5月23日に東京競馬場で行われた第82回GⅠオークス(芝2400m・3歳・牝馬・馬齢・晴れ・良馬場)は単勝3番人気に支持されたユーバーレーベンが鮮やかに差し切って優勝。騎乗したM.デムーロ騎手は2019年ラヴズオンリーユーに続く2勝目。管理する美浦・手塚貴久調教師は当レース初勝利となった。ユーバーレーベンは北海道新冠町・ビッグレッドファームの生産馬。馬主は㈱サラブレッドクラブ・ラフィアン。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 当初から先手候補を特定しにくいメンバー構成でしたが、まずは大外枠のステラリアが行く構えを見せると、武豊騎手が初騎乗だった内のクールキャットも積極策を選択。スタートから2ハロン目が11秒1と若干、早めの入りになって、更に道中も、最もラップが落ちた6~7ハロン目でも12秒6と極端にペースは緩まず。その割にはレース上がりも34秒9と速めで、スタミナ+決め手の鋭さも要求される展開になりました。
見事立て直し、樫の女王に
【レース分析】 勝ったユーバーレーベン(単勝3番人気)は過去最低体重だった前走のGⅡフローラSから8キロ増の馬体で、パドックから返し馬でも抜群の気配。レースでも互角のスタートを決めて、前半は中団の内めに位置。6ハロン標識あたりで馬群の外に持ち出し、徐々に前を射程圏に入れる位置まで進出。残り2ハロン手前で鞍上が本格的に追い出すと、手応え通りに伸びて、馬群から抜け出しました。
「感動しました。嬉しいです。GⅠを勝てて光栄です。馬はちょっと調子の良くない時期もありましたが、少しずつ良くなっていました。あまりゴチャつきたくなかったので、ポジションは後ろになりましたが、向正面はいい感じで、3~4コーナーでペースが上がった時も手応えは楽でした。直線はジリジリ伸びる馬なので、距離も問題ないと思っていましたし、早めに先頭になった時は物見をするか心配でしたが、頑張ってくれました。ファンの温かい声援がとても嬉しいです」とレース後にM.デムーロ騎手はコメント。当日版の紙面にも書きましたが、GⅠ阪神JF③着と同じ舞台のGⅠ桜花賞を見送り、GⅠオークス1本に絞った陣営の英断が見事に結実した勝利と言えますし、現3歳世代の牝馬でトップクラスの能力も改めて示しました。父の産駒で兄が同じ手塚厩舎で現オープンのマイネルファンロンですから、今後の成長も期待されます。
東京で前進!アカイトリノムスメ
②着アカイトリノムスメ(単勝2番人気)は序盤から1番人気のソダシを終始、マークするような位置取り。そのために直線で追い出しを待たされるシーンがありましたが、その分、脚がたまり、ラストで最も切れた印象も。GⅠ桜花賞の時より馬体も増えていて、超良血馬らしい成長力も感じられました。正直、驚かされたのは③着ハギノピリナ(単勝16番人気)の健闘で、2200mで2連勝中、2400mも経験していたので、ひょっとしたらとは考えていましたが、勝ち馬より更に外を回りながら、馬券圏内に食い込んだスタミナは特筆もの。今後の動向が非常に気になります。
④着タガノパッション(単勝10番人気)もデビューが3月20日、中1~2週で3回連続の東京遠征と過密日程だったことを考えれば立派な内容。潜在能力の高さが窺えました。⑤着アールドヴィーヴル(単勝7番人気)はGⅠ桜花賞の時の馬体を維持していましたが、やばり全体的には細身の印象。それで掲示板を確保した点は評価できますし、夏を越して成長すれば、パフォーマンスUPも見込めるでしょう。一方、1番人気で⑦着に終わったソダシ。②着馬などにマークされ、道中で外から被せられた際には少し頭を上げるシーンもありましたが、それまでに見せていた勝負強さを発揮できなかったところを見ると、広い東京コースで緩みない流れだと2400mは長かった様子。本質的な適性の差が出た印象を受けました。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・馬券に絡んだ3頭の前走を見ると、勝ち馬はGⅡフローラS③着(当時2番人気)、②着馬はGⅠ桜花賞④着。ともに連対条件には当て嵌まらなかった。来年以降はGⅡ組=前走①着か前走で1、2番人気、GⅠ桜花賞組=前走④着以内と条件を緩和したい。
《オークス 2016-20》 |