5月10日に新潟競馬場で行われた第42回GⅢ新潟大賞典(芝2000m・外回り・4歳以上・ハンデ)はトーセンスーリヤ(単勝10番人気)が優勝。前走を勝ってOP入りを決めると、勢いに乗って連勝。初めての重賞挑戦ながらきっちりと結果を出しました。鞍上は横山和生騎手。管理するのは美浦・小野次郎調教師トーセンスーリヤは北海道日高町・エスティファームの生産馬。馬主は島川隆哉さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 好スタートを決めたアトミックフォースがそのまま主導権を握り、2~3ハロン目に11秒台のラップを刻んで少し後続集団を離しての逃げ。その後も極端にペースが緩んだところはなく、3コーナーまで直線が続く新潟の外回り2000mとしてはタイトな流れになり、レース上がりも開幕週としては遅めの35秒4。たたし、ラスト1ハロンだけが12秒8と極端に要した点を考えると、流れに乗れていない差しタイプでは、連対圏に届かなかったのも仕方のない結果といえます。

 

【レース分析】 勝ったトーセンスーリヤ(10番人気)は3勝クラスを3戦で通過と勢いはあっても良績が1800mに多く、昇級よりも距離延長がどうかと思っていましたが、道中は馬群の内で脚をためて、3~4コーナーでも経済コースを通る、まったくロスのない競馬で2000mを克服しました。勿論、平坦コースだった点やハンデ面の恩恵もありますが、鞍上の好騎乗が課題をクリアできた最大の要因と言っていいでしょう

 

▲持ち前のレース運びのうまさを生かし、内から抜け出したトーセンスーリヤ

 

「まさか重賞で一発で結果を出すとは思っていなかったです。ただ、具合は凄く良かったですし、競馬が上手な馬なので、いいポジションで運べたことが大きかったですね。直線は最内を狙っていましたし、思い描いた通りの競馬でした」横山和生騎手も会心の騎乗だったようです。先に向けては坂のあるコースで2000m以上の距離だった場合には、改めて適性が問われますが、1800mなら舞台を問わずに相手強化でも、レース運びの巧みさを生かしての健闘が期待できそうです。

 

トーセンスーリヤの4代血統表。祖母フェリアードはGⅠ阪神JF、GⅡ日経新春杯を勝ったテイエムプリキュアを輩出している。

 

 ②着のアトミックフォース(7番人気)も若い武藤騎手の果敢な騎乗ぶりが光りましたが、前述のように、あまり道中はペースを落とさずに逃げたことも好判断といえます。もともと3歳春には脚を余しながらオープン特別のプリンシパルSで⑤着だった実績があるので、素質馬が軌道に乗ってきたと考えるべきでしょう。今後は左回り2000m以外の条件で、どんな走りができるか注目したいところです。③着プレシャスブルー(14番人気)の健闘には正直、驚きましたが、極端な上がり勝負にならなかったことが良かったとはいえ、展開自体が向いたわけではありませんから、フロック視するのは禁物でしょう。④着ブラヴァス(2番人気)も昇級戦で上位3頭より1キロ重いハンデを背負っていたので、人気を下回る結果でも内容的には上質といえます。血統的にも今後が楽しみになってきました。

一方、1番人気で⑥着だったレッドガラン、本紙で◎に推していた⑬着のギベオンは、ともにコース替わりを意識してか、前走時よりも道中の位置取りが後ろだったことが、結果に直結したような印象を受けました。2頭とも能力を出し切ったとは思えないので、次走以降の巻き返しに期待したいところです。

 

 

 

                                 text by 五十嵐 友二

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・連対馬の前走を見てみると、勝ち馬は準OP①着(クビ差)、②着馬は準OP①着(0秒2差)。来年以降、連対馬を狙う基準だが、準OP組は前走で勝っていればOK。OP特別組は③着以内、重賞組は前走着順は不問としたい。

〇枠順・・・近年は内枠有利という傾向が続いていたが、今年は5枠→6枠での決着。ただ、内を突いた馬が優勝しており、ロスなく運べる枠に入るのはプラスのはず。来年は内枠に入った馬が穴メーカーとなる可能性も考えられる。

 


 
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