3月9日(土曜)に中山競馬場で第42回GⅢ中山牝馬S(芝1800m・4歳以上・牝馬限定・ハンデ・晴れ・稍重)が行われた。優勝したのは単勝5番人気に支持されたコンクシェル。管理する栗東・清水久詞調教師、騎乗した岩田望来騎手ともに中山牝馬Sは初勝利。コンクシェルは北海道新冠町ノースヒルズの生産馬。馬主は前田晋二さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 スタートはほぼ互角でしたが、ハナ候補と思われたグランスラムアスクはあまり行き脚がつかず、逆にコンクシェルは鞍上が気合をつけて先手を主張。外枠のフィールシンパシーも積極的に前に出てきましたが、競りはなく、序盤の入りは緩やかな流れ。但し、5ハロン目から11秒台のラップが続いたように勝負どころからはレースが流れ、先行勢も息は入れにくい展開。最後の1ハロンは12秒6を要しましたし、単純に先行有利なレースではなく、スピードの持続力や地力が問われる結果となりました。
【レース分析】 勝ったコンクシェル(5番人気)は今年に入って関東遠征が続きましたが、体重に大きな変化がなく、馬体にも実が入ってきた様子。昨年のアネモネSで②着だった時と比べると目方は20キロ以上も増えていました。前走の3勝クラス勝ちはスローの2番手から抜け出す競馬でしたが、今回は行き切る形で更にパフォーマンスがアップした感もあり、本格化してきたと見て良さそうです。
「前走で乗った時はスタートが速くても二の脚がつかなかったので、今回はハナに行くレースを選択しました。ある程度、1~2コーナーでは流していって、向正面でリズムを整えました。3~4コーナーで他馬にこられた時もリズムを崩さずにと思って、直線では馬場のいい外めに出す形で、頑張ってくれました」とレース後に岩田望来騎手はコメント。全体の走破時計は前日の雪や雨が影響した馬場状態を考慮しても威張れる数字ではありませんが、これでハナを切る形になれば3戦3勝ですし、中京の芝1600mに速い持ち時計がある馬ですから、春はヴィクトリアマイルを目標にしても、適性に問題はないはず。揉まれずに先行するという自分の戦法を確立している点も強みなので、今後の動向からも目が離せません。
②着のククナ(4番人気)はスタート後に軽く伸び上がりましたが、無理せず自然体で後方に待機。それでも、序盤のペースや鞍上の思惑を考えると位置が後ろになったことは影響したようで、レース後の戸崎騎手は「最後(ラストラン)だけに勝たせたかったのですが・・・。位置取りが後ろになったことが響きました」とコメント。それでも、馬群の大外を追い上げ、最後まで伸びて連対確保は負けて強しの内容。正直、これで繁殖入りは惜しまれますが、重賞勝ちは子供に託されることになります。③着シンリョクカ(6番人気)は終始、馬群の内で、好枠を利した立ち回り。勝負どころでも内でじっとしていて、ロスなく運べていましたが、内が有利ではない馬場コンディションで、最後まで伸びていた点は高く評価できますし、阪神JF②着やオークス⑤着の実績が伊達ではないことを改めて示しました。
一方、1番人気の支持を受けていたフィアスプライドは⑨着。まくり気味に動いて、3~4コーナーで前に並びかけるシーンはありましたが、そこから伸びを欠いたところを見ると、タフな馬場状態だと1800mは長い様子。折り合い面などには進境が見えますから、マイルの距離で見直したいところです。更に自分が当日版で◎にしていたヒップホップソウル(2番人気)はまさかのしんがり負け。道悪の中山にも好走歴がある馬ですが、最後は不正駆歩になったようですし、特殊な馬場が影響したのかも。力を出し切った結果ではありませんが、馬のメンタル面も含めて、ちょっと心配な負け方になってしまいました。
text by 五十嵐 友二
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