7月19日に函館競馬場で行われた第56回GⅢ函館記念(芝2000m・3歳以上・ハンデ・曇り・良馬場)はアドマイヤジャスタ(単勝15番人気)が優勝。2歳暮れのGⅠホープフルSでサートゥルナーリア相手に②着のある好素材が見事に復活。鞍上は今回が初騎乗だった吉田隼人騎手。管理するのは栗東・須貝尚介調教師アドマイヤジャスタは北海道新安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は近藤旬子さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 戦前の予想通り、主導権を握ったのはトーラスジェミニ。道中は11秒台のラップを刻んで快調に飛ばし、前半1000m通過は58秒8。開催最終日の馬場を考慮すればかなり速いペース。適度に上がりがかかって差し・追い込みタイプがワンツーを決めました。

 

 

馬具を工夫して力を発揮!

【レース分析】 15番人気という低評価を覆して優勝したアドマイヤジャスタ。激走のヒントは研究ニュース当日版に掲載された須貝尚介調教師の談話にありました。「気持ちの問題が大きかったが、ホライゾネットを着けた前走は集中していた。能力は高いので前走をきっかけに良さを出せれば」。確かに2走前の都大路S当時は追い切りで絶好の動きを見せながらも⑬着。凡走した理由をメンタル面に求め、ホライゾネットを着用して臨んだ前走のGⅢ鳴尾記念はまずまずの伸びを見せて⑥着。浮上の兆しを見せていました。

今回は速いペースの分、折り合って気分良く追走。3コーナー付近で鞍上がGOサインを出すと、あっという間に先行集団に取り付き、直線は内の馬を捻じ伏せるように外から抜け出してきました。ヨーイドンの瞬発力勝負よりも上がりのかかる消耗戦が合っているようですね。激しくイレ込むというタイプではなく、レースに、そして走りに集中できるかはゲートが開いてみないと分からない部分ですが、馬具を工夫した効果でここ2戦はしっかり脚を使えました。もう1、2戦、上位争いに加わってくると本物と言えそう。それでも、2歳GⅠで連対した素質馬が復調を示したわけですから関係者の方々、そしてアドマイヤジャスタを応援するファンの皆さんにとっては嬉しい、嬉しい勝ち星となりました。

 

アドマイヤジャスタの4代血統表

 

馬群を捌いて伸びたドゥオーモ

 ドゥオーモは馬群を上手に捌いてゴール寸前で②着に浮上。安易に外を回さず、進路が塞がるのも覚悟して馬込みに突っ込む選択をし、しっかりと結果を出したあたりは藤岡康騎手の好プレー。②着に食い込んだGⅢ小倉大賞典が連闘で臨んだ滞在競馬。今回は中1週ですから、今後も現地滞在+間隔を詰めてきた際は注意が必要ですね。

 

 

 バイオスパークは2番枠からロスのない立ち回り。しっかりと脚が溜まっており、直線に向いて逃げ馬を捉え、抜け出しかけますが、外から伸びた勝ち馬の勢いが一枚上。交わされて、最後はドゥオーモの強襲に屈して③着。それでも、オープンに上がってからは④②③着。前走、そして今回と積極的に立ち回って上位争いを演じたあたりは地力強化の証。今後は展開等が噛み合えば重賞制覇も十分可能と思えます。

 ④着は逃げ粘ったトーラスジェミニ。確かにペースは速めでしたが、前2走と同様に道中では外から被せられるシーンはありませんでした。気持ち良く逃げられたのに甘くなったあたり、若干、2000mは長いのかもしれません。1番人気に支持されたカウディーリョは⑦着。直線では少し内にモタれるような感じに。またあまり経験したことがない締まった流れを積極的に追いかけたことで脚も溜まらなかったのかも。このあたりは経験の差が出たようにも感じました。

 

 

 

                                 text by 藤原 有貴

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇OP特別組・・・②着ドゥオーモは前走で巴賞に出走して6番人気⑨着。来年以降は6番人気までカバーしたいところ。

〇重賞組・・・エプソムC組は2頭出走していたが、どちらも上記の条件を満たせず、⑪⑭着に敗れた。

〇ハンデ・・・今年も51キロ以下の軽量馬による好走はなかったが、連対馬は54、53キロ。55、56キロを重視し過ぎる方針は転換しなければならない。

〇枠順・・・13番人気ながら②着のドゥオーモが3枠。来年以降も2~4枠に入った馬には最大級の警戒が必要だ。

 

 


 
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