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第34回 根岸S 回顧

 

 2月2日に東京競馬場で行われた第34回GⅢ根岸S(ダ1400m・4歳以上・別定)はモズアスコット(単勝3番人気)がゴール前でコパノキッキングを交わして優勝。初めてのダート起用ながら砂の猛者たちをまとめて撃破。C.ルメール騎手とは昨春以来となるコンビ再結成。GⅠ安田記念でタイトル獲得に導いた名手を背に新たなフィールドで大きな一歩を記した。管理するのは栗東・矢作芳人調教師。モズアスコットは米国・サマーウインドファーム社の生産馬。馬主は㈱キャピタルシステム。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 好スタートを決めたコパノキッキングが先頭に立ったが、大外枠からドリームキラリが押してハナを奪う。2010年以降、当レースが良馬場で施行されたのはこれが8回目となるが、前半3ハロン通過35秒0というペースは8回中、最速タイ。それでいて35秒4というレースの上がり3ハロンは道悪だった年を含めても何と最速。良馬場で1分22秒台の決着となったのは2002年以来となる。

 

▲上積みの見込める状態でも優勝したモズアスコット(撮影:yu~kun)

 

【レース分析】 モズアスコットは非常に逞しい体つき。追い切りでは速いタイムをマークし、バリバリ動くタイプ。ダートは苦にせず、こなすだろうと考えつつも、過去、芝の実力馬がダートに転戦し、敗退を重ねてきた経緯から、いきなり重賞だと敷居が高いと踏み、評価を下げた。パドックに登場した姿を見ると、まだいい頃の迫力が戻り切っていない印象。デキは85点くらいに映った。それでも、出遅れを挽回して中団まで押し上げると、コパノキッキングを鮮やかに差し切るのだからGⅠ馬の底力はさすが。良馬場で1分22秒7という走破タイムは優秀。一躍、フェブラリーSの有力候補に名乗りを挙げた

 

▲モズアスコットの4代血統表

 

「この馬で久しぶりに勝つことができて嬉しいです。ゲート内で座っていたのでいいスタートは切れなかったのですが、すぐにハミを取って流れに乗ることができました。直線もいい手応えで、いつも通りに長く脚を使ってくれました。初ダートでどうかと思っていましたが、調教の動きが良かったですからね。いい結果を出せました。今日は折り合いもスムーズでしたし、安田記念を勝っているように距離は1600mに延びても大丈夫です」C.ルメール騎手。

 

 

 コパノキッキングはカペラSの時と比較すると、うるさい面を見せていたが、この程度は許容範囲内。馬体の張りが良く、ひと息入っての出走でもデキは高値で安定。好スタートを決めて先行。前半3ハロン通過は35秒0だから、極端に速いペースではなかった。ただ、外からドリームキラリが押して先手を主張してきたためハナを譲ろうとした際にかなり行きたがり、2番手に収まるまでに苦労。その影響もあってかゴール前で勝ち馬の強襲は許してしまったが、②着は確保。昨年よりも2キロ重い斤量を背負いながら昨年を0秒6上回る走破タイムをマーク。改めて地力強化をアピールしたスマートアヴァロンは年齢的に気合乗りは遅いものの、力強い脚捌きを見せており、引き続き好調をキープ。メンバー最速タイの上がり3ハロンをマークして追い込んできた。決め手に関しては重賞でも、まったくヒケは取らない。

 

                                 text by 京増 真臣

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・勝ったモズアスコットの前走はGⅠマイルCSで⑭着。GⅠだけに着順こそ不問だが、芝から転戦して馬券に絡んだのは根岸Sが1400mで施行されるようになった2001年以降(2003年は中山ダ1200m)に対象の枠を広げても2007年の①着馬ビッググラスの1頭だけ。ただし、ビッググラスはダートで5勝しており、いわば主戦場に戻ってきたクチだった。

2001年 エイシンプレストン(7番人気⑩着)

2015年 ロゴタイプ(3番人気⑧着)

2019年 ケイアイノーテック(7番人気⑩着)

などが初めてのダートで結果を残せずに敗れてきた。今年はそんなジンクスを打ち破ってモズアスコットが優勝。潮目が変わった可能性があり、来年以降は初ダートであっても評価を下げるのは危険だ。

〇レース間隔・・・連対した2頭の前走は11月と12月のレース。今年は前走が1月だったスマートアヴァロンが③着に食い込んだものの、前走から中3週以内(前走が1月のレース)という馬が連対するのは難しい。

★次走使えるデータ★

2001年以降、根岸Sで58キロ以上の斤量を背負って連対した馬は僅かに3頭。3頭はいずれも次走、GⅠフェブラリーに出走しているが・・・

2002年 ノボトゥルー 根岸S 59キロ②着 → フェブラリーS③着

2017年 ベストウォーリア 根岸S 58キロ②着 → フェブラリーS②着

2018年 ノンコノユメ 根岸S 58キロ①着 → フェブラリーS①着

3頭とも本番で馬券に絡み、複勝率は100%。今年、58キロを背負って連対を果たしたモズアスコットはフェブラリーSでも好結果を残す確率はかなり高い!(コパノキッキングはフェブラリーSに向かわず、次走は大井競馬場で行われる東京スプリントになる見込み)

 


 
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