4月22日(土曜)に福島競馬場で行われた第20回GⅢ福島牝馬S(芝1800m・4歳以上・別定・晴れ・良馬場)は8番人気のステラリアが優勝。管理する栗東・斉藤崇史調教師は当レースは初勝利。騎乗した団野大成騎手は21年にディアンドルで勝っており、2勝目となった。ステラリアは北海道白老町白老ファームの生産馬。馬主は(有)社台レースホース。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 好スタートを決めたストゥーティが先手を主張すると外のウインピクシス、ニシノラブウインクは競りを避ける感じで2、3番手で折り合い、序盤は落ち着いた流れ。ただ、向正面に入るとすぐにストーリアが外を追い上げたこともあって、道中でペースが緩んだのは4ハロン目の12秒7のところだけ。その後はコーナーの部分も含めて11秒台後半のラップが続き、平均的な流れで地力を問われるような展開になりました。
【レース分析】 勝ったステラリア(8番人気)は約1年の長欠明けでも体重が8キロ増と若干、余裕がある程度の仕上がり。レースでは互角のスタートから馬群の中で折り合いに専念し、一歩前にいた③着馬をマークするように勝負どころから動くと仕掛けた際の反応も上々。最後まで脚勢は乱れることなく前を捉え、ゴール前で迫ってきた②着馬の追撃も振り切りました。
「1年ぶりということを厩舎でも懸念していましたが、それを払拭して次に向けても、いい競馬ができました。レースは道中の折り合いだけだと思っていて、若干、噛みましたが、スムーズに運べました。内が伸びない馬場なので外に持って行こうと思っていましたが、うまく出せましたし、最後まで凌いでくれました。デビュー前から調教に乗せてもらっていて、その頃と比べても本当に成長しています。足元に不安のある馬ですが、これだけ走ってくれましたし、立派な馬です」とレース後に団野騎手はコメント。長欠明けでもしっかりと力を発揮させた陣営の仕上げは勿論、馬のブランクを感じさせない鞍上の落ち着いた騎乗ぶりも称えられて当然ですし、終わってみれば3歳秋にエリザベス女王杯で②着に好走した地力は、今回のメンバーでは一枚上だったということでしょう。当日版のシルシをつけ切れなかった自分としては、足元に不安がある馬が使ってきた時は緒戦からマークが必要という教訓を、改めて痛感することになりました。
②着が本紙で◎にしていたビッグリボン(単勝2番人気)で、前半はじっくりと構える戦法も、結果的に早仕掛けに映った前走の内容から想定通り。勝ち馬とは勝負どころでの反応の差を詰め切れなかった感じですが、ゴール前の末脚からも牝馬同士なら重賞で勝ち負けになる能力は示してくれました。ただ、この馬が最も高いパフォーマンスを見せたのは中京で2勝クラスを勝った時だと思っているので、直線が長くて広いコースなら更に良さが出るのでは、という気持ちもあります。③着クリノプレミアム(4番人気)は上位2頭よりも前の位置で運んで、直線を向くと一旦先頭。こちらは小回り巧者らしい立ち回りを見せて、6歳でも健在ぶりを改めてアピールしました。
④着ジネストラ(5番人気)は初距離が課題な反面、優秀な近走の時計、脚質に進境を見せている点を評価して▲にしていました。それでも、予想していたよりも後ろの位置から①②着と同タイムの上がりで伸びてきたことは収穫ですし、やはり素質馬が軌道に乗ってきたようです。一方、1番人気に支持されたストーリアは⑤着に終わりましたが、道中で早めに追い上げる戦い方は人気になっていたことを考えれば納得できますし、ハンデ→別定に替わって斤量も前走から3キロ増でしたから、掲示板を確保すれば悲観する必要はないでしょう。むしろ展開を考えると大崩れしなかった点は立派ですから、立ち回り次第で巻き返しは十分に可能と考えています。
text by 五十嵐 友二
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