなる活躍を期待したいところです。

 4着はグレーターロンドン。連勝は止まりましたが、直線で進路が開いてからは上々の伸び。GⅠでも互角に戦えることを証明できましたし、今後、順調に使っていければ大仕事を成し遂げられるだけの資質を秘めています。5着エアスピネルは4コーナーでレッドファルクスに前に入られて動き出すのが遅れ、その後は密集する内へ進路を取ることに。結果、残り1F付近まで前が開かず、存分に脚を使うことができませんでした。1番人気イスラボニータは6、7番で流れに乗れましたが、直線に入ると前がズラリと壁に。こちらも力を出し切れず、残念な結果に終わってしまいましたね。

【安田記念DATAアラカルト】

08年以降、馬券に絡んだ30頭中25頭は当日の馬体重が480キロ以上。480キロ未満で連対を果たしたのは2010年の2着スーパーホーネット(474キロ)の1頭だけ。

text by 京増真臣/構成・藤原

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。