8月31日（土曜）に札幌競馬場で行われた第59回ＧⅢ札幌2歳S（芝1800ｍ・2歳・馬齢重量・晴れ・重馬場）は3番人気に支持されたマジックサンズが優勝。管理する栗東・須貝尚介調教師は札幌2歳Sは4勝目。騎乗した佐々木大輔騎手は初勝利となった。マジックサンズは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 好スタートを決めたショウナンマクベスが行く気を見せず、スタンド前は数頭が横並びの形。それでも、1コーナーに入る時には外からアスクシュタインが主導権を握っていました。ただ、その後も極端にはペースが緩まず、前半4ハロン通過48秒8はこの日の馬場状態、デビューして間がない2歳馬の重賞としてはタフな流れ。必然的に後半は49秒3を要しましたが、ラストの2ハロンもラップは落ちていませんから、高いレベルで地力を問われるレースとなりました。
【レース分析】 本紙で◎にしていたマジックサンズ（3番人気）は初戦と違ってパドックで馬っ気も出さず、1度、実戦を経験したことで落ち着いた雰囲気に。レースでも互角のスタートから中団につけて、早めに動きやすい馬群の中から外めのポジションを確保。その後は折り合いに専念して、3コーナーあたりから進出を開始すると外を回る形でも手応えは十分。そのままの勢いで直線で抜け出すと少し気を抜いたようなところを見せましたが、②着馬が内から伸びてくると再び闘志に火がついたようで、最後にグンと加速して競り勝つ勝負強さを見せました。
「道中は外めを通りましたが、これは予め考えていたことで、3コーナーから上がって行きました。先生とも相談して4コーナーでも意識して外を回ったんです。抜け出すとフワッとしたので必死で追いましたが、よく耐えてくれました。お世話になっている須貝先生の馬で（重賞を）勝てたことは嬉しいですし、もっと上のステージでも活躍できる馬だと思います」とレース後に佐々木大輔騎手はコメント。若さを覗かせながらも快勝した初戦よりレベルUPした走りが見られたのは、中間の攻め気配からも期待通りでしたが、この日の馬場状態を考えれば勝ち時計自体もかなり優秀な数字。しかも馬群の外を回って捩じ伏せた内容は着差以上の強さでしたし、まだ、レース全体を馬が本気で走り切っていない印象もあります。今後は高速馬場に舞台が替わってどうかですが、先々まで楽しみな大器であることは間違いありません。
▲マジックサンズの4代血統表
②着のアルマヴェローチェ（6番人気）は初戦の②着以下の馬の次走が案外でしたが、自身は最終追いで古馬オープンに先着していたので、叩いての上積みは大きいと見て△に。逃げ切った初戦とは一転して馬群の内で控える形になりましたが、行きたがることもなくスムーズな立ち回り。直線でもぽっかりと開いた最内を突いてしっかりと伸びました。センスの良さを感じましたし、重馬場の内から伸びた内容にはハービンジャー産駒らしいパワーも窺えました。今後は勝ち馬以上に時計勝負への対応が鍵になりそうですが、まだ奥もありそうですし、再び道悪になった際は重賞勝ちのチャンスが膨らむでしょう。③着ファイアンクランツ（1番人気）は後方に待機し、向正面に入った時のポジションは勝ち馬の2馬身くらい後ろ。勝負どころで同じようなタイミングで仕掛けると脚勢も互角でしたが、最後まで差が詰まりませんでした。それでも勝ち馬と同じように外から長く脚を使って、後続には差をつけていましたから、こちらも素質の高さを示すには十分な内容。体形的に良馬場の方が鋭さを増す可能性もあります。
④着モンドデラモーレ（5番人気）は大外枠から好位につけましたが、終始、前に壁を作れず、ためが利いていない感じ。勝負どころで勝ち馬が追い上げてきた時には手応えが明らかに劣勢でしたが、直線も渋太い走りを見せて大崩れしませんでした。馬群の内めから切れた初戦とは対照的な内容だった点を考えても評価できますし、③着馬から3馬身半の差はつきましたが、この馬も将来性は高そうです。一方で2番人気だったアスクシュタインは⑦着。揉まれる形になった際への対応が鍵と見て▲にしたので、外枠やタフな流れにしても、先行できた割に粘りは案外でしたが、2連勝が逃げ切りでも速い上がりだったことを考えると、洋芝の道悪だと1800ｍは少し長いのかも。キャリア的には距離適性を決めつけるのは危険な気もしますが、軽い馬場のマイル戦あたりの走りが見てみたい印象が残りました。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。