第91回日本ダービー回顧

　5月26日（日曜）に東京競馬場で行われた第91回ＧⅠ東京優駿（日本ダービー）（芝2400ｍ・3歳・馬齢重量・晴れ・良馬場）は9番人気のダノンデサイルが優勝。管理する栗東・安田翔伍調教師は日本ダービー初勝利。騎乗した横山典弘騎手は通算3勝目となった。ダノンデサイルは北海道千歳市社台ファームの生産馬。馬主は（株）ダノックス。

それでは、レースを振り返っていきましょう。

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【展開・ペース】　メイショウタバルが出走を取り消したことで確たる逃げ馬は不在。スタート後、シュガークンが行く構えを見せたところに、大外枠からエコロヴァルツがこれを交わしてハナへ。レース序盤は超スローペースでしたが、その流れを嫌ったコスモキュランダが動き、サンライズアースが続き、ラスト5ハロンはすべて11秒台。位置取り、コース取りが明暗を分けました。

【レース分析】　ダノンデサイル（9番人気）は皐月賞よりもテンションが上がっていませんでした。その皐月賞は競走除外となりましたが、その影響を感じさせず、動きには柔らかみがありました。先頭に立ってもいいというような飛び出しから、3番手のインに収まり、絶好のポジショニング。ペースが上がった勝負どころでも、内でジッと我慢ができて脚が溜まっていましたね。直線は最内をスパッと抜け出して2馬身差をつけての快勝。馬自身の地力や成長力もありますが、皐月賞で競走除外となってから立て直した陣営の手腕、そして鞍上・横山典弘騎手の好騎乗も光りました。

　「スタートさえ、うまく決まれば行ってもいい気持ちでしたが、岩田君が行ってくれたので、ポケットからちょうどいい感じで運べました。直線までジッとできたので、最後はよく弾けてくれましたね。ダービーを勝てて勿論嬉しいです。ただ、皐月賞で下した自分の判断が間違っていなかったと思えたし、そこから厩舎スタッフと立ち上げて、馬は大事にしていれば応えてくれると改めて思いました。馬に感謝をしたいですね。一番年長なので、息子だけではなく皆が祝福してくれてホッとしました。ＧⅠに乗るだけでも大変ですが、馬のことに真摯に向き合って、そのうえで結果を残せたことには、このうえない喜びを感じています」とレース後に横山典弘騎手はコメント。瞬発力比べとなった京成杯ではのちの皐月賞④着馬アーバンシックを負かしていたダノンデサイル。人気薄でしたが、実力は折り紙付き。デビューから手綱を取り続ける鞍上が大一番でこれしかないという最高のエスコート。競走除外を乗り越えて世代の頂点に立ったシーンは今後も語り継がれていくことでしょう。

▲ダノンデサイルの4代血統表

ジャスティンミラノ（1番人気）は落ち着きがあり、馬体は皐月賞より重厚感が増した印象。パドックでは迫力満点の周回を見せていました。若干の出負けから、すぐにリカバーして好位集団を追走。直線もスムーズに進路を確保して勝ちパターンに持ち込みましたが、ダノンデサイルの決め手に屈して②着。それでも、1番人気として堂々としたレースぶりでした。③着シンエンペラー（7番人気）は研ぎ澄まされた体つきで、チーク着用の追い切りも刺激になって気合乗り抜群。スタートが今ひとつで道中は中団を進む形。最後は目立つ伸び脚だっただけに、もう少し前のポジションでレースができていたなら差は詰まったでしょうか。とはいえ、まだまだ心身とも成長の余地が大きいの事実。この先も楽しみです。

サンライズアース（15番人気）は体は絞れたものの、まだ緩さがあり、少しテンションも高かったですね。レース序盤は最後方から運び、コスモキュランダが進出したのに乗じて早めのスパート。直線も長くいい脚を使って④着。レース内容は高く評価できます。レガレイラ（2番人気）は均整の取れた無駄肉のない造りで、脚捌きはシャープ。落ち着きもあって気配は良かったですね。スタートは五分に出ましたが、あまり出脚がつかず、切り替えて後方待機策。内枠だったこともあって馬群が固まって動くに動けず、他馬がまくった際にはポジションを下げてしまいました。直線は外から脚を使ったものの、⑤着まで追い上げるのが精一杯。今日に関しては展開が不向きでしたね。◎シックスペンス（3番人気）は前回より馬体がグッと締まり、気合乗りも上々。身のこなしは滑らかで、仕上がりは万全に映りました。好位に取り付きましたが、力み加減で収まりが悪かったですね。直線で一旦は伸びかけましたが、脚が続かず⑨着。結果的にキャリアの差が出たということでしょうか。