第60回GⅡアメリカジョッキークラブCを制したのは単勝7番人気に支持されたシャケトラ。一昨年(2017年)の有馬記念以来、1年1カ月ぶりの実戦だったが、早目に先頭に立つとそのまま押し切った。鞍上は戸崎圭太騎手がインフルエンザにより騎乗できなくなったため代打で手綱を取ることとなった石橋脩騎手。石橋脩騎手自身、今月、怪我から復帰してから初めての重賞勝利に。また管理する栗東・角居勝彦調教師にとっても調教停止処分から復帰後、これが初勝利となった。シャケトラは北海道安平・ノーザンファームの生産馬。馬主は金子真人HD㈱。

 

それでは京増TMにレースを振り返ってもらいましょう。

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【展開・ペース】

 ステイインシアトルが仕掛けてハナを奪取。直後に内からジェネラーレウーノミライヘノツバサシャケトラが続く。1コーナーを回ると2番手にジェネラーレウーノが陣取り、3番手にミライヘノツバサ。隊列が決まってからは12秒台後半のラップが並び、落ち着いた流れに。ラスト4ハロン付近からグッとペースアップし、上がり勝負となった。

【レース分析】

 シャケトラは、13カ月に及ぶ長期休養明け。それでも、パドックでチェックした馬体はキッチリとできており、周回を重ねる毎に気合も乗ったきた。9分程度の仕上がりに映った。当日版に掲載された厩舎のコメントは弱気だったが、中山で2017年のGⅡ日経賞を優勝し、同年のGⅠ宝塚記念では④着と地力はここなら上位。4番手以降を進んだ馬の中ではワンテンポ早目の仕掛け。先頭に立つような勢いで直線へ向くと鋭く脚を伸ばしたフィエールマンの追い上げを凌ぎ切った。テン乗りながら積極的に動いた鞍上の好騎乗も光った。

 「いいチャンスをいただいて感謝しています。角居先生からは“体はできている”と言われていたし、勝つイメージを持って乗りました。4コーナーからの動きは素晴らしかったですし、手前を替えてからも、いい伸び脚でした。いい馬だと聞いていたので楽しみにしていましたし、1年以上間隔が開いていながらこれだけ走るんですからね。能力があるし、この先も楽しみです」石橋脩騎手。

シャケトラの4代血統表

 ②着に敗れたフィエールマンは、昨年の菊花賞以来となる実戦だったが、体は無駄肉がなく、身のこなしも滑らか。上々の仕上がりだった。ゲートを出たなりで中団を追走。過去のレースを見てもそうだが、スローペースで馬群が固まり、瞬発力を存分に生かせるような展開は合っている。勝ち馬の直後から概ねスムーズに捌けたが、今回に関してはシャケトラにうまく乗られてしまった。それでも、アタマ差まで詰め寄っており、決して悲観するような内容ではない。

 メートルダールは馬体が引き締まり、気合乗りも早く、中日新聞杯を叩かれての上積みは十分感じられた。道中は脚をタメながら、1番人気を背負うフィエールマをマークして追走。直線では外から被せるようにプレッシャーをかけて、ィエールマンを負かすように乗られたが…今回に関しては上位2頭の地力が上だったか。

 本命を打ったジェネラーレウーノはホライゾネットを着用しており、いつも通りうるさい仕草を見せていたが、体重は8キロ増えて成長した印象を受けた。レースは2番手に陣取るが、序盤から少し外へ行きたがるなど若さを見せる。逃げたステイインシアトルとは少し距離を置く形。走りのリズムを重視してか、それほど逃げ馬にプレッシャーをかけずに運んだ結果、苦手な瞬発力比べになってしまった。以前から1頭になると遊ぶ、先頭に立つと物見をするといった癖があるように乗り難しさが残るタイプ。そういった気性を考慮して動くに動けなかった面があったのは理解できる。残念なことにレース後に屈腱炎を発症していることが明らかとなった。本来の走りが出来なかったあたり影響があったようにも思える。昨年のGⅠ皐月賞、GⅡセントライト記念の走りを見てもポテンシャルの高さは衆目の一致するところ。まだ明けて4歳。怪我を克服し、再びターフに戻ってくる日を今は待ちたい。

text by 京増真臣

 

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