11月14日(日曜)に福島競馬場で行われた第57回GⅢ福島記念(芝2000m・3歳以上・ハンデ・晴れ・良馬場)はパンサラッサ(単勝5番人気)が果敢に主導権を握るとそのまま逃げ切って優勝。騎乗した菱田裕二騎手、管理する栗東・矢作芳人調教師とも福島記念は初勝利。パンサラッサは北海道新ひだか町木村秀則さんの生産馬。馬主は広尾レース㈱。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 先手候補は何頭かいましたが、その中でもパンサラッサがテンから気合をつけて、絶対にハナを譲らないといった気迫を見せて2→3ハロン目が10秒台の快ラップ。1000m通過も57秒3も速かったですが、その後もペースを落とさず、9ハロン目までに12秒台後半より遅いラップが1度もない消耗戦。さすがにラスト1ハロンは13秒1を要しましたが、勝ち馬はそれまでのリードを使い果たすことなく、ゴールまで駆け抜けました。
己のスタイルを貫き通した
【レース分析】 勝ったパンサラッサ(5番人気)は戦法に迷いがなく、後続が追走に脚を使うようなパターンに持ち込んで、②着馬に4馬身差をつけての快勝。「最初からハナへ行こうと思っていました。ペースが速いことも分かっていましたが、馬がいい勢いで行ってましたし、抑えるよりもと思って気分良く走らせました。福島なので待っていても仕方ありませんからね。直線に入って追い出したら、いい反応をしてくれたので、これなら追いつかれないだろうと思いました。素晴らしい馬に乗せてもらって感謝しています」とレース後に菱田騎手はコメント。ケレン味のない騎乗が第一の勝因でしょうが、2番手を追走していた馬がブービーまで失速したことを考えれば、正攻法での押し切りは馬の能力が高ければこそ。今後も中距離路線での活躍が楽しみですし、米国のブリーダーズCで2勝、国内でも先週の東スポ杯2歳Sに続いて2週連続で重賞Vと、陣営の勢いも止まりません。
福島で再び輝いたヒュミドール
②着のヒュミドール(6番人気)は10キロ増の馬体でも太め感はなく、長距離GⅡで健闘歴があったようにスタミナも十分。特に福島芝2600mで2勝クラスVがオープンまで出世する躍進のきっかけになったことを覚えていたので、△ではなく、もっと重いシルシをつけるべきでした。③着アラタ(1番人気)は連勝が止まりましたが、3歳春以来の重賞挑戦で②着と0秒1差は合格点。こちらも道悪や北海道の洋芝で好走してきたので、今回のような持久力勝負は向いていたと思われます。④着ステイフーリッシュ(3番人気)も消耗戦は得意ですが、トップハンデを背負って、先行勢を積極的に追いかける形でしたから、最後の詰めを欠いても責められません。むしろレース内容の価値としては勝った僚馬と遜色ないと考えています。
一方、本紙で◎にしたブラヴァスは7番人気で、よもやの⑭着。序盤から追走に手間取って、あまり見せ場もありませんでした。それまでの鉄砲成績の良さに注目しましたが、休養を挟んでも体調自体が上がっていなかったようで、中心馬に推したのは、ちょっと無理筋だったと猛省しています。巻き返しを期待するのも良化の兆しが見えてからでしょうか。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・①着馬は前走がL競走①着。②着馬は前走がGⅡで勝ち馬から0秒8差。どちらも連対条件を満たしていた。 〇斤量増減・・・勝ったパンサラッサは前走と同じ56キロを背負って勝利。来年以降はあまり斤量に敏感にならない方がいいだろう。 〇血統・・・オルフェーヴル産駒のヒュミドールが②着に好走。ステイゴールド系が好走しやすいという傾向は今後も継続しそうだ。
《福島記念 2016-20》 |