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第59回 福島記念 回顧

 

 

 11月12日(日曜)に福島競馬場で行われた第59回GⅢ福島記念(芝2000m・3歳以上・ハンデ・曇り・良馬場)はホウオウエミーズ(単勝3番人気)が優勝。管理する美浦・池上昌和調教師はこれがJRA重賞初勝利。騎乗した田辺裕信騎手も当レースは初勝利となった。ホウオウエミーズは北海道千歳市社台ファームの生産馬。馬主は小笹芳央さん。

 

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

 

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【展開・ペース】 スタートは若干、外のユニコーンライオンの方が良く見えましたが、内のテーオーシリウスがハナを譲らない構えだったので、競りを避けたようで、スタンド前のうちにはテーオーが単騎で逃げる形に。ただ、その後も12秒台の後半までラップが落ちたところはなく、終始、緩みのない流れ。上がりも極端には要しませんでしたが、開催が進んだ馬場状態もあって、外を回った差し馬が力を発揮する結果になりました。

 

 

 

 

【レース分析】 勝ったホウオウエミーズ(3番人気)は互角のスタートから中団の後ろに位置し、1コーナーに入る時には軽く促す感じで馬群の外へ。残り4ハロンのあたりから手応え良く進出すると直線入り口では3番手くらいまで追い上げ、そのまま馬場のいい外めを伸びて、後続の追撃を凌ぎ切りました。

 

 

 

 

 「若い時期は華奢で未完成でしたし、なかなか結果が出ませんでしたが、レースを使う毎に力をつけて、まさか重賞を勝つまでに成長してくれるとは驚きです。抜け出すのが早くなってしまったかもしれませんが、手応え的にはまだ余裕がありましたし、最後はもうひと脚を使ってくれました。牝馬でも物怖じしませんし、精神的にも成長して、力をつけてくれています」とレース後に田辺騎手はコメント。この馬には2歳時以来の騎乗ながら、馬の特徴とトラックバイアスをマッチさせた鞍上の巧みな誘導が最大の勝因ですが、②着馬の猛追を凌ぎ切った馬自身の成長、充実ぶりも本物。末脚の安定感も増していますから、今後も適度に時計を要す馬場なら、重賞勝ちを重ねる可能性は大いにあるでしょう。

 

 

ホウオウエミーズの4代血統表

 

 

 ②着のダンディズム(12番人気)はスタートで後手を踏みましたが、今回の流れなら却ってレースがしやすくなった面もあり、道中は常に勝ち馬の直後に位置。勝負どころでも相手をマークするように仕掛けて、最後はハナ差まで迫ったところがゴール。当日版で本紙のシルシをつけ切れなかったのは残念ですが、各馬の評価ポイントの項で触れたように、この馬の近走で最も価値が高いと思えたのは2月の小倉芝2000mでのオープン②着で、前走から距離短縮はむしろプラスと考えていました。勿論、今回の好走もフロックとは見ない方がいいでしょう。③着カレンルシェルブル(4番人気)も道中は後方に待機して、スパートのタイミングも上位馬と同じ。②着馬との1馬身差は4コーナーからの微妙なコース取り、通ったところの馬場コンディションの差が出た印象ですし、戦前には陣営から良化途上の雰囲気のコメントも出ていましたから、展開ひとつで重賞を勝つチャンスは少なくないでしょう。

 

 

 ④着ウインピクシス(5番人気)は外枠から積極的に位置を取りに行き、それでも好位の内で折り合えましたし、その後も馬場の悪い箇所を通ったことを考慮すると中身のある内容。すんなり先行が好走条件と見られた以前と違い、自在性が完全に身につきました。この馬も牝馬同士なら勿論、引き続き牡馬相手でも小回りのGⅢなら、勝ち負けが期待できます。一方、本紙で◎にしたシルトホルンは1番人気で⑥着。小回りへの適性は高いと見ていましたし、その通りの上手なレースぶりでしたが、それで伸び切れなかったのは外差しが利く馬場の影響もありますが、本質的に緩みない流れになると2000mは少し長かった感じも。ただ、3歳で適性を決めつけるのは危険ですし、重賞レベルの能力があることも確かだと思いますから、そのあたりは今後を見てからと考えています。

 

 

text by 五十嵐 友二

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

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