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第38回 エプソムC 回顧

 6月13日に東京競馬場で行われた第38回GⅢエプソムC(芝1800m・3歳以上・別定・曇り・良馬場)は単勝3番人気に支持されたザダルが勢い良く差し切って優勝。騎乗した石橋脩騎手は当レース初勝利。管理する美浦・大竹正博調教師は2016年ルージュバックに続き、2勝目。ザダルは北海道新冠町新冠橋本牧場の生産馬。馬主は(有)キャロットファーム。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

▲エプソムCのレース動画はコチラをクリック

 

【展開・ペース】 ハナ候補と見ていたミラアイトーンが出遅れましたが、代わりにエアアルマスが先導役を買って出て前半1000m通過は58秒8の平均ペース。勝敗を分けたポイントはふたつ。まずひとつめは瞬発力の優劣。そして直線に向いてからは馬場の悪い内側を避け、各馬、外へと広がりましたからコース取りも大きなウェイトを占めました。

 

スムーズに運んで末脚全開

【レース分析】 ザダル(単勝3番人気)は馬体重が12キロ増えていましたが、それほど太くは見えず、厚みを増して体つきが良くなっていました。スタートを決めたことで、レースの組み立ては楽でしたね。外枠から馬場のいい外めを追走。前を射程圏に入れつつ、脚を溜めて運べました。道中、スムーズなレースができたことで直線は素晴らしい瞬発力を発揮し、鮮やかな差し切り。東京芝1800mがベストという印象を受けますが、1ハロン前後の距離であればこなせますから、秋はGⅠ天皇賞・秋、マイルCSあたりでも遜色のない走りが期待できそうです。

 

▲パドックを周回するザダル。休養効果で馬体はひと回り逞しくなってパワーUP。

 

「操縦性が高いのは分かっていました。レース直前に雨が降ったので、馬場を気にしながらうまく誘導できればと思っていましたから、コースのことだけを考えていました。新馬戦から乗っていていい時の頃を知っていたので、今日はその時と遜色のないデキだと感じていましたからね。乗せていただいてありがたく思っています」とレース後に石橋脩騎手はコメント。決して無理をさせず、成長を待ちながら大事に使われてきたことが5歳での重賞制覇に繋がりました。先週、GⅠ安田記念を制したダノンキングリーと同世代。この2頭は秋のGⅠ戦線でもどんな走りを見せるのか注目が集まります。

 

ザダルの4代血統表。トーセンラー産駒はこれがJRA重賞初勝利。産駒数は多くないが、ザダルアイラブテーラーなど父譲りの瞬発力を受け継いだ馬たちが活躍している。

 

進路を切り開き伸びたサトノフラッグ

 サトノフラッグ(単勝6番人気)は気持ちがピリッとして、身のこなしは滑らか。ザダルとは結果的に位置取りの差が出てしまいましたが、直線では狭いスペースを捌きながら勝ち馬に迫りました。高く評価すべき②着でしょう。ファルコニア(単勝2番人気)はテンションが高めでしたが、この程度なら許容範囲内。フットワークは軽快で、馬体の張りも上々でした。スタートで後手を踏み、馬場のいい外に出すことはできませんでしたが、渋太く脚を伸ばして③着。連勝の勢い、地力強化ぶりが本物であることを示しました。

 

▲直線で馬場の真ん中から外を通ったザダルサトノフラッグがグイグイ伸びてワンツーを決めた。

 

 本命に推したアドマイヤビルゴ(単勝7番人気)は小ぶりなタイプが多いディープインパクト産駒にしても華奢ですから馬体増はいい傾向。直線入り口でシュリに外から蓋をされる形となり、進路を切り替えざるを得なかったのが悔やまれますね。そこさえスムーズなら、上位陣との差はもっと詰まっていたでしょう。

 

 

                          

text by 京増 真臣

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・①②着馬の前走を見ると、勝ち馬はGⅡ⑤着、②着馬はGⅡ⑦着。どちらも重賞だけに条件をクリアしていた。

〇馬齢・・・今年は5歳→4歳が連対。7歳馬は4頭出走したが、いずれも⑧着以下に敗れている

〇間隔・・・①、②着馬はともに休み明け。大きく潮目が変わった印象。来年以降は久々でも割り引く必要はない。

〇斤量・・・斤量が2キロ増えた馬は⑩⑬⑯着と結果を出せなかった

〇メイS組・・・連続連対記録は途絶えたが、アトミックフォースが13番人気ながら⑤着に健闘。連軸としては狙いづらいが、馬券の相手には加えておきたい

 

 

《エプソムC 2016-20》

 

 


 
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