2019年12月7日(土) 4回中京3日

 終日、曇天ながら良馬場で迎えた中日新聞杯は8番人気のサトノガーネットが優勝。重賞初制覇を飾りました。鞍上の坂井瑠星騎手はフィリーズレビュー、京都大賞典に続いて今年は重賞3勝目。この3勝は単勝12、11、8番人気でのもので「穴ジョッキー」としての資質があるのかもしれません。管理する矢作芳人厩舎はJRAに限れば今年の重賞5勝目となりました。

 レースは最内枠の逃げ候補ロードヴァンドールがスタートで躓き、ランドネ、タニノフランケルの角居厩舎2騎が隊列を引っ張り、前半の600mが36秒0。一見スローと思いがちですが、コース改修後のここ8年では3番目に速い数字。結局先行勢は粘り込めず、馬群の中を捌いてきたラストドラフトが抜け出して勝負アリかと思ったところへ、外から3頭が強襲。そのいちばん外にいたサトノガーネットが寸前で差し切り、ラストドラフトが②着。③着アイスストームまでが勝ち馬と同タイムで、ショウナンバッハは更にクビ差の④着でした。前半60秒8-後半58秒4は2017年に近い数字。その2017年も中団外を通ったメートルダールが差し切り、好位から外に出したミッキーロケットが②着。中京の芝2000mはスタート直後と2角~向正面が上り坂なので、極端に内有利な馬場ではない限り、これくらいのペースでも外差しが決まるケースはよくあります。

 勝ったサトノガーネットは仕掛けながらでも後方の位置。その後もほぼ促しながらの追走でしたが、これが最近のこの馬のスタイル。この手の馬は1度でもブレーキを踏むと取り戻せない可能性大なので、4角大外は当然の選択でしょう。この日は馬場の中から外を通っての差し切りが続き、馬場傾向と脚質がマッチしましたが、少なくとも2番人気アイスストームとほぼ同じ競馬で後ろから捩じ伏せたのですから、「嵌まった」では片付けられません。この秋は調教でビシッと追っても440㌔台をキープ。本格化したとも見ることができます。

 ラストドラフトは出たなりで3列目のイン。しかも1番人気アイスバブルの直後と抜群のポジショニング。頼みのアイスバブルの反応が良くないと見た4角ではすぐに外へスイッチ。これが好判断。手応え十分なマイネルサーパスの直後を確保し、直線はこれとジェシーの間を割って出る。ここまでは完璧でしたが、「最後でフワッとしたのが……」とマーフィー騎手が言うように、右ステッキ1発と1頭になったことで4、5頭分内へヨレたことが誤算。悔しい結果ですが、流れに乗れなかったオクトーバーSから巻き返し、地力があることは証明しました。

 アイスストームは勝ち馬の1列前で同じような運び。器用さがないので、小倉や京都の内回りでは結果が出ませんでしたが、強かった垂水Sと同じく、直線が長くて外差しが決まる展開や馬場になれば、今後も長くいい末脚を生かして上位争いは可能でしょう。

 ショウナンバッハは勝ち馬の後ろから。直線ではアイスストームの直後で待たされ、その内のジェシーが外に張っていたことも影響して更に待機。ここで待てるのは吉田豊騎手のベテランらしい、安全にも配慮した判断だったと思います。満足に追えたのは100mと少しで惜しい④着。これで中日新聞杯は④②④着と3年連続で好走。年が明けると9歳ですが、左回りのGⅢやオープン特別では常に警戒が必要です。

 もったいなかったのは⑤着サトノソルタスと⑫着のカヴァル。サトノソルタスは前半はラストドラフトの外。3角でアイスバブルの外に進出したことが結果的に裏目に出てしまい、4角からマイネルサーパスにフタをされて身動きが取れず。前が開いた時には上位4頭は遥か前へ。長く脚を使いたい馬なので、開いてからが伸びていないように見えても脚を余しているはずです。カヴァルは前半はアイスストームの内にいて展開は向いたはずですが、直線の入り口でサトノソルタス、半ばではアイスバブルの直後に入ってしまい詰まり通し。軽く仕掛けただけで反応していたので、外に出せる形なら②着争いには加われていたと思います。

 ⑦着マイネルサーパスは好位から直線でも追い出しを待つくらいでしたが伸び切れず。大外枠とゴールまで11秒台のラップが続く展開が影響したのでしょう。適度に上がりがかかれば、いつでも巻き返せそうです。

 1番人気アイスバブルは⑨着。好位で流れには乗れていましたが、反応がひと息で伸び負け。2000mで上がりが速くなると対応し切れないようです。

text by 石井大

 

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