7月4日に福島競馬場で行われた第70回GⅢラジオNIKKEI賞(芝1800m・3歳・ハンデ・小雨・稍重馬場)は単勝4番人気に支持されたヴァイスメテオールが力強く差し切って優勝。騎乗した丸山元気騎手は当レース初勝利。管理する美浦・木村哲也調教師は2016年のゼーヴィント以来、2勝目となった。ヴァイスメテオールは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 ノースブリッジが果敢にハナを切り、行きっぷり良く先導。2番手にタイソウが続き、インの3番手にワールドリバイバルが収まりました。中盤はグッとラップが緩んで前半1000m通過は60秒7。雨馬場を考慮しても落ち着いた流れ。上がり3ハロンは11秒台のラップが連続。先行勢と内をロスなく運んだ馬に有利な展開でした。
秋が楽しみになる快勝劇
【レース分析】 福島競馬場は今年2月の地震によって被災。ダメージは大きく、春開催を断念(新潟競馬場での開催に)。迎える夏の開催。まだ競馬場は修復工事中であるため、無観客で行われることになりましたが、昨秋以来、久しぶりに福島の地に蹄音が戻ってきました。これは大きな一歩。秋はファンの活気、熱気に包まれるはず。その時を楽しみに待ちたいですね。
今年のラジオNIKKEI賞で重要なウェイトを占めたのが展開。前後半4Fのラップを比較すると前半が48秒1に対し、後半は47秒3。同じ稍重馬場で施行された2020年が前半47秒3~後半47秒7。結果は4コーナーを1、2番手で通過した馬によるワンツー。それに輪をかけて今年は前残りが叶う展開だったと言っていいでしょう。それだけに差し切って2馬身半突き抜けたヴァイスメテオール(単勝4番人気)の走りは素晴らしく、価値も絶大。内枠からロスを抑えて運べたこと、そして得意とする雨馬場だったのもプラスに働いた点はありますが、性能の違いをアピールするのに十分な内容。コースを問わずに脚が使えるのは魅力。今後、どのような路線を歩むのかは未定ですが、その走りから目が離せません。
「イメージ通りに乗ることができて良かったです。ここ2戦はゲートが悪かったのでスタートには気をつけていきました。いいポジションでしっかり我慢ができたし、スタートしてからリズム良く運べて手応えも楽でした。新馬戦でも乗せてもらった馬で、以前から能力は感じていました。大型馬特有の緩さがあったのですが、久しぶりに乗せてもらった今日は力をつけてきたと感じましたし、以前よりも馬が良くなっていました」とレース後に丸山元気騎手はコメント。
レース巧者ワールドリバイバル
ワールドリバイバル(単勝11番人気)は主導権をノースブリッジに譲る形になりましたが、上手に折り合ってインの3番手を追走。確かに展開は向きましたが、上がり3ハロンを35秒3でまとめて、最後は逃げ粘るノースブリッジを交わして②着に浮上。逃げることなく、控えて脚を使えた点は収穫。また重馬場だったスプリングSでも⑥着に健闘したように道悪も苦にしません。今後も先行力と器用さが生きる展開、馬場なら更に勝ち星を積み上げていけるでしょう。③着に敗れたノースブリッジ(単勝7番人気)ですが、今回は持ち前の粘りを存分に発揮。前走時に騎乗した横山和生騎手は「2400mはやはり長いんでしょうか……。1600~1800mが合う感じ。左回りだと走りがあまり上手ではないので、右回りの方がいいかもしれません」とまさにその言葉通り、右回りの1800mに替わって走りが一変。今後も適条件に使われるようなら常にマークが必要です。
1番人気だったボーデン、2番人気に支持されたリッケンバッカーは外を回るロスが大きく伸び切れなかった印象。ただ、力を出し切っての敗戦でないのは明らか。次走で巻き返しがあって当然でしょう。私が本命に推したグランオフィシエ(8番人気)は⑭着と大敗。好位に陣取り、手応え良く直線に向けましたが、そこからは伸びあぐねて後退。雨馬場が影響したのか、前走で逃げた分、立ち回りの違いに戸惑ったのか敗因は判然としませんが、未勝利、1勝クラスを連勝した内容は上々。力不足だったと決め付けるのは早計といえ、こちらも次走での変わり身に注意したいところです。
text by 藤原 有貴
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・連対馬の前走を見ると、勝ち馬はOP特別④着、②着馬はGⅠ⑫着(1秒8差)。どちらも条件を満たしていなかった。来年以降はOP特別組③→④着以内。前走が重賞でもGⅠであれば着順、着差は不問と条件を変更し、連対馬を抽出したい。 〇ハンデ・・・今年は54→53キロ馬で決着。51キロの軽量馬2頭は⑧⑮着に敗れた。 〇前走距離・・・連対した2頭は前走で芝2000mに出走。前走が1600m以下だった馬ではリッケンバッカーの⑨着が最高着順だった。 〇枠順・・・下に掲載した過去5年表を見ても1、2枠に入った馬はほぼ毎年、連対を果たしている。開幕週の施行だけにやはりロスなく運べる内枠が有利。また先行力を備えた馬も狙い目となる。
《ラジオNIKKEI賞 2016-20》 |