5月10日に東京競馬場で行われた第25回GⅠ NHKマイルカップ(芝1600m・3歳・馬齢重量)はラウダシオン(単勝9番人気)が2番手から抜け出して優勝。今回が初コンビながら距離延長を恐れず、積極的にパートナーをリードし、持ち味を存分に生かしたM.デムーロ騎手の好騎乗も光った。そのM.デムーロ騎手は2019年のアドマイヤマーズに続く、史上初の同レース連覇も達成。管理するのは栗東・斉藤崇史調教師ラウダシオンは北海道白老町・白老ファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

【展開・ペース】 前半の半マイル通過は46秒1。これは2019年に比べると0秒3遅いですが、過去10年で見ると平均よりも少し速い数字。ただ、直線部分では馬群に向かって砂埃が舞っており、逆側の向正面は追い風。その点を踏まえれば、字面ほど速くはなく、先行有利の展開だったと言えます。

 

【レース分析】 その展開を味方につけたのはM.デムーロ騎手が騎乗したラウダシオンでした。父リアルインパクト譲りの逞しい体の造り。それでいて動きには柔らかみもあって気配の良さを感じさせました。非常にスタートが良く、外からレシステンシアをピッタリとマーク。適度にプレッシャーをかけることで脚を使わせ、楽をさせませんでした。直線に向くとレシステンシアをねじ伏せるように抜け出して快勝。昨年暮れのGⅠ朝日杯フューチュリティSの内容から、いくらかマイルは長いと考えていましたが、積極的にリードし、2番手でしっかりと折り合わせた鞍上の手腕が呼び込んだ勝利と言えるでしょう。見事な騎乗でした。

 

▲名手の力も借り、GⅠレースで距離を克服し、勝利したラウダシオン

 

「何度もレース映像を見て、スタートが速い馬だというのは分かっていましたし、同じペースで走る馬なのでいい位置を取りたいと思っていました。今日はいいスタートが切れて、一番いいポジションで運べましたし、直線でも抜群の手応えだったので差し切れると思っていました。勝ててとても嬉しいです」M.デムーロ騎手。殊勲の鞍上ですが、今年、4つのJRA重賞勝ちのうち2つがGⅠ。大一番での勝負勘の冴え、勝ちを意識した肝の据わった騎乗はM.デムーロ騎手の真骨頂とも言えますね。

 

ラウダシオンの4代血統表。リアルインパクトは初年度産駒からGⅠウィナーを輩出。振り返ると自身は現役時代にGⅠ安田記念を制覇している。今後も東京マイルの大一番では同産駒から目が離せない。

 

 勝ち馬が中7週と余裕のあるローテーションで臨んできたのに対し、レシステンシアは道悪、激戦となったGⅠ桜花賞から中3週で出走。初東上でもありましたが、中間は坂路での追い切りをあれだけ軽くしたのにもかかわらず馬体重はマイナス6キロ。トップコンディションにはなかったのでしょう。それでも、果敢にハナを切り、自分のレースに徹して②着。地力の高さで存分に示しており、その走りは立派の一語に尽きます。③着に入ったのはギルデッドミラー。輸送しても落ち着きがあって華奢に映っていた馬体にボリューム感も出てきました。なかなか折り合いの難しいタイプですが、序盤からポジションを取りに動いた福永騎手の判断は的確でした。スタートで出遅れてしまったルフトシュトロームサトノインプレッサは展開が向かず、力を発揮することができませんでした。

 

▲レース直後、ともに勝利を掴んだラウダシオンを労うM.デムーロ騎手。

 

 

                                 text by 京増 真臣

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・勝ち馬は好走例がなかったGⅢファルコンS組。来年以降は前走GⅢファルコンS②着以内なら買い目に加えたいところ。②着馬は前走がGⅠ桜花賞②着、③着馬は前走GⅢアーリントンC②着だからその他のステップに関しては取捨の基準は現行のままで良さそうだ。

〇ダイワメジャー産駒・・・今年は2頭出走して②⑰着。やはり当レースとの相性はいい

〇前走GⅠ組・・・今年は2頭出走して②⑧着。レシステンシアは惜しくも敗れたが、連対は確保。来年以降も前走が桜花賞なら⑤着以内、皐月賞なら⑧着以内に入ったGⅠ組を軸に据えて馬券を考えたい

 


 
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