競馬 研究ニュース

第56回 七夕賞 回顧

 

 7月12日に福島競馬場で行われた第56回GⅢ七夕賞(芝2000m・3歳以上・ハンデ・曇り・重馬場)は直線で内めから抜け出したクレッシェンドラヴ(単勝3番人気)が優勝。鞍上の内田博幸騎手は先週のGⅢラジオNIKKEI賞に続き、2週連続での重賞制覇。管理するのは美浦・林徹調教師クレッシェンドラヴは北海道新ひだか町・木村秀則さんの生産馬。馬主は広尾レース㈱。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 徹底先行型が不在。戦前から何が逃げるのかはっきりしない面はありましたが、出脚の良かったパッシングスルーがハナを主張。ウインイクシードノーブルマーズがこれに続きました。前半1000m通過は61秒3、後半1000mが61秒2のイーブンペース。

 

 

トップハンデでも力の違いを示す

【レース分析】 クレッシェンドラヴは筋肉痛によりGⅡ日経賞に出走せず、間隔が開いていましたが、馬体はきっちりとできていました。身のこなしも滑らかで好仕上がり。例によって序盤は後方に待機。向正面に入ってからジワッと進出。残り800m付近から仕掛けましたが、このタイミングが抜群。馬群を捌きつつ、馬場の中ほど通って押し上げます。また降り続いた雨の影響で馬場の内めのコンディションは悪化。悪くなり過ぎていない、ぎりぎりの部分を選んだコース取りも絶妙でした。トップハンデの57キロを背負っていましたが、力強く抜け出しての快勝。ここでは力が違いましたね。

 

クレッシェンドラヴの4代血統表

 

「馬場が悪かったのでスタート次第では先行することも考えていましたが、思ったよりも前に行けなかったですね。そこからは内で包まれずに、馬場のいい外を走らせたいと思っていました。最後は持ち前のスタミナで、ゴールまでしっかり駆け抜けてくれると信じていました。今日のような馬場はこなせるとは思っていましたが、ここまで器用にこなしてくれるとは思わなかったですね。57キロを背負ってのものですし、堂々とした内容だったと思います。使って更に良くなると思いますし、これからが楽しみです。」内田博幸騎手。鞍上がクレッシェンドラヴの特徴や癖をしっかりと把握し、何より能力を信頼していたからこそできたレース運び。継続騎乗の賜物と言える勝利と見ることもできるのではないでしょうか。

 

 

道悪でも健闘したブラヴァス

 ブラヴァスは馬体にムダ肉がなく仕上がり良好。前を射程圏に入れつつ、外枠から馬場のいい外めをスムーズに運べたことが大きく、好走に結び付きましたね。直線もしっかりと脚を伸ばして②着。これでオープンに昇級後はGⅢで④②着。レース後、「決して得意な馬場ではなかった」福永騎手は語っている点からも価値ある②着。重賞獲りが見えてきました。ヴァンケドミンゴは馬体重の数字こそ変わっていなくても、前走より体が締まって映り、好気配。終い一辺倒の追い込み型というイメージがありましたが、今回は中団から脚を伸ばしてきました。コース巧者ぶりも発揮しての③着。

 ウインイクシードは抜群の仕上がり。ポジションを取りに行って2番手を進みました。終始、インにこだわったレース運びは2008年にGⅢ福島記念(マンハッタンスカイ)を勝つなど、当地の重賞で存在感を示したかつての芹沢ジョッキーを彷彿とさせましたが、外の馬と馬体が離れてしまったのが悔やまれるところ。それでも、残り1ハロン標識までは先頭を死守して見せ場を作りました。

 

 

                                 text by 京増 真臣

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇ハンデ・・・54キロのヴァンケドミンゴが③着に食い込んだが、①②着は57キロ→55キロで決着。やはり連対候補は55キロ以上の馬からチョイスするのが正解。

〇斤量増減・・・①②着馬は前走と斤量が同じ。③着馬は前走から3キロ斤量が減っていた。前走から斤量1キロ減だった馬は⑦⑧⑨⑩着といずれも凡退。斤量減組は2キロ以上減った馬を狙うのが得策。また前走から斤量増+前走③着以内だったマイネルサーパスは⑪着。今年は結果が出なかった。

 

 


 
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