9月20日に中山競馬場で行われた菊花賞トライアル第75回GⅡセントライト記念(芝2200m・3歳・馬齢・晴れ・良馬場)は単勝9番人気のアサマノイタズラが直線で外に持ち出されると鮮やかに差し切って優勝。騎乗した田辺裕信騎手は2018年ジェネラーレウーノ以来となる当レース2勝目。管理する美浦・手塚貴久調教師はセントライト記念は初勝利。この結果、アサマノイタズラソーヴァリアントオーソクレースの3頭が菊花賞の優先出走権を獲得した。アサマノイタズラは北海道日高町前野牧場の生産馬。馬主は星野壽市さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 ノースブリッジがハナを奪い、タイトルホルダーが2番手を追走。しかし、隊列が決まりかけた1コーナーでワールドリバイバルが動き、ルペルカーリアも続いて出入りの激しいレースに。道中は12秒台前半のラップが並び、淀みのないペース。前で運んだ組は直線で脚がなくなって後退したこともあって内ラチ沿いは大渋滞。4コーナーでの進路取りも各馬の明暗を分けました。

 

▲休み明けでも心身とも成長を感じさせたアサマノイタズラ(撮影:yu~kun)

 

春より鋭さを増した末脚が炸裂!

【レース分析】 パドックに現れたアサマノイタズラ(9番人気)は春よりも落ち着きが出た印象。また馬体には緩さがなくなり、心身ともに成長を感じさせました。レースをひと言で表現するならば、田辺騎手らしい“決め打ち”が勝利を呼び込みました。前半は後方でじっくりと脚をためて、内から外へ持ち出す4コーナーのコース取りは何度見ても唸る絶妙のもの。直線は先に抜け出したソーヴァリアントを目掛けて一完歩毎に差を詰め、ゴール寸前できっちりと捉えました。

 

田辺騎手は初騎乗だったが、存分にアサマノイタズラの末脚を引き出した。

 

「初騎乗ですが、調教では乗っていましたし、嶋田騎手ともいろいろと話をして情報は集めていました。ただ、菊花賞へ向けてどう権利を取ろうかと考えていたので、勝ち切ったことにはびっくりしています。全部を捉えるとは思っていなかったので、そのあたりは能力の高さなのでしょう。スタートは良かったですが、行く馬が多くてそれに参加するとムキになると思ったので、自分のペースを守りながら運びました。あの位置まで下げるつもりはなかったのですが、馬はリラックスして走れていましたし、ゴーサインを出してからの反応が凄く良かったです。これまで一線級の馬たちと戦っていましたから、チャンスはいつでもあると思っていました。今日は余裕残しだったので、いい形で本番へ向かえられますね」とレース後に田辺騎手はコメント。日本ダービーへは向かわず、前走後もしっかりと休ませたことで立ち直り、また成長を示す素晴らしい差し脚。田辺騎手は更に上積みが見込めると語っており、本番でも目が離せません。

 

アサマノイタズラの4代血統表 母ハイタッチクイーンは星野オーナーの所有馬でJRAで3勝をマーク。愛馬に皐月賞、有馬記念を制したヴィクトワールピサを配合して誕生したのがアサマノイタズラ。走り慣れた中山に戻って重賞制覇を成し遂げた。

 

敗れたが中身は濃いソーヴァリアント

 ソーヴァリアント(2番人気)はテンションが高いものの、オルフェーヴル産駒ですから、この程度なら許容範囲内でしょう。馬体の張りや艶は良かったですね。スッと前に取りつき、スタンド前で内に潜り込ませるとそこからは折り合いに専念。他馬が動いたことで自然とポジションが下がりましたが、いいタイミングで外に出すことができました。4コーナーは外から被せるようにして先頭に並びかけ、内の馬を交わして一旦は完全に抜け出すシーン。勝ち馬の決め手に屈しましたが、中身の濃い②着ですね。

 

▲タイトに密集した内の馬群を外から一気に交わし去ったアサマノイタズラ

 

 オーソクレース(5番人気)は直前の追い切りの動きに物足りなさを感じましたが、馬体には無駄肉がなく、きっちりと仕上がっていました。中団で脚を溜めて、他馬が動いてもじっと我慢。4コーナーから直線に向くところでは②着馬の直後からスムーズに捌くことができました。9カ月の休養明けでしたが、次に繋がるレースはできましたね。

 タイトルホルダー(1番人気)はスタート直後に2番手を確保しましたが、1コーナーで外から交わされて好位馬群の中に控える形。3コーナーからはズラリと前が壁。直線に向いてからも抜け出すだけのスペースが生まれませんでした。素晴らしい手応えでしたが、完全に脚を余す形に。不運だったと言って良く、この敗戦はノーカウントとしていいでしょう。

 

 

                          

text by 京増 真臣

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・②着馬は前走が2勝クラスで①着と条件をクリア。勝ち馬は前走がGⅢ⑫着から変身したため買い目に加えることができなかった。来年以降は思い切ってGⅡ、GⅢ組に関しては着順による取捨を辞めるか、アサマノイタズラのように中山芝コースの重賞で連対があった場合のみ着順不問で狙えるというように基準を改めたい

〇日本ダービー組・・・今年はヴィクティファルスの⑤着が最高着順。そのヴィクティファルスは日本ダービーでは14番人気だった。日本ダービー組を重視すること、そして狙い方に関しては考え直す必要がある。

 

 

 

 

《セントライト記念 2016-20》

 

 

 

 

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