12月2日(土曜)に中山競馬場で行われた第57回GⅡステイヤーズS(芝3600m・3歳以上・別定・晴れ・良馬場)は8番人気のアイアンバローズが優勝。管理する栗東・上村洋行調教師、騎乗した石橋脩騎手ともステイヤーズSは初勝利となった。アイアンバローズは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は猪熊広次さん。

 

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

 

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【展開・ペース】 スタートは互角でも外からアフリカンゴールドがハナに立ち、アイアンバローズが2番手で続く形。1周目の向正面では2頭が後続を離しましたが、ラップを見るとペースは上がっておらず、3番手以降は折り合いを優先した様子。更に前の2頭が競るように見えた区間も短く、アイアンバローズが単騎で大逃げの形になってからも13秒前後の緩いラップが続いて、ペースアップしたのは2、3番手が接近してきた残り4ハロンあたりから。こうなるとピッチが上がってから追い上げることになった4番手以降は長く脚を使える持久力がないと厳しく、長距離の経験、実績がなければ台頭するのは難しい結果になりました。

 

 

 

 

【レース分析】 勝ったアイアンバローズ(8番人気)は前走から10キロ減の体重で、約2カ月のレース間隔はあっても、ここを目標にきっちりと仕上げてきた印象。久しぶりの騎乗となった石橋脩騎手も、一昨年の当レース②着や翌年の阪神大賞典②着時にコンビを組んでいただけあって、相性の良さが光る見事な立ち回りで、同馬の重賞初勝利をエスコートしました。

 

 

 

 

 「以前は勝てなかったのですが、久々に乗せてもらって、今日は結果を出せて良かったです。体力があると感じていましたし、ペースを遅くしたくなかったので、最後まで残れるように自分のリズムで走らせました。よく頑張ってくれましたし、今後も楽しみですとレース後に石橋脩騎手はコメント。長距離戦では馬もジョッキーもベテランが活躍するケースが少なくありませんし、鞍上と相性がいいことも事前に気づいていたので、当日版の紙面でも△はつけていましたが、もう少し重いシルシをつけられたのでは、と反省したのが終わってからの最初の印象。やはりリピーター(昨年は④着でしたが)の怖いレースですし、スタミナ勝負になればコースなども問わないタイプですから、今後も適条件では目の離せない存在といえます。

 

 

アイアンバローズの4代血統表

 

 

 ②着が当日版で◎にしていたテーオーロイヤル(2番人気)で、長欠明けだった前走から中3週でも雰囲気は良く、レースでも折り合いなどはスムーズ。追い上げ態勢に入ってから、脚いろも最後まで鈍ることはありませんでした。この距離で自身の推定、上がり33秒9も特筆できる数字ですし、やはりこの馬もスタミナは一級品。今後も順調ならマラソンレースでの活躍が期待できるでしょう。③着マイネルウィルトス(3番人気)も②着馬より一歩前の位置から同じようなタイミングで仕掛け、最後もジリジリと伸びてはいました。レース運び自体には何の問題もなく、上位2頭とは本質的な距離適性の差が感じ。今のところベストは2500m前後でしょうが、その差も展開、流れひとつで逆転は可能な範囲に映りましたし、3000m以上の経験を積んでいけば、結果は違ってくるかも知れません。

 

 

 

 ④着ワープスピード(4番人気)も好位の内でロスなく運び、最後は流れ込むような形でしたが、昇級緒戦で重賞初挑戦、しかも初距離だったことを思えば健闘といえる内容。逃げが理想と思われた頃とは別馬のように成長していますし、もともと堅実なタイプではありますから、今後も崩れるケースは少なそうです。一方、1番人気に支持された3歳馬キングズレインは⑤着止まり。馬群の内で掛かるような感じもありませんでしたが、勝負どころからの反応、手応えは周囲の馬と比べると今ひとつ。最後もビュンと伸びるような感じはありませんでした。まだキャリア的に距離適性を結論づけるのは早く、この馬については現時点での完成度、経験値の差が出た様子。世界的な名手でも長距離のテン乗りで馬の全能力を引き出すのは容易ではなく、継続騎乗や過去の騎乗時の成績をチェックすることの大事さも再認識しました。

 

 

text by 五十嵐 友二

 

 

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