第22回アイビスサマーダッシュ回顧

　7月31日（日曜）に新潟競馬場で行われたサマースプリントシリーズ第3戦第22回ＧⅢアイビスサマーダッシュ（芝・直線1000ｍ・3歳以上・別定・晴れ・良馬場）はビリーバー（単勝7番人気）が鮮やかに差し切って優勝。騎乗した杉原誠人騎手、管理する美浦・石毛善彦調教師ともJRA重賞は初勝利。ビリーバーは北海道浦河町ミルファームの生産馬。馬主は(有)ミルファーム。

それでは、レースを振り返っていきましょう。

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【展開・ペース】　スタート後、内枠の数頭は内ラチ沿いへ。真ん中から外枠の面々は従来通り、徐々に進路を外に取る形。隊列がはっきりと分かれて内、外の二分戦に。21秒8という2ハロン通過タイムは大変時計の出やすい馬場コンディションを考慮すると平均より少し速い程度。しかし、ラスト2ハロンが22秒1と少しかかった分、差し・追い込み馬にチャンスが生まれました。

【レース分析】ビリーバー（7番人気）は週中の時点では1/2の抽選を突破しないとアイビスサマーダッシュに出走できないという微妙な状況。それでも、杉原騎手が騎乗してしっかりと追い切りを消化しておりました。無事に抽選を突破すると、引いた枠順は理想的な8枠16番。一昨年の当レース③着時が6枠12番でした。ゲートが開くと杉原騎手は迷わず外ラチ沿いへ誘導。急かすようなシーンはなく、終始、余裕のある手応えだったのが印象的。それだけ状態も良かったということでしょう。内の4頭が内ラチ沿いを進んだこと、そして全体に良好な馬場状態だったこともあって馬群が密集することはなく、残り1ハロン過ぎにスペースが生まれると一気に抜け出しました。②着シンシティを1馬身離しましたからこれは完勝と言って良く、抽選を潜り抜け、好枠を引き当てたように運も味方につけての重賞初制覇。牝馬ですが、7歳まで現役を続けてきたのは、関係者がこの馬の能力と可能性を信じ続けていた証と見ることもできます。

「外の16番という絶好の枠を引けたので、期待を込めて乗っていました。いつも以上にスタートが速かったので、自分の理想通りのレースができました。引っ張ったままの手応えで、うまく前も開いてそこを抜けてこられました。7歳ですが、いつも一生懸命に走ってくれますし、本当に頭が下がります。先生もオーナーも初重賞勝ちですし、僕自身もフリーになって1年目で勝てたのは大きいですね。これからも頑張りたいです」とレース後に杉原騎手はコメントしています。

▲ビリーバーの4代血統表

　シンシティ（2番人気）は17番ゲートから迷わず逃げの手に出ます。春の新潟開催最終週に行われた前走の韋駄天Sは前半2ハロン通過が21秒9。開幕週の今回は同21秒8。決して無理のないペースで引っ張り、押し切りを狙いましたが・・・。存分に力を発揮しており、今回は勝ち馬の決め手を褒めるべきではないでしょうか。③着ロードベイリーフは5番ゲートから内を目指す馬がいるのを横目に外へ進路を取ります。この点は「内、中、外と選択肢はありました。そんなにゲートは速い方ではないので、思い切って外へ行きました。気を抜きやすい面があり、馬群の方が集中して走れます。よく頑張っていますし、また期待したいです」という西村淳也騎手のコメントに意図が集約されていますね。上手に馬群の切れ目から抜け出して前2頭に肉薄。鞍上も癖や性格をキッチリと掴んでいます。

　内ラチ沿いへ進路を取った組で最先着を果たしたのはスティクス（13番人気）でした。勝ち負けするべく藤田菜七子騎手は内へスティクスを導きます。後ろに3頭を従える形で内ラチ沿いを進みましたが、最後は外を走った面々に軍配が上がった形。好結果は残せませんでしたが、もし、4番ゲートから外へ持ち出しつつ走っていて掲示板に載れたかどうか。不利とされる内枠に入っても上位争いができる戦い方が段々と定着してきた意味は大きく、来年以降、内を進んだ馬が勝者となる可能性は十分あります。1番人気のヴェントヴォーチェは⑨着。勝負どころで進路が開いても躊躇するような感じで割って出られず。久しぶりの直線競馬だった分、戸惑った面があったのかも。ただ、速いペースを経験したことでピリッとすれば次走、1200ｍに戻って巻き返しが期待できます。