4月23日(土曜)に福島競馬場で行われた第19回GⅢ福島牝馬S(芝1800m・4歳以上・別定・晴れ・良馬場)はアナザーリリック(単勝3番人気)が外から豪快に差し切って優勝。騎乗した津村明秀騎手、管理する美浦・林徹調教師とも福島牝馬Sは初勝利。この結果、アナザーリリックはヴィクトリアマイルの優先出走権を獲得した。アナザーリリックは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は㈲シルクレーシング。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 外枠からキタイがハナに立ち、ロザムールが差なく2番手で続く形。2ハロン目に10秒7のラップが刻まれ、その後もあまりペースは緩まず、前半4ハロン通過が46秒8。後半は48秒4ですから先行タイプには厳しい展開となり、馬場の内から中を通った馬も仕掛けが遅いと、バテてきた前の馬を捌くのに少し苦労するようなシーンが見られました。
【レース分析】 勝ったアナザーリリック(単勝3番人気)はスタートが今ひとつでしたが、展開を考えると結果的に、それが吉と出るようなような形。後方追走から馬群の外を回って追い上げ、そのままの勢いで直線も伸びて、前を捉えました。
「1完歩遅れて後ろからになったので、腹を括ってじっくり運んで、この馬の長所である、長くいい脚を使うことに専念しました。3コーナーから上がっていく時の脚が良かったですし、4コーナーではこれなら前を掴まえられると思いました。新馬戦からコンビを組ませてもらい、タイトルを取りたいと思っていたので嬉しいです」とレース後に津村騎手はコメント。休み明けを苦にせず、調教欄の矢印が上向きだったことも承知しながら、小回りコースへの対応がどうか?と考えて評価を下げてしまったことは痛恨。この馬の決め手を見直す結果となりましたし、4歳の年齢から更なる上がり目も期待できそうです。
②着クリノプレミアム(6番人気)は好位から早めに動いて、展開的には強い競馬をしての②着。人気薄で中山牝馬Sを制したことも、枠順などを考えればフロックではないと思っていましたが、地力をつけていることを再確認できましたし、コース不問の機動力、自在性も大きな魅力ですね。③着が当日版の紙面で◎にしていたサトノダムゼル(5番人気)で、堀厩舎らしく久々でも馬体はきっちりと仕上がり、気配の良さが感じられました。レースでも馬群の中でスムーズに折り合っていましたが、勝負どころから外が追い上げ態勢に入った際に少し窮屈な感じになり、結果的に身上の末脚を存分には生かせなかった印象。引退レースでしたから、もう少し積極的に勝ちに行っても良かったのでは、というのが正直な感想です。
13番人気で④着のシンハリングも力差はないと見て、△のシルシをつけていましたが、こちらは流れに乗る形で見せ場のある内容。自己条件の3勝クラスで、機動力の生きる舞台なら首位候補になるでしょう。⑤着ルビーカサブランカ(2番人気)は勝ち馬よりスタートの出が遅く、その分の差が最後まで詰まらなかった形に。上がりは最速タイですから、コースや発馬次第で巻き返しは十分に可能ですね。更に次走以後で注目したいのは⑥着だったホウオウエミーズ(8番人気)で、直線で馬群の外に出せなかった分、弾けなかった様子。それでも、最後まで脚を伸ばしていましたから、オープンに昇級緒戦でメドが立ったといえます。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。