第43回ジャパンカップ回顧

　11月26日（日曜）に東京競馬場で行われた第43回ＧⅠジャパンカップ（芝2400ｍ・3歳以上・定量・曇り・良馬場）はイクイノックス（単勝1番人気）が優勝。管理する美浦・木村哲也調教師はジャパンカップ初勝利。騎乗したC.ルメール騎手は4勝目となった。イクイノックスは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。

それでは、レースを振り返っていきましょう。

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【展開・ペース】　予想通り、内のタイトルホルダーを制してパンサラッサが先制。大逃げの形となりました。前半1000ｍ通過は57秒6と非常に速かったわけですが、大きく離れた2番手のタイトルホルダーは60秒を切るぐらい。2番手以降は平均ペースで推移しており、差し・追い込みタイプには厳しい展開だったと言えます。

【レース分析】　イクイノックスはレコードを叩き出した天皇賞（秋）から中3週での出走でも体重は4キロ増。体に重厚感があり、動きも滑らか。状態は良く映りました。今日はスタートを決めた時点で勝負あり。内枠からスンナリと3番手に陣取りました。パンサラッサの大逃げを深追いせず、道中の折り合いはスムーズでしたね。ラスト2ハロン地点でタイトルホルダーを交わすと、そこからもう一段ギアを上げてパンサラッサを掴まえました。最後は突き放す一方の独走で4馬身差の圧勝。3番手追走から最速上がりを繰り出されてはその後ろで虎視眈々と機を窺った面々もお手上げ。これでＧⅠ6連勝となりました。

　「パンサラッサとタイトルホルダーの後ろにつけたいと考えていたけど、いいスタートを決めたことで、すぐそのポジションを取れましたからね。イメージ通りに運べました。ペースが速かったですが、自分から反応して、アクセラレーションが凄かったです。言葉になりません。いい競馬を見せてくれて嬉しく思うし、いい仕事をしてくれたイクイノックスの関係者に感謝したいです」とレース後にC.ルメール騎手はコメント。2、3歳時は間隔を十二分に取ってレースに使われてきたイクイノックス。4歳を迎え、心身が成長、完成されて短い出走間隔でも続けてハイレベルなパフォーマンスを発揮しました。前目につけて誰よりも速い脚を繰り出すという戦法はまさにサラブレッドの理想型。それを体現した第43回ジャパンカップは今後も輝き続け、語り継がれていくレースでしょう。

▲イクイノックスの4代血統表

　リバティアイランド（2番人気）は逞しい体つき。東京への輸送も克服し、落ち着きもありました。最内枠から4番手を確保し、道中は折り合いに専念。イクイノックスをピタリとマークして理想的なレースはできました。結果的に直線に向いてから勝ち馬に突き放されてしまいましたが、自身もしっかりと脚を使ってスターズオンアースとの追い比べを制しました。今回は世界1位の勝ち馬を褒めるべき。手合わせした経験を糧に今後、更なる飛躍を期待したいですね。スターズオンアース（5番人気）は数字は12キロ増えていましたが、体に太め感はなく、好仕上がり。17番ゲートでしたが、しっかりスタートを決め、急かさず、自然体で4番手を取り切った鞍上の好プレーが光りましたね。これが好走要因のひとつ。道中は1、2番人気の2頭をマーク。渋太く脚を伸ばして見せ場十分の③着。天皇賞（秋）を回避し、春のヴィクトリアマイル以来となる実戦でしたが、力を示しました。

　ドウデュース（3番人気）はマイナス8キロと体が絞れ、状態面の上積みは確か。ゲートが開いて1完歩目はゆっくりでしたが、すぐにラチ沿いに誘導し、インの6番手を追走。上手にリカバリーできました。直線に向くとスムーズに外に出し、懸命に脚を伸ばしましたが、スターズオンアースに0秒1差まで迫ったところがゴール。気負う面が薄れ、レース内容も良化。タイトルホルダー（4番人気）は体がグッと締まり、いい頃と遜色のない雰囲気。スタートを五分に出ると、パンサラッサを深追いせず、2番手を追走。瞬発力を問われるレースで分が悪かった中でも、渋太く流れ込んで入着を果たしました。パンサラッサ（7番人気）は2400ｍでも大逃げを打って自分のスタイルを貫き通しました。残り1ハロン地点で力尽きましたが、その戦いぶりは潔く、レースの価値を高めた立役者が稀代の逃亡者である彼なのは誰の目にも明らかです。

text by 京増真臣