8月31日に札幌競馬場で行われた第54回GⅢ札幌2歳S(芝1800m・2歳・馬齢)は単勝5番人気のブラックホールが力強く差し切って優勝。未勝利から2連勝で札幌2歳王者の座についた。②着にはサトノゴールドが入り、新種牡馬ゴールドシップ産駒が重賞初挑戦ながらワンツーを決める快挙。ブラックホールの鞍上はデビューから手綱を取り続ける石川裕紀人騎手。管理するのは美浦・相沢郁調教師。ブラックホールは北海道浦河町・杵臼牧場の生産馬。馬主は芹澤精一さん。
それではレースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 内枠からコスモインペリウムが先手を主張。前半1000m通過60秒6は、この日の馬場状態を考えれば速めのペース。実際に前半5ハロンのラップはすべて12秒3以下で、前後半に分けても48秒3→49秒8と後半の方が1秒5も要しており、タフな馬場状態+流れが向いたと思われる差しタイプのワンツー決着となりました。
【レース分析】 勝ったブラックホール(5番人気)は展開が向いたことも確かですが、410キロ台の小柄な馬体ながら、馬群の外を回して抜け出す堂々とした勝ちっぷり。直前の追い切りで3歳馬を相手にハードな併せ馬を消化していて、デビュー3戦目でも状態も更に上がっていたようです。
「前走はレース前に蹄鉄を打ち換えるアクシデントがあって、走りもギコチなかったのですが、それで勝ってくれたので、重賞でもやれると思っていました。小柄でもバネがありますし、一生懸命に走ってくれますね。今後の成長も見込めるでしょう」と石川裕紀人騎手もレース後にコメント。広いコースでの瞬発力勝負への対応などが課題になりそうなタイプですが、このレースの質自体が高かった印象を受けたので、今後の動向からも目が離せませんね。
②着のサトノゴールド(3番人気)は出遅れて後手に回り、道中も馬が本気で走っていないような感じでしたが、直線でエンジンがかかると目を引く伸び。まだ心身ともに幼い状況で、重賞②着の賞金を加算できたことも大きく、将来性に関しても勝ち馬より上でしょうか。そして次走以降に向けて、ここで最も強調しておきたいのが③着だったダーリントンホール(2番人気)。スタートが今ひとつでも好位のインを追い上げて、流れに乗っていましたが、勝負どころから動けない形になってしまい、ポジションが下がってしまって挽回し切れないままゴール。力を出し切っていませんし、馬込みを苦にしない点も今後に向けてこの経験は大きな強みとなるでしょう。
④着のレザネフォールも少し窮屈な競馬になりながら最後まで脚を伸ばしており、初戦の内容からも混戦に強そう。⑤着ヨハネスボーイ(7番人気)、⑧着ディアセオリー(6番人気)も早目の仕掛けを考えれば内容自体は悪くありません。更に断然の1番人気ながら⑥着に終わったゴルゴンダもスタートで躓く不利があり、道中も馬群の外を追い上げて今回はロスの多い競馬。少し行きたがる感じで若さも覗かせていましたし、それで押し切れるほど他馬と力差はなかったと考えるべきでしょう。勿論、安定してスムーズにレースを運べるようになれば巻き返しも必至だと思われます。
text by 五十嵐 友二
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