競馬 研究ニュース

第70回 安田記念 回顧

 

 6月7日に東京競馬場で行われた第70回GⅠ安田記念(芝1600m・3歳以上・定量)はグランアレグリア(単勝3番人気)が優勝。昨年の桜の女王がベストのマイルに戻って躍動。超豪華メンバーによる争いを制し、自身、二つ目となるGⅠタイトルを獲得した。鞍上は前走のGⅠ高松宮記念からコンビを組んでいる池添謙一騎手。池添騎手はレース中、芝の塊が顔面を直撃するアクシデントがありながらも冷静にエスコート。パートナーの力を存分に引き出した。管理する美浦・藤沢和雄調教師は1997年のタイキブリザード、1998年タイキシャトルで勝っており、これが安田記念3勝目グランアレグリアは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は㈲サンデーレーシング。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

【展開・ペース】 スプリント路線からここへ矛先を向けてきたダノンスマッシュ、そしてミスターメロディが逃げ、2番手を形成。その分、前半3ハロンは34秒2と締まったペースに。結果として地力勝負になりました。

 

 

【レース分析】 グランアレグリアは前走のGⅠ高松宮記念より8キロの馬体増。体に一段とボリューム感が出てきました。二人引きでしたが、決してテンションは上がっておらず、上々の仕上がりに映りました。スタートを決めると中団を追走。前走でスプリント戦を経験していたこともあってか速めのペースでも走りには余裕がありましたね。また馬群の切れ目に位置したことで他馬のプレッシャーを受けることなくレースを進められました。このあたりは馬込みの中で脚を溜める形になったアーモンドアイとは対照的。牝馬だけにこれも勝因のひとつに挙げることができますし、池添騎手のエスコートは完璧でした。外を走るケイアイノーテックが進出するのに合わせて動き出し、直線は弾けるような素晴らしい伸び。終わってみれば後続に2馬身半差をつけての完勝。GⅠホースが10頭も揃った豪華メンバーでしたが、この馬の強さが際立ちました。

 

▲目の周りを腫らした池添騎手を気遣い、アイシング用の氷を差し出すC.ルメール騎手。

 

「まずはしっかりといい状態に仕上げてくれた厩舎サイドと最終追い切りをつけてくれた杉原誠人騎手に感謝したいですね。返し馬でいい状態だと感じることができました。道中の折り合いが大事な馬なので気をつけてレースをしましたが、いいリズムの中でいいポジションにつけることができました。あとは追い出すタイミングひとつでしたが、フタをされるのが嫌でしたし、自信を持って動かしていきました。外から来ているのが分かってヒヤヒヤしましたが、抜け出してからも本当によく頑張ってくれました。アーモンドアイの他にもいいメンバーが揃っていましたから、このなかで勝てたことに価値があると思います。その手伝いをすることができてうれしいです池添騎手はコメント。昨年のGⅠ桜花賞馬が古馬となって一気にマイル界の頂点へ。グランアレグリアは初めての1200mとなったGⅠ高松宮記念でも中身の濃いレースをしていました。スプリントとの2階級制覇も十分可能と思え、また春秋マイルGⅠ優勝にも期待が持てる器。この先の動向から目が離せませんね。

 

グランアレグリアの4代血統表

 

 アーモンドアイはGⅠヴィクトリアマイルの時と同様に落ち着きがあり、1度使われたことで馬体も引き締まっていました。スタートで出遅れ、道中は他馬のプレッシャーもキツかったのですが、グランアレグリアの上がり3ハロンを上回れていませんから完敗の②着。前走ほどのパフォーマンスを見せることはできず、結果的に中2週での出走が良くはなかったのか。それに加え、マイル適性もグランアレグリア方が上だったということでしょう。

 

 

 インディチャンプは昨年のGⅠ安田記念、マイルCSの覇者。マイル王として風格が出て、本馬場入場時のシャープなフットワークも好感が持てました。レースはコースロスを抑えて中団の内ラチ沿いを追走。直線では先に抜け出したグランアレグリアを目掛けて脚を伸ばし、一旦は2番手に浮上します。しかし、外から猛追したアーモンドアイに最後は力で捻じ伏せられるような格好になって③着。道中はしっかりと折り合って、直線もうまく捌いてきましたが・・・。完全には乾き切らなかった稍重馬場だった分、身上の切れ味が削がれた印象を受けました。

 

            

text by 京増 真臣

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇国内GⅠ組・・・勝ったグランアレグリアは前走、GⅠ高松宮記念で②着。ヴィクトリアマイル組は牡・牝混合GⅠで連対実績があれば狙えると条件を緩和したい。また高松宮記念からの直行組に関しても割り引くのは避けたい。大阪杯組は今年も苦戦を強いられており、こちらは引き続き過信禁物。その他の海外GⅠ組、GⅡ、GⅢ組は上記の基準で取捨選択して問題はない。

〇距離実績・・・芝1600mで未勝利だった馬は3頭出走して⑧⑪⑫着。今年も精彩を欠いた。

 


 
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