第75回朝日杯ＦＳ回顧

2023年12月17日（日） 5回阪神6日

　Aコース最終週。直線は荒れた内を嫌う馬が多く、そこがレースポイントの１つとなった。前半34秒1─後半35秒4の前傾ラップ。２ハロン目から10秒9、10秒7と、ここ４年同様に前半が流れる。勝ったジャンタルマンタルは枠なりに進んで、道中は中団のインで脚をためる競馬。勝負どころでは最内が開いており、４角で労せずして前をいくダノンマッキンリーの内へ。更に前をいくシュトラウスや３枠２頭も外へ進路を取ったことにより、綺麗に前が開いた。勝つ時はこういったものだろう。結果的に最高の形になったが、川田騎手は「４角ではいい形になりそうになかったので、早めに進路を確保して攻めていきました。早めに動いた分、馬にとっては苦しかったと思いますが、凌いでくれると信じていました」と内で詰まる可能性も考えていたようだ。父パレスマリスは来年度からダーレージャパンでの繋養が決まっており、幸先のいい船出となった。

　エコロヴァルツは武豊騎手が「向正面で掛かった馬にぶつけられたりとちょっともったいないところがあった」と語ったようにゴチャついて位置取りが後方まで下がる。あとは腹を括ってじっくりと構えて、直線で外へ。ズラッと広がった馬群の一番外に出し、最後は外にモタれながらも素晴らしい脚を見せた。展開を考えるとよく頑張っている。タガノエルピーダは離れた３番手で集団の先頭。勝負どころでは前を射程に入れるが、そこまで反応は良くなかった。坂に入ってから脚を伸ばす感じで③着に。それでも、紅一点で牡馬に混じり、この速いペースで先行しての踏ん張りだから十分評価に値する。

　ジューンテイクは最後方からレースを進めるが、コーナーで外からじわじわと進出し、３ハロン標では中団まで位置を押し上げる。外々を押し上げているので、かなり脚を使っているのは確か。それでも際どい③着争いに持ち込んだように力は示した。「最後はいい脚を使ったし、距離はもう少し長くてもいいのでは」とＭ.デムーロ騎手。タガノデュードも後方から。ジューンテイクほどではないが、こちらも外を回って押し上げる形。ジューンテイクが外から上がっていた時にひと呼吸待って追い出す。最後はよく伸びているが、先に動いたジューンテイクは捉えられず、後ろからきたエコロヴァルツにも交わされた。上位と比べると一歩劣る内容だが、未勝利勝ち直後のＧⅠ挑戦、自身の時計は大幅に詰めている。

　ダノンマッキンリーはスタートで内の馬と接触し、このペースでも頭を上げて行きたがっていた。好位直後に収まったが、最後の坂で外から来た差し馬に飲み込まれる。前半３ハロン自体は前走よりも速かったが、「1600ｍで、しかもスローペースできつかったです」とルメール騎手。２番人気のシュトラウスは⑩着。スタートでアオッて出遅れ。そのまま前に壁を作れず、引っ掛かって先頭へ。心配された通り大外枠で厳しい競馬になった。