2回函館4日目11Rに行われた第54回GⅢ 函館記念は5番人気のエアアンセムが7歳にして嬉しい重賞初勝利。函館記念は吉村調教師が初勝利、藤岡佑介騎手は08年トーセンキャプテン以来2度目の勝利。エアアンセムは北海道千歳の社台ファームの生産馬で、馬主は(株)ラッキーフィールド。通算成績は26戦5勝となりました。

それではレースを振り返ってみましょう。

 

 

【展開・ペース】

 序盤の3ハロンは速めのラップでしたが、隊列が決まった後は12秒6が2ハロン続いてペースダウン。ここで流れが落ち着いたことがレース上がり35秒0(ラスト3ハロンはすべて11秒台)の瞬発力勝負につながり、意外に早く馬場状態が良に回復したことと併せて、各馬の結果の明暗に影響した印象を受けました。

 

 

【レース分析】

 勝ったエアアンセムはスッと好位の内をキープして、ペースが落ちた時も折り合いはスムーズ。直線を向くと早目にスパートして、後続を振り切りました。ロスのない競馬で勝ち切った藤岡佑介騎手の手綱捌きも見事でしたが、馬自身も昇級戦②着時が連対時の最高体重と充実期を迎えており、洋芝への適性を含めた馬場状態などに注文がつかない点も強み。コース替わりが気にならないとなれば、サマー2000シリーズでも大注目の存在となりました。

「今日は枠も良かったし、いいスタートを切れて、いいポジションで運べました。3~4コーナーの手応えも抜群で、あとは捌くだけでしたからね。最後は詰め寄られましたが、ラストまでしっかり頑張ってくれました」藤岡佑介騎手

 

エアアンセムの4代血統表

 

 ②着サクラアンプルールは勝ち馬の1列後ろのポジションに収まり、直線も前を追うように伸びて連対を確保。馬場の回復が早かったことが最大の好走要因でしょうが、調教VTRで確認した気配は完調に今一歩の雰囲気、しかも57・5キロのトップハンデでしたから、地力の高さを示す結果となりました。この馬も7歳ですが、年齢を感じさせない走りを見せてており、次走が連覇を目指す札幌記念なら当然、有力候補となるでしょう。③着に粘り込んだのは13番人気のエテルナミノル。軽ハンデ+展開利があったことは確かですが、着眼のコラムで藤原編集員が指摘していたように、滞在競馬が課題のゲート難を補ったとすれば、人気薄での健闘にも合点がいきます。

 一方、ハナ差で馬券圏内に届かなかったブレスジャーニーは道中の位置取りの差が大きかったですが、コーナーでは少し内にモタれているような感じも。広い馬場、左回りがベストの印象も受けました。スズカデヴィアスも後方からの競馬になり、④着馬が動いた時にも仕掛けにくいポジションにいて、その馬の更に外を回す形に。流れに乗り損ねたのは暑さに強くない影響があったのかもしれませんが、いずれにしても力負けではないでしょう。1番人気のトリコロールブルーも馬群の中でスムーズさを欠く感じになりましたが、元来、瞬発力勝負が得意なタイプではなく、同じ洋芝でもコーナーの緩い札幌コースがベストの可能性も。この一戦だけで評価を下げるのは避けた方が良さそうですね。

 

③着に踏ん張って波乱を演出したエテルナミノル(撮影:yu~kun)

 

text by 五十嵐

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

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