競馬 研究ニュース

第162回 天皇賞・秋 回顧

 

 11月1日に東京競馬場で行われた第162回GⅠ天皇賞・秋(芝2000m・3歳以上・定量・晴・良馬場)はアーモンドアイ(単勝1番人気)が優勝。昨年に続く連覇を達成し、史上初となる芝GⅠ8勝目(海外含む)を挙げた。鞍上のC.ルメール騎手は2018年レイデオロで天皇賞・秋を勝っており、同レース3連覇。管理する美浦・国枝栄調教師は当レース2勝目アーモンドアイは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

【展開・ペース】 今回、初めてブリンカーを装着したダノンプレミアムが外枠から注文をつけてハナを切る形。少し離れた2番手にダイワキャグニーが続きました。ダノンプレミアムは12秒前後の淡々としたラップを刻み、前半の1000m通過は60秒5というスローペース。逃げ・先行タイプが粘り込んでも不思議のない展開でしたが、結果的に上位馬の地力、瞬発力が違った印象です。

 

日本競馬史に残る偉業を達成

【レース分析】 パドックに登場したアーモンドアイは落ち着き払って堂々とした周回。馬自身がレースが近いことを察知し、体を造ってきた感じで、太め感もまったくありませんでした。9分以上の仕上がりにあったと見ていいでしょう。時折、ゲートの出がゆっくりということがある馬ですが、今回はスタートが決まりました。前を射程圏に入れながら3、4番手で折り合いに専念。直線は楽な手応えのまま前を行くダイワキャグニーに並びかけると、追い出して逃げるダノンプレミアムを瞬時に捉えました。抜け出してからも脚勢は鈍らず、②、③着馬の追い上げを振り切ってゴール。シンボリルドルフ、ディープインパクトらを超えるこれが芝GⅠ8勝目。昨年は②着を3馬身離したのに対し、今年は半馬身差と着差は詰まりましたが、危なげはなく、完勝と言える内容でした。

 

 

「GⅠ8勝目を獲りたいと思っていましたし、今日は信じられないパフォーマンスでいいレースをしてくれました。スタートする前はリラックスしていましたし、ゲート内でも静かだったので、好スタートが切れました。直線では前の馬が早めにバテたために、坂を上がってからが厳しかったですね。外から2頭に来られた時は心配しましたが、そこから頑張ってくれました。アーモンドアイはメチャクチャ、強かったです。次もいいレースを期待したいですね」C.ルメール騎手。8つめのGⅠタイトルを獲得し、歴史を塗り替えたアーモンドアイ。プレッシャーの中、しっかりと勝利に導いた鞍上の目が潤んでいたのも印象的でした。

 

アーモンドアイの4代血統表

 

10F仕様に仕上げたフィエールマン

 フィエールマンはマイナス12キロと馬体を絞り込み、気持ちもピリッとさせて2000m仕様の造りでした。スタートでゴチャついたことで後方に控えざるを得ず、また直線に向いてからはクロノジェネシスに被せられるような形になり、ワンテンポ仕掛けを待たされましたが、ゴール前は圧巻の伸び脚。最速の上がりをマークして②着に好走。敗れはしましたが、ペースを考慮すれば、最も中身の濃いレースをしていたのはこの馬でしょう。

 

 

 春のグランプリホースで2番人気に支持されたクロノジェネシスはすっきり見せるほど、無駄肉がなく、体の張りも申し分なかったのですが、いくらかうるさい面が気になりました。それでも、もともとテンションの高さがある馬ですし、結果はフィエールマンとハナ差の③着ですから、あれで良かったのかもしれません。後方に控え、末脚勝負。アーモンドアイよりも後ろのポジションから0秒1差まで迫りました。地力強化が著しく、瞬発力勝負に対応できたことも大きな収穫。条件を問わず、力を発揮できるようになりました。先輩からバトンを受け継ぎ、これから牡馬相手に更にタイトルを獲得し、競馬界を牽引していくことでしょう。

 

 

                                 text by 京増 真臣

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】


〇前走クラス・・・勝ち馬は前走GⅠ②着、②着馬はGⅠ①着。来年も連対馬を選ぶ際は上記の基準を参考にしたい。

〇馬齢、性別・・・今年の①~③着馬は5→5→4歳。6歳馬は4頭出走したが、⑤着が最高着順だった。また牝馬に関しては4歳だけでなく、5歳でも優勝候補として考えたい。

〇血統・・・ディープインパクト産駒はフィエールマンが②着。やはり勝ち切るのはなかなか難しいようだ。

 

《天皇賞・秋 2015~2019》

 

 


 
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