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第57回 愛知杯 回顧

2020年1月18日(土) 1回小倉1日

 9年ぶりに小倉競馬場での開催となった牝馬限定戦のGⅢ愛知杯。開幕週ですが、昨夏の開催後にエアレーション作業をしていることから単純に逃げ、先行有利にはならないと思っていましたが、芝・ダートとも稍重で始まり、午後からの降雨で重馬場に悪化したことで、その様相が1800m以上では強くなりました。

 戦前は逃げ候補の3頭の出方次第でハイペースも考えられましたが、スタートしてみると3頭のなかで一番内枠のモルフェオルフェが先頭に立つと、リリックドラマとランドネは競りかけず2、3番手で折り合い、1000m通過は60秒1の平均ペース。しかし、リリックドラマが早めに前を追ったことで息が入らず持久力勝負へ。最後の直線は好位から抜け出したレイホーロマンスを外からアルメリアブルーム、内からデンコウアンジュが追い詰め、最後はデンコウアンジュが僅かに出てゴール。アルメリアブルームレイホーロマンスの順で入線した。

 勝ったデンコウアンジュはこれでアルテミスS、福島牝馬Sに続いて重賞3勝目。パドックでは7歳という年齢を感じさせない馬体の張り。柴田善騎手が「返し馬から雰囲気が違ったね。中間に攻めを強化したのがプラスに出た」とコメントしているように、デキはかなり良かったようです。レースでも中団の内で脚がたまり、4角で一瞬待たされた以外は完璧な立ち回り。1ハロン長いと思われた2000mでも結果を出しました。

 アルメリアブルームもパドックでは落ち着きがあり、馬体重以上に体を大きく見せて好気配。スタンド前で行きたがるのをなだめ、デンコウアンジュの1列前の位置。こちらもラチ沿いで壁を作り、脚がたまって勝負どころでの手応えも十分。直線の入り口では、先に動いたレイホーロマンスの直後の僅かなスペースを突く武豊騎手のソツのないプレーが出て、最後も目前のターゲットを捕らえただけに、今回は勝ち運がなかったとしか言いようがありません。

 レイホーロマンスは出脚が鈍くスタート直後は後ろから2頭目でしたが、そこから押して1角では7番手の内を確保。「前走が長いところで今日は2000メートルだったので、ある程度出していこうと思っていました」と酒井学騎手が語っていることからプラン通りに事が運んだようです。この動きによって①②着馬と同じくロスのない立ち回りが可能となり、馬もそれに応えて直線の半ばでは先頭。結果的に③着ですが、自分から動いていってのもので内容としては強い競馬。今後もハンデ戦では要注意です。

 ④着フェアリーポルカはアルメリアブルームの外からレイホーロマンスを追うように運びましたが、4角でアルメリアブルームが内から出てきたことで、更に1頭分外を回る形に。これが最後の差につながってしまいました。ただ、陣営が懸念していた道悪をこなしたことは収穫です。

 1番人気のセンテリュオはフェアリーポルカから4馬身離された⑤着。後方から4角でフェアリーポルカの直後まで進出しながらも、最後の1ハロンで伸びを欠きました。今回は道悪や小回りコースと条件が合わなかった印象が強く、広いコースで渋太さを生かせる展開なら見直せるはずです。

 2番人気パッシングスルーは①~④着馬の外につけましたが、スパートしたあとにランドネが下がってきたことで余計に外を回らされてしまい万事休す。秋華賞も今回もコースロスが大きく、巻き返す余地は十分ありそうです。

 3番人気サラキアもランドネが下がってきたのと、周囲の馬が仕掛けるタイミングが重なってしまい、動きづらい状況に。ただ、直線は無理をしていなかったので、道悪の2000mではスタミナ不足なのかもしれません。

text by 石井大

 

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