競馬 研究ニュース

函館2歳S回顧

 敗戦知り、掴んだタイトル

 

 2017年7月23日(日)2回函館6日目11R第49回函館2歳S(GⅢ)は、単勝1番人気に支持されたカシアス(父キンシャサノキセキ×母ラブディラン)が優勝。デビュー戦は2着に敗れましたが、続く未勝利戦を圧勝し、2連勝で函館2歳王者に輝きました。馬名の由来はJRAホームページによると“人名より”とありますが、父キンシャサノキセキ(キンシャサの奇跡)からモハメド・アリの改宗前の本名であるカシアス・クレイを連想し、名付けられたと推察できます。道中は上手に立ちまわって、ゴール寸前で2着馬をひと差し!さながら『蝶のように舞い、蜂のように差す』といったレースぶりでしたね。

レースを振り返ってみましょう。

勝ち時計 1分10秒0

前・後半3F 34秒535秒5

12.1 – 10.7 – 11.7 – 11.6 – 11.6 – 12.3

 前日に降った雨は乾いたものの、当日の芝は適度に時計のかかるコンディション。モルトアレグロが出走を取り消して今年は15頭での争い。パドックでのカシアスはとにかく気合が乗っていましたね。前走時もそうでしたが、歩様は少し硬めのタイプ。テンションが高い馬が多い中、落ち着いてリラックスして歩けていたのがアリア。状態も良さそうに映りました。

 レースは2番人気に支持されたナンヨープランタンが出遅れ。内からパッセがハナを主張。ウインジェルベーラもいいスタートを切りましたが、無理に競らず外に馬体を併せて2番手から。2F目に10秒7という速いラップは刻まれましたが、例年と比較すると緩やかな流れ。差し・追い込みタイプにとって辛い展開だったと思います。

 勝ったカシアスは好位の後ろで折り合って追走。3コーナー手前からスルスルとポジションを上げて、直線で追われるとグングン伸びて、ゴール寸前で粘るウインジェルベーラを差し切りました。デビュー戦は逃げて敗れましたが、以降は控える形に難なく対応。追って鋭く反応し、瞬発力も抜群。現状は特に注文がつかず、1400、1600mにも対応できると思います。

 2着ウインジェルベーラは直線ではモタれ気味で、ムチが入ると尻尾を振って若さを見せながらも粘り込んでアタマ差2着。ポテンシャルは高く、デビュー戦より0秒6時計を短縮した点も立派。3着アリアカシアスの直後を追走。初戦と違って勝負どころではスムーズに加速。最後は勝ち馬と脚いろが一緒になって差を詰め切れませんでしたが、中団から追い上げてきたあたり力は示しました。

 個人的に期待したナンヨープランタンは6着。ルーラーシップ産駒で初戦の内容からも本質はスプリンターではないのかもというイメージがあったのは事実。それでも、先行争いが激しくなってタフな流れになれば差し届くと思ったのですが・・・。出遅れたのに加え、展開も向かず。それでも、後方から外を回って進出し、最速の上がり3ハロンをマーク。人気は裏切りましたが、これは今後も注目していきたい素材です。
 

        text by 藤原

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。