8月9日に札幌競馬場で行われた第25回GⅢエルムS(ダ1700m・3歳以上・別定・曇り・良馬場)はタイムフライヤー(単勝1番人気)が外を回って進出すると直線で、力強く伸びて優勝。これが2017年のGⅠホープフルS以来となる重賞2勝目。クロフネを手がけた栗東・松田国英調教師の管理馬が、芝・ダートの重賞を制するという偉業を成し遂げた。鞍上はC.ルメール騎手。タイムフライヤーは北海道白老町・社台コーポレーション白老ファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 大方の予想通りリアンヴェリテが気合をつけてハナに立ち、序盤の入りは少し早めでしたが、道中のペースは落ち着き、12秒台前半のラップで推移。流れ自体は先行タイプに向いていましたから、上位2頭の脚力が一枚上だったと見るべきでしょう

 

芝のGⅠ覇者が砂上で再生

【レース分析】 勝ったタイムフライヤー(1番人気)は中団に位置して、枠なりに馬群の外めを進んで折り合いもスムーズ。②着馬が動いてきたタイミングに合わせるようにスパートして、そのまま直線で危なげなく抜け出しました。

「外枠だったのでプレッシャーも受けず、スムーズな競馬ができました。②着馬が動いてきて、この馬にはちょうどいいプレッシャーになって、馬がやる気になってくれましたしね。前走のマリーンSを勝った時に、いいスピードがあるから重賞も勝てる馬だと思いました。広いコースの1600mがいいと思いますが、ちょっとずつレースが上手になっていますし、リラックスできれば1800mでも大丈夫でしょう」とレース後のC.ルメール騎手。どうやら暮れのチャンピオンズCを意識したようなコメントが聞けましたし、今後もダート路線の主役候補の1頭となりそうです。

 

タイムフライヤーの4代血統表

 

8歳も若々しいウェスタールンド

 ②着のウェスタールンド(2番人気)は道中、最後方に位置して、3コーナー手前から馬群の外を一気に追い上げる少し大味な競馬。最後は勝ち馬に突き放されましたが、こちらの方が斤量は1キロ重く、相手の仕掛けも完璧でしたから、2馬身の着差ほどの力差は感じませんでした。8歳でも安定感は増していますし、こちらもGⅢでは一枚上の地力を示したといえるでしょう。

 

 ③着アナザートゥルース(5番人気)、④着ハイランドピーク(4番人気)は上手に流れに乗って、自身の力は発揮した印象。それでも前者は放牧明けで58キロを背負っていましたから、馬券圏内を確保したのは立派の一語。⑤着ワンダーリーデル(9番人気)は差しに徹して直線で鋭く伸びましたが、戦前から本質的に小回り1700m向きではないと見ていましたし、広いコースなら前進は必至でしょう。自分が◎にしたリアンヴェリテ(7番人気)は自分の形に持ち込みながら⑩着。鞍上は「理想的なレースができましたが、もう一段ギアが上がらなくて……」とコメントしており、体調面なのか、前走で大敗していた後遺症なのか、これからじっくり考えてみたいと思っています。

 

 

                                 text by 五十嵐 友二

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇馬齢・・・今年は5歳→8歳→6歳で決着。8歳以上は連対なしというデータは覆り、またGⅠ勝ちや過去の好走馬ではない6歳馬も好走。馬齢により、狙い馬を絞る込むのは来年以降はやめた方が良さそうだ。

〇マリーンS組・・・結論で推したタイムフライヤーが見事に①着。これで15年以降、該当馬は6頭出走して4頭が優勝。来年以降もマリーンSで1、2番人気に支持されて③着以内に好走した馬がいればアタマで買える。

 

 


 
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