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第68回 府中牝馬S 回顧

 

 10月17日に東京競馬場で行われた第68回GⅡアイルランドトロフィー府中牝馬S(芝1800m・3歳以上・牝馬・別定・雨・重馬場)はサラキア(単勝7番人気)が優勝サラキアは1週前に同じ舞台で行われたGⅡ毎日王冠を制したサリオスの姉にあたり、見事、2週連続でのきょうだいによる重賞制覇となった。騎乗した北村友一騎手、管理する栗東・池添学調教師とも同レースは初勝利。この結果、優勝したサラキアがGⅠエリザベス女王杯の優先出走権を獲得した。サラキアは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 同型がおらず、トロワゼトワルがすんなりと主導権を握りました。降り続いた雨の影響により、東京芝は重馬場発表。その点を考慮すると前半1000m通過59秒6というペースは速く、離れた2番手を進んだダノンファンタジーがベストポジションだったと考えられます。6ハロン目に12秒7というラップが出現。このトロワゼトワルが少しペースを緩めた4コーナー付近の区間でダノンファンタジー以下、後続が前へと接近。そして直線では横に広がっての追い比べに。最後に勝敗を分けたのは道悪の巧拙だったと見ています。

 

雨馬場を敵ではなく味方につけて

【レース分析】 サラキアはパドックでは活気があり、本馬場入場でも軽快な脚取り。小倉戦以来、中6週での出走でしたが、デキは良く映りました。レース序盤は後方で折り合いに専念。3コーナーを過ぎたあたりから1番人気に推されたラヴズオンリーユーをマークするように進出を開始します。直線に向くと、北村友一騎手は迷わず、馬場のいい外へと持ち出します。そこから抜群の手応えのままポジションを上げ、ラスト300mあたりで満を侍して追い出されると、離れた内で粘るトロワゼトワルを交わし、鮮やかに抜け出して快勝。不良馬場で行われた6月のGⅢエプソムCで⑬着と惨敗していましたから、重馬場は不得手と感じていたのですが、手の合う北村友一(今回も含めて騎乗時は4戦3勝②着1回)騎手の絶妙のコース取り、リードも光って重賞初制覇となりました。

 

サラキアの4代血統表

 

「跨っていい状態を維持していると感じました。馬場が悪かったんですが、いい意味で前進気勢がありましたね。折り合いを気にしないといけないタイプですが、今日は脚を取られているぐらいだったので(むしろリラックスして走れた)ちょうど良かったです。位置取りを気にせず出たなりで競馬をしようと思っていて、馬場のいいところを通ることもできました。いつも一瞬は脚を使うという馬なので、手応えが良くても坂上では心配でしたが、最後までよく頑張ってくれました」北村友一騎手。低評価に反発し、GⅠホースらを蹴散らしての勝利。鞍上にとってもこれは会心の騎乗だったのではないでしょうか。

 

復調を示したシャドウディーヴァ

 シャドウディーヴァは前走からプラス8キロでの出走。馬体にボリューム感が出ており、立て直して復調ムードが感じられました。スタートで後手を踏んだこともあって脚をためて直線に賭けるレース。この馬も勝ち馬同様、重馬場は苦手な印象を持っていましたが、直線は鞍上・内田博幸騎手の叱咤に応え、渋太く脚を伸ばして②着に好走。東京コースのマイルから1800mくらいが向いていることを改めて証明しました。今年、東京芝を舞台に稍重・重・不良馬場で施行された重賞レースはこのGⅡ府中牝馬Sを含めて7鞍。内田博幸騎手はこのうち6鞍に騎乗し、何と[1・2・1・2]。人気薄の馬を好走に導いており、複勝回収率は293%。しっかりと覚えておいて道悪の東京芝では馬券に絡めたいジョッキーですね。

 

 

 サムシングジャストは落ち着きが出て、4歳秋を迎えて精神面が成長。スッと控えて後方待機策。直線は馬場の悪い内を通る形になりましたが、ジワジワっと脚を使ってトロワゼトワルとの③着争いを制しました。重馬場も味方しましたが、この馬は1周競馬よりコーナーが少ない条件が合っていますね。ラヴズオンリーユーは馬体が12キロ増え、いい体になっていましたが・・・。久々だったうえにこの馬場でしたからね。1回使っていたら違っていたと思いますが……」M.デムーロ騎手も語っている通り、今回に関しては瞬発力を削がれる馬場が影響した印象。2番人気に推されたダノンファンタジーも敗因はこの馬場と考えていいでしょう。

 

 

 

 

                                 text by 京増 真臣

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

 

〇前走クラス・・・勝ち馬は前走OP特別①着、②着馬は前走GⅢ➃着(9番人気)。準OP、OP特別に関しては取捨の条件は上記で問題ないが、GⅡ・GⅢ組に関しては前走で➃着以内か、1、2番人気に支持されているかに変更したい。

〇芝1800、2000m重賞実績・・・勝ったサラキアは2019年GⅢエプソムCで②着に好走。②着のシャドウディーヴァは2019年GⅡフローラSで②着とともに条件をクリアしていた。

 

 

《GⅡ府中牝馬S 2015-19》

 

 


 
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