8月25日に新潟競馬場で行われた第39回GⅢ新潟2歳S(芝1600m・2歳・馬齢)は単勝1番人気に支持されたウーマンズハートが鋭く差し切って優勝。無傷の2連勝で新潟2歳王者に輝いた。テン乗りだったが、藤岡康太騎手がキッチリと力を発揮させた。管理するのは栗東・西浦勝一調教師。ウーマンズハートは北海道日高町・ダーレージャパンファームの生産馬。馬主はゴドルフィン。
それではレースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 週中と土曜の深夜に雨が降り、日曜1レースの段階で芝は稍重、ダートは重の馬場状態。その点を考えれば前半3ハロン通過36秒1というのは極端なスローペースではなく、レースの上がり3ハロン33秒6も水準以上。ある程度の位置につけた馬が上位を占める結果になり、逃げたエレナアヴァンティも⑤着に粘っていますが、展開に恵まれたとは考えない方がいいでしょう。
【レース分析】 勝ったウーマンズハート(1番人気)は初戦から体重の増減がなく、レースではスタートも互角。②着馬の後ろにつけましたが、追い出してからのモタれ方は初戦よりも少しキツかったかも。それでも、立て直されうと再び加速し、最後はキッチリと前を捉えました。まだ若さを残している段階で、これだけの決め手を見せているのですから、精神面も含めて、完成してきた時の姿が楽しみですね。
「末脚がいい馬なのは分かっていたので、いかにスムーズに運べるかということを心掛けていました。馬場のいい外に出すことができましたし、4角の手応えの割にはフラフラしましたが、それでも、差し切ってくれたように能力は相当に高いです。気性が成長すれば、これからも楽しみです」と藤岡康太騎手はレース後にコメント。2013年にこのレースを制した後の桜花賞馬ハープスターと少しイメージが重なるのは私だけではないはずです。
②着が当日版で自分が本命に推したペールエール(3番人気)で、好位につけて他の有力馬より少し早目の仕掛けも予想していた通り。最後は決め手の差が出た感じですが、牝馬にしては逞しい体つきなども目につきましたし、こちらも今後の成長が楽しみです。③着ビックインバイオ(8番人気)にも4番手評価の印をつけたのは2戦目に初勝利でも、上がりが優秀だったから。2番手に控える形の今回も最後まで渋太く伸びていましたし、良血馬らしく、使われる毎に上昇している印象を受けました。
残念だったのは⑧着に敗れた2番人気のモーベット。道中は馬込みでゴチャつき、挟まれるようなシーンも。それでも、①②着馬に次ぐレース3位タイの上がり3ハロンはマークしているのですから、潜在能力が高いことは確か。勝ち馬以上に精神面の成長が必要でしょうし、今後も多頭数への対応が鍵になりますが、ひと皮剥けた際には一気に覚醒しそうな爆発力も感じさせる素材です。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。