2019年4月28日(日) 3回京都3日

 人気の中心は4歳勢でした。昨年の菊花賞1着フィエールマン、2着エタリオウ、3着ユーキャンスマイルがそのまま1、2、3番人気。5歳以上では昨年のこのレースで3着にきたクリンチャーの4番人気が最高。同じく9.2倍のメイショウテッコンが5番人気で、ここまでが一桁オッズでした。それではレースラップへ。

 

 ラップを大別すると、47.6-50.7-50.5-46.2。過去10年と比べると、序盤の47.6は2017年の46.9に次いで、2012年、2018年と同じ2番目に速い数字です。ただし、中緩み。中盤に13秒台が並んだのは2010年以来のこと。その分、上がりは46.2と過去10年で最速でした。

 スタートは一斉。押して押してヴォージュが先制します。メイショウテッコンとロードヴァンドールが2番手。カフジプリンスもスタートで主張してその後ろにつけて、コーナーワークでチェスナットコートがカフジの内へ。中団の前にパフォーマプロミス。フィエールマンは後方からでしたが、スタンド前~2コーナーにかけて徐々に進出。向正面ではチェスナットコート、パフォーマプロミスの外の位置へ。グローリーヴェイズはスタンド前でフィエールマンに交わされて以降は、同馬をピッタリとマークする形。ポツンと最後方にいたエタリオウは2周目3コーナー過ぎに外から動いていきます。

 結局、フィエールマンは後方からスタートしながら4コーナーでは先頭。ペースの速かった序盤は無理をせず、緩んだ道中で押し上げて、前のポジションで46.2-34.5という上がり勝負に対応。最後はグローリーヴェイズとのマッチレースを制して優勝しました。全般に折り合いがスムーズとは言えませんでしたが、うまく馬の気を損なわずに運べました。4コーナーでグローリーが被せに来た時もスッと交わせるだけの余力が残っていましたし、あの位置から上がり2位の脚を使われては3着以下が離されたのも無理はありません。ルメール騎手は保田隆芳元騎手、武豊騎手に次ぐ史上3人目の8大競走(桜花賞、皐月賞、日本ダービー、オークス、菊花賞、天皇賞・春、天皇賞・秋、有馬記念)制覇を果たしました。翌日には新潟でJRA通算1000勝を達成。また、ディープインパクト産駒もこのレースを初めて制し、8大競走完全制覇となりました。管理する手塚貴久調教師も天皇賞は初めての勝利。また、この馬も前走後、ノーザンファーム天栄で放牧→本番というローテーション。もう休み明けという言葉が妥当かどうか。外厩調整、調整放牧とか呼んだ方がいいのかもしれません。

 グローリーヴェイズはクビ差の惜敗。3着以下には6馬身差ですから負けて強し。最初のコーナーまでにうまく内へ入れることができましたし、スタンド前で勝ち馬が前に出たことで、以後はそれを目標にレースを進めることができました。これで戸崎騎手はかなりレースがしやすくなったはず。2周目の坂の下りからは勝ち馬の外につけてガチンコ勝負。馬体を併せての叩き合いで僅かに遅れを取りましたが、勝ち馬を上回る上がりで大健闘。

 3着には7歳馬のパフォーマプロミスが入りました。レース後に北村友一騎手は、「レース前のイメージは真面目でいつも能力を出し切っているので、3200mの58㎏で道中いかにリラックスして走れるかをテーマに乗りました」とコメント。2周目の坂の下りで少し窮屈になる場面はありましたが、ほぼ満点と言える内容ではなかったでしょうか。前に離されたとはいえ、追い比べでエタリオウに先着した点は立派。

 現役最強の1勝馬エタリオウは4着。序盤はペースが速かったこともあって後方から。出していけないので位置取りはペース次第になるのも仕方ありませんが、それにしてもポツンと最後方からとは。菊花賞時も後方からとはいえ、スタンド前でポジションアップしていましたしね。今回は残り1000mあたりからずっと外を回って脚を使っている感じで、直線では前2頭に突き放されてしまいました。3着と4着の僅かな差は「人気薄の気楽さと勝つことを意識した馬との差だった」と表現しても強ち間違いないのでは。

 ユーキャンスマイルは休み明けでプラス8㎏でもいい感じの仕上がり。ただ、勝負どころでは外へ、直線は内にモタれて思ったほど伸び切れず。岩田康誠騎手は、「ラチ沿いに入れたかったのですが、入れられませんでした」とのこと。クリンチャーはうまく内に入れてロスなく運べましたが、大前提として上がりの速い勝負では厳しいです。本来ならもう少し早く踏んで行きたかったはず。メイショウテッコンは序盤に行きたがって体力を消耗。4コーナーで勝ち馬に馬なりで交わされては厳しかったです。

 なお、ヴォージュは競走中に右前浅屈腱不全断裂を発症したため決勝線手前で競走中止。3着に入ったパフォーマプロミスはレース翌日に右橈骨遠位端骨折が発表されました。

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。