2月22日に東京競馬場で行われた第70回GⅢダイヤモンドS(芝3400m・4歳以上・ハンデ)はミライヘノツバサ(単勝16番人気)がメイショウテンゲンとの激しい追い比べをハナ差制して優勝。屈腱炎を乗り越えてカムバックし、見事に重賞タイトルを獲得した。32,550円という単勝の払戻金はJRA重賞史上3位。鞍上は木幡巧也騎手。管理する美浦・伊藤大士調教師はこれが嬉しいJRA重賞初勝利に。ミライヘノツバサは青森県・諏訪牧場の生産馬。馬主は三島宣彦さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 ロサグラウカがハナを切ったが、1周目のホームストレッチから1コーナーに入るあたりでバレリオが動いて2番手へ。ロサグラウカにプレッシャーをかけたことで10ハロン目は11秒7と加速。例年のGⅢダイヤモンドSならペースが落ち着くのだが、今年はスタートの1ハロン目とラスト1ハロン以外は、すべて13秒を切るラップ。更に当日はスタンド前の直線は強い向い風。レースの上がり3ハロンが38秒2もかかる相当な消耗戦になった

 

パドックを周回するミライヘノツバサ(撮影:yu~kun)

 

【レース分析】 非常にタフなレースとなった今年のGⅢダイヤモンドS。その中でミライヘノツバサは大外枠からのスタートだったが、コースロスを最小限に抑えたレース運びができていた。また他馬が積極的に動いた際も中団でジッと我慢。4コーナーから直線に向く際は馬込みをスムーズに捌いて脚を伸ばす。レノヴァールを捉えて交わすと、今度は外を走るメイショウテンゲンに馬体を併せにいって最後は際どい首の上げ下げの大接戦を制した。勝つ時というのは何もかもがうまくいくもの。勝利の女神が微笑んだ。脚部不安を発症し、4歳春から1年半の長期休養。復帰してからは坂路主体の調整だったが、最近は南Wコースに入れて乗り込めていた。結果論にはなるが、脚元の不安が軽減し、攻めた追い切りを積めたことが勝因のひとつだろう。まだパドックでは、いい意味で荒々しさがあり、状態の方も上向いていた印象だ。

 

ミライヘノツバサの4代血統表

 

「ビックリしました。勝てて良かったです。相手の伸びの方が良かったのでゴール板を過ぎたあとは負けたかなというのが第一印象でした。ここで勝てるとは思っていなかったので、踏ん張ってくれて感謝しかありません。大外枠が嫌だなと思っていて、出たなりでいい位置を取れればと考えていたんですが、スタートして内の馬が出していっていたので脚をためることを重視しました。馬も応えてくれたし、前回で我慢させる競馬をしたのが今回に生きました」木幡巧也騎手。

 

 

 メイショウテンゲンは、出遅れたのはあったが、自分の形を貫いて末脚勝負に徹する。展開がズバリと嵌まったのに加え、重馬場発表だったGⅡ弥生賞を勝っている点からも適度に時計のかかる馬場も合っていた。最後は勝ち馬に寄せられて、いくらかスピードが鈍った感じも。晩成型の血統らしく、馬体に中身が入ってきた印象。今後も活躍が期待できそうだ。オセアグレイトは動きに柔からみがあって気配は抜群。最内枠から先行集団のインに収まったが、バレリオが上昇してきたことにより上位入線馬の中で一番割を食ったのはこの馬だろう。ポジションをキープするために道中でペースUPに対応し、脚を使わされながらも直線は渋太く粘って③着。前2頭からは5馬身離されてはしまったが、立派な内容だった。

 

                                 text by 京増 真臣

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・3勝クラス、GⅢ組からは今年も連対馬は出なかった。しかし、勝ったのは前走OP特別⑧着だったミライヘノツバサ。更に前走がGⅡステイヤーズSで④着だったメイショウテンゲンが②着。来年以降はOP特別組は前走で勝つか、勝ち馬から0秒6差以内。GⅡステイヤーズS組からの直行組は前走で④着以内なら連対を狙えると条件を改めたい。

〇前走距離・・・勝ったミライヘノツバサは前走が芝2000mという条件。マラソンレースではあるが、前走距離によって買えるかを判断するのはやめた方が賢明か。

〇枠順・・・これはオカルトの域を出ないが、2015年以降、7枠に入った馬が3連対し、8枠は6連対。今年のようなケースもあり、7、8枠に入った馬は押さえておいて損はない。

 


 
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