8月17日(日曜)に札幌競馬場で行われた第61回GⅡ札幌記念(芝2000m・3歳以上・定量・曇り・稍重馬場)は10番人気だったトップナイフが優勝。管理する栗東・昆貢調教師は当レースは初勝利。騎乗した横山典弘騎手は通算4勝目となった。トップナイフは北海道浦河町杵臼牧場の生産馬。馬主は安原浩司さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。

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【展開・ペース】 好スタートを決めたケイアイセナが一旦は前に出ましたが、大方の予想通りアウスヴァールがハナを主張し、ホウオウビスケッツは先行両馬を見る位置につけましたが、久々のせいか掛かり気味。1000m通過60秒6は稍重の馬場を考慮しても古馬GⅡとしては平均的なペースですが、その後も12秒前後のラップが続いたので、先行勢は息を入れにくい展開。地力勝負の様相になりましたが、勝負どころから馬群が横に広がったこともあり、内、外のコース取りも明暗を分ける形になりました。


【レース分析】 勝ったトップナイフ(10番人気)は膝蓋を手術した効果もあって、手替わりした今回もスタートは五分。出たなりで後方に下げるとスタンド前のうちに馬群の内へ進路を取り、向正面に入るとあまり気合をつけることもなく、手応え良く前へ進出。3~4コーナーでは好位のインまでポジションを上げ、ここから鞍上の手が動くと直線入り口では先行勢の間を割り、力強く抜け出して最後まで脚勢は乱れませんでした。
「1週前の追い切りに和生が乗り、いいと聞いていたし、返し馬の感じも今までで一番良かったので、自信を持って乗りました。道中は楽についていけたし、直線は進路さえ開けば突き抜けると思っていました。ここまで結果が出なくても関係者が我慢してくれて、それに馬が応えてくれました。軌道に乗れば、これから大きな花を咲かせると思います」とレース後に横山典弘騎手はコメント。鞍上は状態の良さを強調していましたが、稍重でも内が荒れていない馬場状態と、馬の操縦性の高さをリンクさせて、完璧な立ち回りを見せた手綱捌きが大きな勝因であることは誰の目にも明らか。更に、一昨年の札幌記念②着も同様に稍重馬場の内を進出して好走しましたし、遡れば2歳暮れのホープフルS②着もタフな馬場になっていた中山で逃げ粘っての惜敗。逆に、ここ2戦はレコード決着で⑪⑩着でしたから、適度に時計を要す馬場が味方したことも間違いないでしょう。今後も適条件なら目の離せない存在になりそうです。

▲トップナイフの4代血統表
②着ココナッツブラウン(2番人気)は前走から10キロ減の体重でも細くなった印象はなく、引き続き気配は上々。外枠でスタートも今ひとつでしたが、それほど行きたがる感じもありませんでした。勝負どころでの手応えも良く、直線は外から鋭く伸びてきましたが、結果的に勝ち馬とはコース取りの差が大きかったですね。それでも、牡馬相手のGⅡで勝ちに等しい内容でしたし、京都で2勝を挙げていて、洋芝専門でもありませんから、あとは輸送などによる体重の変化がどうかが、今後も最大のポイントになりそうです。驚かされたのは③着アラタ(13番人気)の健闘でしたが、勝ち馬を追うようにインを立ち回った進路取りと、時計を要す馬場が好走できた要因でしょう。年齢的に続けて同じパフォーマンスを出せるかは疑問ですが、8歳の夏を迎えても力の衰えがないことは確認できました。
④着ケイアイセナ(12番人気)は以前と違い、2番手からの競馬でも問題ないことは分かっていましたが、時計の速い馬場で1800mがベストと考えていましたから、今回の走りは予想以上。力をつけていますし、良馬場で逃げる形になれば更に相手強化でも、という期待感が持てるレースぶりでした。そして⑤着が本紙の◎にしていたヴェローチェエラ(4番人気)で、この馬の敗因はスタートが今ひとつで、直後に挟まれて流れに乗れなかったことに尽きます。馬自身は前走と同様、外から長く脚を使い、②着馬と遜色のない伸びを見せていましたから、2000mなら馬場状態に注文がつかないことも示してくれました。1番人気のホウオウビスケッツは⑦着同着。久々でも攻め気配は良く見えましたが、今回はメンバー的に人気が予想され、中山金杯の負け方からGⅡで受けて立つ立場、しかも先行勢には楽ではない展開も予想されたので、少し評価を下げていました。序盤で掛かり気味になることは以前もありましたし、正直、力を出し切った印象は受けませんでした。目標は秋なのかも、という仕上がりにも映ったので、次走以降の巻き返しに期待したいところです。
text by 五十嵐 友二

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。










