11月18日(土曜)に東京競馬場で行われた第28回GⅡ東京スポーツ杯2歳S(芝1800m・2歳・馬齢重量・晴れ・良馬場)はシュトラウス(単勝4番人気)が優勝。管理する美浦・武井亮調教師はこれがJRA重賞初勝利。騎乗したJ.モレイラ騎手も当レースは初勝利となった。シュトラウスは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)キャロットファーム。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 大方の予想通り、外からテリオスルルが軽く気合をつけてハナに立つと、内のシュバルツクーゲルが2番手につけて、序盤から馬群は縦長に。4ハロン通過が47秒3に対して後半は47秒4ですから、全体のペースは平均でしたが、前が少し後続を離していたので、2番手以降の流れは幾らか緩め。そのため、4コーナー2~4番手が馬券圏内を占める結果になり、流れに乗って運べるセンスの良さ、そして現時点での完成度の優劣も反映するようなレースになった印象を受けました。
【レース分析】 勝ったシュトラウス(4番人気)は前走のサウジアラビアRCより6キロ増の体重でも太め感はなく、レース序盤は少し行きたがる感じで、その後も折り合いが完璧には見えませんでしたが、前回に比べればマシ。3番手追走から直線で力強く抜け出して、最後まで脚勢が鈍ることもなく、そのまま押し切る危なげのない勝ち方でした。
「正直なところコントロールするのが難しい馬ですが、今日は前半で前の2頭が速いペースで引っ張ってくれたので、それに助けられました。まだ今は競馬を覚えている段階ですが、能力の高い馬です。将来性を含めて、これからが楽しみです」とレース後にJ.モレイラ騎手はコメント。ラストの1ハロンが12秒4を要したこともあり、例年のこのレースと比べると時計的なレベルは高くありませんが、今回は鞍上が力を引き出したとはいえ、まだ気性の若さを覗かせながらの勝利ですから、伸びしろが大きいことも確か。次走はマイルに向かうのか、2000mなのかも含めて、今後も注視していきたい馬であることは間違いありません。
②着のシュバルツクーゲル(8番人気)は、この鞍上らしく積極的な立ち回りを見せて、スッと反応しない感じでも、追われると長く脚を使って連対を確保。派手さはありませんが、広いコースが向いているタイプに映り、今後も大きく崩れることはなさそうです。③着ファーヴェント(2番人気)は10キロ減の体重でも細い感じはしませんでしたが、パドックでも迫力、威圧感は今ひとつ。それでも、前と少し離れた4番手から勝ち馬と遜色のない末脚で②着馬にハナ差まで迫れましたから、心身ともにひと回り成長すれば、来年の春は主役を狙えるだけの可能性が感じられました。
更に今後の成長が楽しみと思わせたのが④着のショウナンラプンタ(3番人気)で、今回の流れ、展開を考えるとスタートの出遅れは痛かったですが、直線は最後方に近い位置から馬群の内をついて鋭く伸びてきました。フットワークが大きいので、小回りに替わった場合は少し不安な反面、気性など、良くなる余地は大きく、先々に期待したいところです。当日版で◎にして⑤着だったミカエルパシャ(6番人気)も6月以来の実戦で、22キロの体重増は、むしろ成長を見込んでいた期待通り。ただ、道中の位置取りは想定していたより後ろで、直線は鞍上がモタれるのを矯正するような追い方にもなっていました。粗削りな面が目立ちながら掲示板を確保した内容自体は悪くなく、どこかで今回のリベンジを果たしてくれるでしょう。一方、1番人気で⑧着に終わったフォルラリーニはキャリア2戦目、初めての東京コースでも気配は少しうるさい程度。レースでも出遅れましたが、行きっぷりなどは悪くありませんでした。その割に追ってからも反応せず、伸び自体も今ひとつ。敗因の特定しにくい負け方で、キャリアの浅さが出たということでしょうか。勿論、力を出し切った感じはありませんから、次走以降で真価を問いたいところです。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。