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第55回 デイリー杯2歳ステークス 回顧

2020年11月14日(土) 5回阪神3日

  11月14日に阪神競馬場で行われたデイリー杯2歳ステークス(GⅡ)は単勝1.3倍に推されたレッドベルオーブが優勝し、重賞初制覇。全兄レッドベルジュールに続く兄弟制覇はリディル、クラレント兄弟に続く2組目。騎乗した福永祐一騎手はこのレースに強く5勝目。藤原英昭調教師は昨年に続く2勝目となりました。

 レースはホウオウアマゾン、カイザーノヴァの矢作厩舎2頭が前へ。そのあと、スタートが遅かったスーパーウーパーが掛かり気味にこれを交わして先頭に。前半の半マイル46秒6は速い時計が出る馬場状態を考えると、遅くはないというくらい。4角でホウオウアマゾンが先頭に立つと、直後のレッドベルオーブはラチ沿いへ。外からスーパーホープが伸びてきましたが、最後はホウオウアマゾンとレッドベルオーブの激しい追い比べとなり、僅かにレッドベルオーブが先着。勝ちタイムの1分32秒4は昨年の阪神JFでレシステンシアがマークした時計を0秒3上回る、2歳限定のコースレコードです。

 人気に応えたレッドベルオーブは自然とホウオウアマゾンの後ろの位置になりましたが、やはり頭を上げるなど行きたがる素振りを見せました。ある程度は流れていたのにそういう面があったのは今後の課題となります。2戦連続のレコードも馬場やペースによるところが大きく額面通りには受け取れませんが、独走だった前走とは違い、厳しい追い比べで勝ち切れたのは収穫。気持ちの強さを見せました。次が朝日杯FSとなると、同じ舞台の重賞を勝ったことはアドバンテージとなります。あとは厳しいレースをしたあとの中4週で、どこまで回復しているかがポイントになるでしょう。

 ホウオウアマゾンはプラス12㌔で少し余裕のある馬体。スーパーウーパーに交わされて2番手になっても動じず、直線の入り口でもう一度先頭へ。僅かに競り負けましたが前走で瞬発力勝負、今回はレコード決着と一走ごとに課題をクリアしていき、完成度ではトップクラスと言えそうです。

 スーパーホープは道中は勝ち馬の外。追い出すまでは手応え十分でしたが、結果的には内外の差と仕掛けてからの反応の差が出ました。スピードに乗ってからはほぼ同じ脚いろだったので、立ち回りや展開次第で差は詰まりそうです。

 ④着ビゾンテノファブロは本当にタフな馬。中1週続きのあとの中2週で関西圏への遠征という強行軍での健闘。最後方からラチ沿いを追い上げる形で展開には恵まれましたが、前々走のGⅢサウジアラビアRCは同様の形で1秒3差の⑥着なので、進歩しています。ルーキー原優介騎手の落ち着いたレース運びも良かったのでしょう。

 ⑤着カイザーノヴァは懸念していたイレ込みは気にならず馬体も増えていましたが、初めての硬くて速い馬場に対応できなかったのか、ラップが10秒台になったところで脱落。パワータイプという感じでもないので、適度に上がりのかかる良馬場が理想かも。

text by 石井大輔

 

 

 

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